伊刈高広06
「なかなかいい構えです」
玄白も剣を構えなおす。
「では行くハム」
羽無はそう言ったとたん姿を消す。
いや、一瞬で玄白の目の前に現れる。
次の瞬間、玄白の右腕が宙を舞う。
「これで終わりハム」
玄白の首に刃が突き付けられている。
勝負あった。
この強さ、本当に四天王なのでは。
さっきのうさ耳といい、さっき感じたいやな感じ。
こいつらと戦わないほうがいいのでは。
「油断したらダメチュウ。
戦ったら確実に殺すチュウ」
いつの間にかもうひとりの丸耳が来て、双剣を構えている。
その瞬間、玄白の首が落ちる。
「ごめんハム。
殺すのはかわいそうって思ったハム」
「それがお前の悪いところチュウ」
そう言って双剣を振ったとたん、周りの十人くらいの首が落ちる。
たぶん、こいつの方が腕は上。
「大将はどこニャン。
早くしないとごはんの時間にゃん」
猫丸はまわりを見回して、耳をピクピクさせる。
「こいつら。
皆の者かかれ!
いくら強くてこれだけの数でかかれば負けるわけない」
赤鬼が吠える。
そして、赤鬼隊が獣たちに襲い掛かる。
これはいくらなんでも猫丸の勝ちはなないだろう。
そう思ったのは一瞬。
目の前に信じられないようなことが起こっていた。
さっきのうさ耳は目の前の兵士をつかんでは投げる。
鹿少女は長い足で敵を蹴り飛ばす。
鼠耳とハムは軍の中に入り込んで斬る。
巨体の牛男は巨大ハンマーで兵たちを潰す。
馬男は長い槍で兵を突き殺す。
雀は空を飛んで爆薬を投げる。
2人の忍者は神出鬼没に暗殺をこなしていく。
すぐに赤鬼軍は機能しなくなる。
何もできずに逃げ惑うだけだ。
「助けてくれ!」
わたしの足元で敗残兵がたすけを求める。
わたしの副官は混乱を防ぐために、その兵を斬りつけるのだった。