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乱世だけど呪いで猫ちゃんにされたので惰眠を貪ります  作者: PYON
第2章 不知火天外の野望

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九里の国大名 九里秀平14

「だから、無駄なんですよ。

 式神は最高の戦士なんです。

 腕を斬っても、すぐに直せます。

 痛みも恐怖も感じないんです。

 ただの剣士には倒すことはできませんよ」


 はめ込んだ腕はまた動くようになっている。

 そして、波良の疲れが激しいのに対し、式神の動きは変わらない。

 いや、よりギアが上がっている感じさえする。


「それに、式神は学習するのですよ。

 それをわたしは人工知能と呼んでいます。

 敵剣士の癖を覚えて、戦いに生かすのです」

 天満宮が得意げに解説しているうちに阿の爪がついに波良を捉える。

 波良の身体に爪が突き刺さる。 

 とりあえず、波良の負けだ。


 阿はとどめをさそうと踏み込んでくる。

 それを大槍が阻止する。


「波良、下がれ。

 あとは俺がなんとかする」

 大豊が槍で阿を押し戻す。

 大豊藤兵衛は九里の中でも体の大きな槍使いだ。

 剛力でも九里で一二を争う。

 元は力だけあればいいと考えていた大豊だが、駛馬殿の槍を見て自分の限界を知ったのだ。

 それから駛馬殿に弟子入りし鍛えてもらっている。

 波良は天才といっても軽量級だ。

 やっぱり、戦では身体の大きさがものを言う。

 

「殿、ここは逃げてください。

 俺には、こいつらを止めるのが精一杯です」

 

 あれほど猪武者だった大豊がきちんと自分の力を理解している。

 こいつも成長している。

 

「わかった。藤兵衛、わたしは退くぞ」


「ええ、すぐに駆け付けます。殿」

 そう言って、大豊は槍を正面で回す。

 そう、今の言葉は嘘だ。

 自分でも、生きてこの式神たちを止められないとわかっているのだろう。

 本当は有望な若者を無駄死させたくない。

 しかし、こいつらの気持ちは受け止めないとならない。

 それが殿の責務なのだ。

 猫丸殿のいう平和な世界が訪れれば、こんな有望な若者たちが死んでいくことはないのだろう。

 

 わたしは馬を返す。

 その後ろを九里七人衆が守る。

 そのわたしの前に天満宮晴海が立ちふさがるのだった。

 


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