因幡の国忠臣 木島吉嗣02
「走り回ってばかりいないで考えましょう」
わたしは猫丸殿を止める。
「そうニャン。ちゃんと考えるニャン」
若殿は止まって、いつもの殿の席に座る。
他のアニマルたちも自分の席につく。
いつもの御前会議の様相となる。
「それでは会議をはじめるニャン」
いつもデアルカとめんどくさいニャンしか言わない猫丸殿がやけに積極的だ。
「白猫がさらわれたニャン」
猫丸殿は手に持った紙を中央に広げる。
そこには『白猫姫はさらった。返してほしくば、伊賀美城まで来い。伊賀美半蔵』と書いてある。
伊賀美半蔵、都でも名の知れた忍者の頭領だ。
今は将軍様の側近、一色弾正に仕えていると聞く。
忍者は汚れ仕事のプロ。
誘拐、暗殺等を生業とする集団。
われわれ侍からしたら、忌避すべき存在。
やつらのやり方は卑怯極まりない。
後ろから笑って近づいて刺す。
そんな戦いかたは許されるべきではない。
正々堂々と戦い相手を完全に叩きのめしてこそ、戦は終る。
やつらの戦い方では、戦を終わらせることはできないのだ。
戦を泥沼化させるだけ。
前回の将軍家のお家騒動もやつらを多用したのが長引いた原因と言われている。
「これは因幡の国始まって以来の危機です。
世界の危機といってもいいかもしれません!
このままでは大きな国際問題になってしまいます。
すぐに因幡の国をあげて白猫姫を取り戻すのです」
いつも冷静な銀狼殿が狼狽えてる。
それにしても大袈裟じゃないか。
確かに猫丸は妹姫を可愛がっているが、国際問題とかいうわけでもないだろう。
「デアルカ。
銀郎の言う通りにゃん。
因幡の国をあげて、白猫を連れ戻すにゃん」
「おー」「はむ」「ちゅう」「うさ」「ちゅん」
アニマルたちは声をあげる。
でも、相手は忍者。いろいろな罠を仕掛けているに違いない。
「では、銀狼と猿爺で国を守ってほしいにゃん。
それ以外は全員ぼくについてくるにゃん。
今回の戦いはそれくらいのものになるにゃん」
猫丸殿も今回の敵、忍者の強さを解かっているみたいだ。
ただ、アニマルたちは考えるのが苦手みたいだ。
だから、こんどこそわたしの力が必要なのだ。
「わかりました。若殿
この木島吉嗣、御伴いたします」
わたしも声をあげる。
「おまえはいらないにゃん」
やっぱりわたしは猫丸殿の戦力には入っていないのだった。




