因幡の国忠臣 木島吉嗣08
羽無殿の前で朧月が崩れる。
さすが、虎丸四天王のひとりだけある。
っていっても猫丸将棋隊では最弱といわれているんだが。
「やっぱり、術に頼り切ったやつは頼りにならんな」
そう言ってがっちりした修行僧が朧月の前に出る。
「次はおまえハムか」
「わしは蘆屋嵐道、修行者だ。
おまえらに本当の術というものを見せてやろう」
「わたしは羽無太郎左衛門、剣術の修行中の身なのだ」
「術者というものは本当の術の使い方をしらん。
術の効率的な使い方は大きな火の玉を作ることではない。
そんなの避けられたら終わりだからな」
黒い胴着を来た筋骨隆々とした身体、それは妖術者の中にいるにふさわしくない。
羽無殿は嵐道に対し静かに構える。
たぶん集中しているのだろう、羽無殿の身体に気がまとわりつくのが見えるような気がする。
「その気の練り方、おまえも妖術使いか」
「わたしは剣士なのだ」
羽無殿はそう言って、目を閉じる。
敵は己の中にありというように。
「そうか。
そう言う意味ではわしも拳士だな。
妖術は己に使うもの。
己を強化するためのものなのだ。
式神や魔法を使うのは邪道。
あくまで戦いは己の肉体で行うもの」
「同感、なのだ」
「そうか。おまえとは面白い戦いができそうだ。
全力で潰させてもらう」
嵐道がそう言うと、嵐道の筋肉が盛り上がる。
身体も一回り大きくなってくる。
それから、腕が鋼のように黒くなる。
たぶん、硬化の魔法を使っているのだ。
それから、嵐道は赤いオーラをまとう。
己を火の玉にして戦おうというのか。
「いざ、参る。
わしの攻撃を受け止めてみよ!」
そう言って突っ込んでくる嵐道。
「ウザイ、何をわけのわからないことを言ってるウサ」
いきなり羽無殿の前に現れる怪力ウサギ。
そして、嵐道にドロップキックをくらわす。
嵐道は大きく弧を描いて遠くに飛んでいく。
やがて、米粒のようになって見えなくなるのだった。




