九里の国大名 九里秀平18
わたしを斬ろうとした侍が2人、その場で倒れる。
え、どういうこと?
わたしが顔をあげると、そこには小柄な剣士。
三角の耳につぶらな瞳、ひくひくと動く鼻。
この人は羽無太郎左衛門だ。
「間に合ったハム」
「だいじょうぶにゃん?」
羽無殿の横では猫丸殿が肉球を舐めている。
「猫丸」
天満宮が若殿を驚いた眼で見る。
そう、普通ありえない。
一国の当主がこんなところに率先して現れるなんて。
自分の首の価値をわかってないのか?
猫丸の首が落ちたら因幡の国は終ってしまう。
「猫丸殿、なぜこんなところに」
わたしは若殿に問う。
わたしのような属国の領主のためにここに来たのなら、領主としてはダメだ。
うれしいけど、ダメなんだよ。
わたしの目に涙が溜まる。
「友達がいじめられてるにゃん。
猫は友達をいじめたら許さないにゃん」
「だめです。そんなことじゃ。
日輪の国を統一することなんてできません」
わたしの声は涙で震える。
「日輪の国を統一するなんてめんどくさいニャン。
それよりクリアタマを助けることのほうが大事にゃん」
「そうだウサ。
クリアタマはうっとおしいけど友達ウサ」
「わたしも弟子の波良を助けに来たハム」
怪力兎と羽無殿も同意する。
でも、この敵に対して5人。
ウサギと羽無殿は強いが、妖術の前では役に立たない。
あと狐面と茶色尻尾の少女。
こいつらもそんなに強くなさそうだ。
せめて、この前の9人全員集めるべきだ。
銀狼殿は止めなかったのだろうか。
「ちょうどいいですね。
ここで因幡の国を終わらせてしまいましょう」
そう言って天満宮が笑う。
その横で不知火の国の術師たちが構える。
ここに不知火と因幡の頂上決戦が始まるのだった。




