神界01
今日は最高神アマテラスが神界に戻ってくる日だった。
天岩戸の前には、すべての神が集っていた。
力神たちが岩戸を開ける。
その中から光につつまれた美しい女神が現れる。
「皆の者、ご苦労さま」
アマテラスは少し微笑んで神々をねぎらう。
最前列から上級神が並ぶ。
一番前はイザナミ、イザナギの兄妹だ。
その次にオオクニヌシ。
「おかえりなさいませ。
世界神会議は如何でしたか」
イザナミは深く頭を下げる。
「うん、なかなか勉強になったわ。
むこうは科学が発展しているみたい。
やはり日輪も戦争ばかりしている場合じゃないわね。
戦争は技術発展を遅らせるからね」
「おっしゃるとおりです。アマテラス様。
わたしも今の日輪のことを憂慮しています」
イザナギはもみ手をしながら愛想笑いを浮かべる。
「それで、日輪を統一できるものは出てきたの?」
「それですが、オオクニヌシのせいで日輪はとんでもないことになっているのです」
イザナミはオオクニヌシを指さして言う。
「どういうこと?」
アマテラスもオオクニヌシに目をやる。
「ええ、日輪の国は因幡猫丸が統一しました」
「因幡猫丸、虎丸の子だね」
「はい。その若武者です」
「でも、あの子は日輪統一なんかに興味がないでしょ」
「ええ、わたしが少し失敗してしまいまして…」
「そうなんです。
このオオクニヌシの部下が猫丸に獣化の呪いをかけてしまったのです。
それで獣化して強くなった猫丸が日輪の他の国を攻め滅ぼしてしまったのです。
まあ、このオオクニヌシが他にも裏でなにかやっているとは思いますが、日輪の力関係を無茶苦茶にしたのです。
それは本来神が手をだしてはいけないことなのです。
それを止めるために下級神スサノオが日輪に下りましたが、それも退けてしまったのです。
そのおかげで、日輪の国は無茶苦茶になっています」
アマテラスはイザナミの告げ口をうなづきながら聞いているのだった。