因幡の国忠臣 木島吉嗣05
「めっそうもございません。
このクリアタマ、虎丸殿の奴隷でございます。
大恩のある虎丸様のご子息に謀反を起こすわけないじゃないですか。
いやだなあ。
これは軍事演習ですよ。
因幡の国に何かあったときに動けるようにわたしが中心となって練習しているのです。
え、赤鬼が若殿と戦おうしたですって?
それはあいつが勝手にやったことですよ。
わたしとは全然関係ありません。
わたしは未来永劫、因幡の国の忠臣でございます」
なんかクリアタマの人が猫丸さまに土下座をしている。
どうなってるんだ。
やっと追いついたけど、途中あの赤鬼は倒れてるし、全滅していた部隊もあった。
それでこのシチュエーションって、何が起こっているのだ。
あのクリアタマは九里秀平。
敵の大将だったな。
それで若殿の前で頭を下げているってことは。
勝ったの?10対5万で?
「わかったにゃん。
もう看板を壊したらダメにゃん」
信じた。
あんなの口から出まかせなのに。
その上、どや顔をしている。
猫のよくやる顔だ。
「わかりました。
看板はわたしが直しておきます」
クリアタマは頭を地面にこすりつける。
もう、プライドも何もないな。
「そろそろ、ごはんの時間ハム」
「お腹空いたシカ」
「帰ろうチュン」
お子様軍団が騒ぎ始める。
「そうにゃん。ごはんは大事にゃん。
みんな帰るにゃん」
猫丸はくるんとターンして走り始める。
「殿、待つちゅん」
「ずるいウサ」
みんなそれに続く。
え、また走るの。
まだ、わたしはついたばっかなんですけど。
明日は筋肉痛だな。
わたしは、うんざりしながらも、若殿たちのあとに続くのだった。
すぐに彼らはわたしの視界から消えた。
わたしも獣化の呪いをかけてほしい。
こころからそう思ったのだった。




