因幡の国忠臣 木島吉嗣22
「猫丸出てこい。
ヤソガミ様の仇、おれが取ってやる」
スサノオが吠える。
すごい闘気を感じる。
わたしなら、やつの前に立っていいられないだろう。
それにしても、ヤソガミの仇ってなに?
でも、若殿が出るまでもないだろう。
とりあえず、将棋隊でスサノオの力を削った方が得策。
もし、なんならわたしが奴の前にでてもいい。
奴の技のひとつでも引き出させたら若殿の役に立つだろう。
わたしは足に力を入れる。
なんとか立つだけなら大丈夫だ。
「ヤソガミ?
あの神様にゃん」
将棋隊の中から猫丸殿が出てくる。
猫丸殿はこの闘気の中でも戦えるみたいだ。
「そうだ。俺の師匠だ。
本当であればアマテラス様の次に日輪を治めて、俺がナンバー2になる予定だった。
それなのに、ヤソガミ様はおまえらに負けて失脚したのだ。
その上、ヤソガミ様のあとは俺ではなく、オオクニヌシが次ぐこととなった」
「あの戦いはやばかったニャン。
将棋隊のみんながぼくを守ってくれたにゃん。
それでギリギリ退けたにゃん。
なんか偉い神様のおばさんが来なかったらわからなかったニャン」
「アマテラス様のことか。
そういえばさっきアマテラス様に化けた狸がいたな」
「たぬ姫がモノマネが得意にゃん。
あのときのおばさんそのままだったニャン」
「そうか。
アマテラス様がダイヤモンドダストを使ったんだな。
納得した。ヤソガミ様はこの猫ニャンに負けたんじゃなかったんだな。
ヤソガミ様の左腕をとったのはアマテラス様なんだよな」
「まあ、あのおばさんには助けてもらったニャン。
将棋隊全員を生き返らせてもらったニャン」
「アマテラス様を呼んだのは、あのオオクニヌシ。
あいつのやりそうなことだ。
ヤソガミ様につきながら、スパイをしていたんだな。
人格者を装ってヤソガミ様の勢力を自分のものにしていたんだ。
きたねえ奴だよ。
はやくお前を倒してオオクニヌシを倒しに行く」
そう言って刀を抜く。
猫丸殿もそれに答えるように腰の刀を抜くのだった。