因幡の国忠臣 木島吉嗣07
羽無殿は後ろに跳ぶ。
その動きは素早い。
鼠だからなのか、剣の腕による体術なのかはわからないが、闇の触手を避け続ける。
しかし、攻撃には移れない。
ただ、羽無殿は大きく避けるのではなく、ぎりぎりで躱す。
そう、隙あらば前に出るつもりなのだ。
しかし、ついに羽無殿の腕に触手が巻き付く。
羽無殿はそのまま高く持ち上げられて、地面にたたきつけられる。
ダメージが大きそうだ。
ただ、その隙に転がって避ける。
「手も足もでないようね。
剣士って何て弱いんでしょう」
朧月は笑う、そう羽無殿に勝機は見えない。
「そのとおりハム。まだまだ修行が足りないハム。
今の剣術ではお前に勝てないハム」
「負けを認めるの。
なかなか、いい子じゃない」
「負けはみとめないハム。
剣術ではおまえに勝てないけど、羽無は負けないハム」
「何をわけのわからないことを言ってるの」
「やむおえないハム。獣化の力を使うハム」
「獣化だって?もうハムハム言ってるじゃない」
「弟子の波良にみせるために剣技だけでたたかっていたハム。
10分の一くらいの力ハム」
「じゃあ全力できなさいよ。
どうせ剣術でしょ。
闇魔法には勝てないわ」
「いや、そこまでの力はいらないハム」
「なにバカなこと言ってるの?
さっきまで手も足もでなかったじゃない」
「では参るハム」
そう言って構える羽無殿に朧月の闇の触手が襲い掛かる。
触手が羽無殿を捉えると思ったとたん、羽無殿の姿が消える。
そして羽無殿は一瞬で朧月の目の前に現れる。
動きが速いというより、縮地といわれる技に近い。
「まだ十分の二くらいハム」
そう言って羽無殿は刀の柄を朧月のみぞおちに叩き込むのだった。




