九里の国大名 九里秀平04
わたしと伊刈は戦場に駆け付ける。
幸いまだ不知火は門まで到着していなかった。
わたしたちが受け持つのは東門。
門からは不知火軍がこちらに来るのが見える。
塔に上って見るが、東だけでなく西も北も南も。
ただ思ったより数は多くない。
東門は千ってところか。
こっちも盛っているけど、むこうも同じだ。
「九里殿、因幡の国は大変らしいですな」
筒井慶順がわたしの隣から話しかける。
中央の有力大名のひとりだ。
将軍家に仕える有力御家人だ。
中央にはこういう妖怪たちが多くいる。
情報を聞いて探りを入れてくる。
「ええ、虎丸殿が倒れられたのですから」
「虎丸殿のあとを継いだのは、希代のうつけと聞いていますが」
「いえ、若殿はなかなかの人物ですよ」
「わたしはあなたが東国を手に入れると思っていましたがね」
「わたしはそんな器ではありませんよ」
「ところで、不知火の部隊、思ったより少なくないですかね。
ざっと千といったところに見えますが」
「わたしもそう思っていました。
他に本隊がいるのでしょうか」
「とにかく、ここは我々で守りましょう。
援軍が来るまでくらいならなんとかなるでしょう」
「ええ、都の守護、筒井殿がいれば心強いです」
「因幡の先鋒、九里殿こそ無敵と聞いていますぞ」
腹の探りあいは続く。
とにかく、戦うふりをして、適当なところで逃げるしかない。
「伊刈、行くぞ」
「はい。一番槍は我々がいただきます」
わたしと伊刈は目で合図をして、駆ける。
そう、ちゃんと作戦は打ち合わせている。
少し叩いて引く。
そうすれば、筒井も戦わざるおえなくなる。
我々の突撃隊千を筒井隊二千が追っかけるという形になるのだった。




