九里の国大名 九里秀平19
阿と吽が後ろから追いかけてくる。
たぶん、沢村と小那木を倒してきたのだ。
思ったよりも早い。
その2人に羽無殿が立ち向かう。
そう、羽無殿は剣の達人だ。
だが、この式神たちに剣は通用しない。
斬ってもすぐに復活してしまう。
「羽無殿、そいつらは式神です。
剣は通用しません」
「関係ないハム。
剣が通用しない敵なんていないハム」
「斬っても意味がないんです。
波良もそれでやられてしまいました」
「そうハムか。
しかし、倒せない敵にはみえないハム」
羽無殿は阿の前に立つ。
波良以上に小さな羽無殿と阿。
まるで大人と子供だ。
「では行くハム」
そう言って羽無殿は阿に突っ込む。
交差して飛ぶ。
そして着地。
そのとたん、阿の両腕が落ちる。
波良と同じように関節を斬ったのだ。
しかし、阿はただのゴーレム、痛みなんか感じないし、すぐにくっつけることもできる。
いくら羽無殿の剣でも同じ。
しかし、阿の腕はくっつかない、っていうか身体が崩れていく。
「終わりハム。
物には弱点があるハム。
人間なら心臓とかアタマとか。
血液がなくなっても死ぬハム。
こいつも同じハム。
身体の核を壊したハム」
だんだんと崩れていく阿の身体。
しかし、そうなってもまだ羽無殿の方に向かってくる。
羽無殿は阿の腹を斬る。
阿の上半身が地面に落ちる。
しかし、そこは関節ではない。金剛石に覆われた部分だ。
羽無殿の剣は普通の鋼鉄製だ。
斬れるわけがない。
「身体にも弱点はあるのと同じで物にも壊し方があるハム。
すべてのものが純粋な物質で出来ているわけじゃないハム。
物の混じりけのある部分は脆い。だからそれに沿って斬れば金剛石でも斬れるハム。
剣術の基本ハム」
羽無殿は、金剛石が斬れた理由を解説してくれる。
しかし、そんなに簡単にできる技ではないのは確かなのだった。




