九里の国大名 九里秀平17
わたしたちの後ろで転がる阿。
いままでの突進のスピードもあって、大ダメージを受けている。
手足があらぬ方向を向いている。
こいつは人形のようなもの。
これで死ぬとかはないだろう。
しかし、時間は稼げる。
次は吽だ。
こいつは、笑いの仮面をかぶったやつ。
阿よりも少し身体は小さいがトリッキーな動きをする。
そこに襲い掛かる小柄な男。
こいつも七人衆のひとり、小那木源助だ。
この男も特殊な戦い方をする。
妖術使いと言ってもいいだろう。
小那木は吽の背後をとってしがみつく。
そのまま、固まったように背中にはりつく。
こいつは、自分の身体を石のようにできるのだ。
つまり、敵に捉まって生きた枷となることができる。
それで、敵の一人だけだが無力化できるのだ。
そのまま、絞め殺すこともある。
とにかく小那木は吽と一緒に地面を転がる。
これで、あとは天満宮の妖術だけだ。
だが、遠距離攻撃はわたしの感で避けることができる。
これで逃げ切ることができる。
因幡に帰ったら、銀郎殿や猿爺殿と対策を考えよう。
なにか妖術に対抗する方法があるはずだ。
しかし、何かまだ嫌なものを感じる。
だめだ、まだ終わりじゃない。
右に進路を変える。
そのとき、正面の地面が盛り上がる。
その中から巨大な腕。
これはゴーレム。
それがわたしの軍を薙ぎ払う。
わたしの逃げた先にももう一方の腕。
だめだ。他の方向に。
そこには蘆屋嵐道。
わたしの馬に正拳を極める。
馬といっしょに転倒するわたし。
なんとか立ち上がるわたしの前に天満宮。
「さあ、これで詰みですね。
しかし、あなたお得意の裏切りとやらをして、こちらにつくのであれば命は助けてあげますよ。
猫丸になんて義理はないでしょう」
「いやだな。おまえらにつくなんてな。
それに猫丸殿は裏切れないのだ」
わたしは天満宮を睨む。
「じゃあ、死んでください」
天満宮はまわりの侍にわたしを討つように命令するのだった。




