因幡の国忠臣 木島吉嗣10
駛馬殿の太ももが爆ぜる。
体中のあらゆるところに傷ができる。
この攻撃は避けられない。
「駛馬、なに遊んでるちゅう。
いくら不死身といっても、無駄に攻撃を受けることはないちゅう。
まだ大仕事が残ってるんだちゅう」
「ああ、なかなかの攻撃ウマ。
ここまで攻められるのは久しぶりウマ」
「何、軽口たたいてるんだ。
おまえではこのカマイタチに手も足もでないだろう。
そこをあけろ。
猫丸にカマイタチを喰らわせてやる」
「それはできないウマ。
おまえの攻撃は弱いウマ。
この程度で若殿と戦おうなんて図々しいウマ。
わるいことはいわない、出直してくるウマ」
いつのまにか、駛馬殿の傷は治っている。
「うるせえ。
わしの術を破れるようなら破ってみろ」
「それは簡単ウマ」
駛馬殿は槍を構える。
そして、突く。
しかし、ここからでは届かない。
それなのに、直線上の黒井は吹っ飛ぶ。
そう言えば、駛馬殿の槍に先がない。
ただの棒だ。
「また、相手をしてやるウマ。
精進せよウマ。
そして、腕を磨いたら因幡城の正門に来るウマ」
そういえば、因幡城の正門は武芸者の登竜門ともなっている。
全国から腕自慢が挑戦しにくるのだ。
それをいなしているのが、駛馬殿と牛鬼殿だ。
時々、羽無殿も出ていくらしい。
ただ、羽無殿はみんなに心配されているみたいだが。
千人が挑戦したが、まだ誰も門番を倒したものはいない。
因幡城の正門は別名因幡の仁王門といわれている。
「じゃあ、今、わてが挑戦します」
そう言って、迷彩色の忍装束の小男が駛馬殿の前に出てくる。
「駛馬、こいつはぼくがもらうチュウ。
おまえばっかり楽しむのはずるいチュウ」
そう言って根津吉殿が忍者の前にでるのだった。




