伊刈高広04
「お前に顔が怖いからと追い出した赤鬼じゃ」
「思い出したニャン。
怖い顔のおっさんニャン。
やっぱり顔が怖いニャン
鬼瓦みたいにゃん」
「なんだと」
赤鬼は猫丸につかみかかろうとする。
「猫丸くん、君は降伏しにきたんじゃないのか?」
わたしは助け船を出す。
このままじゃ収集がつかない。
赤鬼もおちつかせないとならない。
「降伏?にゃん」
「そう、いくら君でもこの戦力差を見て勝てないのはわかるだろ」
「違うニャン。
立て看板に書いておいたニャン。
攻めてきたらダメニャン」
「ダメニャンってどういうことですか」
「攻めてきたらやっつけるにゃん」
「ハハハやっつけるだと!
やってもらおうじゃないか」
小山のようなガラの悪いスキンヘッドが前に出る。
こいつは赤鬼の部下だ。
ただ、いやなものを感じる。
こういった輩は世紀末漫画で一コマでヒデブってなるやつだ。
まさか、現実でそんなことはないよな。
「若殿、やっちゃっていいんですか?ウサ」
兎耳の少女が、その前に立つ。
いや、その無理やりなウサはなんだ。
「いいニャン。
こいつらは縄張りを侵したにゃん」
「何言ってんだ!
やっつけられるわけないだろ。
逆にぶっ潰してやんよ!」
うさ耳をつかもうとする大男。
その腕を片手でつかんで投げる。
大男の身体は空高く舞い上がる。
ありえないだろ、重力がおかしくなっているのか。
たぶん20メートルくらいの高さまで。
なかなか落ちてこない。
そして落ちてきた男、外国のアニメなら地面に人の形の穴ができるところだ。
だが、これは現実、男は硬い地面と衝突して熟れた果実のように潰れた。
少女はなにごともなかったように猫丸の横に戻るのだった。