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乱世だけど呪いで猫ちゃんにされたので惰眠を貪ります  作者: PYON
第1章 猫になった若殿
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九里の国大名 九里秀平01

 戦国の雄、因幡虎丸往く。

 わたしのもとに、そのニュースがもたらされた。

 わたしは胸をなでおろした。

 本当に恐ろしい男だった。

 この日輪の国の小さな城主だった虎丸は次々と周りの国を攻め征服していった。

 とにかく強い男だった。

 引くということを知らない猪武者。

 殿様なのに一番前線で戦う戦闘狂。

 その武力は敵対する国を震えあがらせた。


 この九里の国もかつては因幡と戦った。

 因幡が千人に対しこちらは二万。

 本来なら負ける戦ではなかった。

 それなのに、奴らは深夜雨の中奇襲を行いやがった。

 わたしたちの軍は馬の足音も聞こえず、いきなり現れた因幡軍に敗走することとなった。

 結局、九里の国は因幡に降伏することとなった。


 そのあとは本当に地獄だった。

 因幡虎丸は本物のいじめっ子体質だったのだ。

 わたしの頭の形はすこしとんがっており、頭頂部にしか髪の毛がない。

 それを見た虎丸はわたしに栗頭というあだ名をつけたのだ。

 それ以来、わたしは九里秀平という名を失った。

 わたしはクリアタマとしか呼ばれなくなった。

 その上、わたしも最前線で戦わされる。

 もともと九里の国は将軍家から分れた由緒ある武士の棟梁。

 因幡のようなどこの馬の骨ともしれない田舎大名とは違うのだ。

 古き兵法を修め用兵に長けたわたしは自ら戦うのは得意ではない。

 それなのに九里の軍は、最前線に送り出されるのだ。

 もちろん引いたりしたら、虎丸の軍に斬られる。

 わたしたちは死にものぐるいで戦うしかなかった。

 わたしもなんども死線を彷徨った。


 わたしたちはもう謀反しかないと思っていた。

 ただ、それは簡単なことではなかった。

 相手はあの虎丸だ。

 名前どおり虎のような恐ろしい男だ。

 たぶん、わたしたちなら100人がかりでも奴を倒すことは難しいのだ。

 虎丸はこの日輪でも指折りの武人なのだ。

 ばれたら死あるのみ。

 わたしたちは、周到に準備を進めていた。


 その矢先にその朗報はもたらされた。

 原因はわからないが急死とのことだった。

 わたしには、神罰と思えた。

 あの男は自分を魔王と称していた。

 その神をも恐れぬ言動が神の逆鱗に触れたのだ。

 そして、神はわたしを戦国の雄として選んだのかもしれない。

 この好機を逃してはいけない。

 丁度虎丸を倒すために武器を手に入れ兵を増員している。

 神はわたしを選んだのだ。

 乱暴なだけの男にこの世界は治められない。

 戦乱の世を終わらせるにはわたしのようなものが適任なのだ。



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