因幡の国忠臣 木島吉嗣21
「ひさしぶりで身体が軽いヒーン」
駛馬殿は身体を伸ばす。
「そのくらいで俺を倒せるわけないだろ」
「それと若殿の力も受けているヒーン」
槍をくるくると回す駛馬殿。
「ならば、死ね!」
そう言って剣を抜くオロチ。
剣撃をくらわす瞬間。
オロチは8体に分裂する。
「おっと、やばいヒーン」
駛馬殿は、その攻撃を躱して後ろに飛ぶ。
「やはり、手加減してはおまえは倒せないな」
8人のオロチが駛馬殿をかこむ。
でも、牛鬼殿も他の将棋隊も動かない。
これは1対1じゃないだろ。
それに8体の方が神だし。
「一瞬で終わらせてやる」
そう言って8方からオロチは襲い掛かる。
「刀は線で戦うヒーン。
しかし、槍は点で戦うヒーン。
この場合8点をつけばいいヒン。
簡単なことだヒーン」
「抜かせ」
オロチの剣撃が駛馬殿を襲う。
しかし、その剣撃は駛馬殿の手前で止まる。
「これで終わりヒーン。
おまえは分裂するたびに力が弱くなるヒーン。
中級神かもしれないけど、分裂したら弱い下級神8体になるだけだヒン。
それなら、俺程度で対応できるウマ」
そう言って、槍を立てる。
その駛馬殿のまわりに8体のオロチが倒れる。
全員の胸に風穴が開いている。
駛馬殿の槍が貫いたのだ。
それにしても最後の語尾、ウマだったけど。
さて、あとは一人だけ。
スサノオとかいう神だけだ。
「まあ、こんなものだろう。
ヤソガミ様を倒したのはおまえらだからな。
ただ、俺はいままでのやつらとは違うぜ」
白い長髪のラスボスが将棋隊の前に立ちふさがるのだった。