因幡の国忠臣 木島吉嗣13
「雷は効かないのか。
それでは、これをお見舞いしよう」
不知火は何かを唱え、集中する。
次の術式の準備なのだろう。
気が満ちたのか杖を振る。
その杖の先からエネルギーのビームが放たれる。
それに低い姿勢から飛びつく猫丸殿。
まるでねこじゃらしに飛びつくように。
ってさわっちゃダメだろ。
猫丸殿は剣を一閃させる。
物質じゃないエネルギーが真っ二つになる。
そう、猫丸殿の剣は魔法を斬っているのだ。
そして魔法は消え失せる。
そのまま、もう一度猫丸殿が剣を振る。
その剣から光の刃が跳び不知火天外を襲う。
天外の杖は真っ二つになり、天外はしりもちをつく。
そう、なんとか後ろに倒れることで猫丸殿の剣撃を避けたのだ。
その天外に猫丸殿は剣先を突き付ける。
「もう、クリアタマをいじめないにゃん?」
どや顔で問いかける猫丸殿に何度も首を縦に振る天外。
「わかったにゃん」
いや、また信じたし。
まあ、勝てたのだから良しとしよう。
だが、これからが大変だ。
不知火から将軍様を守ったのだから。
たぶん、猫丸殿は中央でもそれなりの地位を与えられるだろう。
「じゃあ、帰るにゃん」
えっ、帰っちゃだめだろ。
せっかく将軍様に謁見し中央で名を知らしめる機会なのに。
「おなかが空いたウサ」
「早く帰るタヌ」
「殿、帰るのだ」
アニマル軍団が騒ぐ。
本当にこいつらは何も考えていない。
花神居士、いや稲荷小太郎が術をとなえる。
猫丸殿の足元に雲が現れる。
アニマル軍団がそれに乗ると雲は天に上がっていく。
そして、因幡のほうにむかって飛んでいく。
これが、日輪の国一の幻術士の術なのか。
わたしは、雲がだんだん小さくなっていくのを眺める。
その時、私は大事なことに気づく。
えっ?また置いていかれたの?
そりゃないよ。猫丸殿。
わたしは馬に乗り猫丸殿たちを追いかけるのだった。




