因幡の国忠臣 木島吉嗣26
「まさか」
「これが有だニャン。
有であり無なのだニャン。
むずかしいんだニャン」
どや顔の猫丸殿、なんか難しいこと言ってるけど、あんまわかっていないのかもって思うのはわたしがだけか。
とりあえず、スサノオは膝をついている。
もう、戦闘態勢ではない。
神との戦いは終わったのだ。
「くそっ、こんなはずでは」
スサノオは吐き捨てる。
そこに扉が開いて、男神と女神が現れる。
「わたしはイザナミ。
このものたちは神であるにもかかわらず、下界に干渉した。
それは神として禁忌の行為である」
「我はイザナギ。
我々上級神は下界を見守るべきものである。
彼らは我々が神界に連れ帰ろう」
2人の神はスサノオたちに掌をかざす。
スサノオたちは光の玉につつまれて空に登っていく。
「それから、因幡猫丸。
おまえたちの力は下界の者としては過剰である。
それも下界の不安分子となる。
来週にはアマテラス様が高天が原に戻ってこられる。
たぶん、おまえたちはオオクニヌシから力を与えられているのだろう。
沙汰は追って下す。
首を洗って待っているが良い」
女神が若殿を睨んで言う。
「ニャン。
この人も頭の残念なおばさんだニャン。
言ってることがわからないニャン」
猫丸殿はそう言って首をかしげる。
いや、目の前の人たちはどう見ても神様だろ。
それに対してその態度はないだろう。
「何だって!
まあいい。アマテラス様は厳しい神だ。
おまえらのようなふざけたやつらを許さないだろう」
女神は憎々しげにそう言って、天を指さす。
イザナギもイザナミも光の玉になって、天に登っていく。
アマテラス様といえば、神話に言う日輪の最高神だ。
猫丸殿はそんな神様にさえ喧嘩を売ってしまったのか。
この因幡の国はどうなってしまうんだろう。
「つかれたニャン。
お腹もすいたし、ごはんの時間ニャン。
お城に帰るニャン」
猫丸殿はそう言う。
「ウサー」
「ハム」
「シカー」
将棋隊はそれに答える。
そしてみんなで、因幡城に帰っていくのだった。