九里の国大名 九里秀平10
「そうだが、おまえは誰だ」
わたしは侵入者に返事をする。
「天満宮晴海、不知火国の陰陽師です」
「それが、わたしになんの用ですか」
「噂に聞く通りなかなかの武将ですね。
こんな状況でもおちついておられる」
「おほめいただいて恐縮だな。
もしかして、おまえたちに寝返ることを勧めに来たのか」
「それもいいかもしれませんね」
「わたしは因幡猫丸殿の家臣だ。主を裏切ることはできない」
「そうですか。九里の殿は損得勘定に長けた方だと伺っておりましたが、そんな計算もできないとは思いませんでした」
「ああ、わたしは猫丸殿に惚れたのだ。猫丸殿のつくる世界を見てみたいとおもうのだ」
「わかりました。わたしもあなたの翻意を促しにきたわけではございません。
術もつかえないあなたの国を仲間にしてもあまり意味がありません。
世界は変わったのです。
いままで闇の力とされていた魔法。
それが日の目をみる時代となったのです」
「ではあなたはなにをしに来たのですか?」
「因幡の国に宣戦布告にきたのです。
将軍なんてものは不知火の敵にもなりません。
もう、日輪の国は不知火のものになったも同然なのですが、唯一気にしないといけないのが虎丸の武でした。
それも虎丸殿がなくなったことで終りました。
ただ、虎丸を引きついだものがいるなら、今のうちに潰しておきたいのです」
「そんな簡単に殿は潰せないですよ。
それにわたしがそんなことをさせません」
「いいですね。
あなたを潰したら猫丸は動きますかね」
「いや、それはないでしょう。
殿は猫ですからね。
ただ、わたしが殿のために戦いたいだけです」
「試してみましょう。
猫丸という男をね」
そう言って天満宮は手をあげる。
いつの間にか彼の後ろに背の高い2体の仮面が立っているのだった。




