伊刈高広07
「なんじゃ、お前らは。
しかし、お前を潰せばおわりじゃ。
因幡猫丸、わしと勝負しろ!」
赤鬼が猫丸に勝負を挑む。
たしかに、いままで猫丸は戦っていない。
部下は強くても殿様は強い必要はない。
結局、殿様は神輿でありシンボルなのだ。
だから、猫丸に戦いを挑んだのは正解だ。
「いいにゃん」
猫丸は刀を構える。
赤鬼の獲物は戦斧だ。
それも常人には持ち上げられないような大斧。
「ぶっ潰してやる!」
赤鬼は戦斧を振り下ろす。
その戦斧は刀に受け止められる。
特に大きくもない普通の刀だ。
赤鬼は力を入れるが猫丸はびくともしない。
剣術の技の域を超えているが、猫丸は達人の域に達しているのだろう、
それだけじゃない。そのまま、斧は砕ける。
それにくらべ、猫丸の刀は健在。
そのまま、前に踏み込んで、突く。
猫丸の姿勢は崩れていないのに対し、赤鬼の身体はのけぞっている。
ボディががら空き、隙だらけだ。
ただ、その大きな腹の筋肉は細い刀では貫けないだろう。
しかし、赤鬼の大きな腹に穴が開く。
あの剣、何か魔法でも帯びているのか。
赤鬼はそのまま地響きをたてて倒れる。
「さすが殿、将棋隊の王だけあって、一番強いハム」
羽無が猫丸を讃える。
あの悪鬼が秒殺。
ありえないだろう。
やはりこいつらと戦ってはならない。
「九里はどこにゃん」
猫丸はわたしに尋ねる。
「殿は奥の陣にいます。
わたしがご案内します」
わたしは案内係をかって出る。
この下剋上の世、こんなやばいやつらと戦うくらいなら、九里を裏切るなんてどうってことはない。
「頼むにゃん」
猫ニャンはそう言って、わたしの馬の後ろに飛び乗る。
「わかりました」
わたしは副官に赤鬼隊の処理をするように指示をする。
そして猫丸とともに、九里軍の本陣に向かうのだった。




