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乱世だけど呪いで猫ちゃんにされたので惰眠を貪ります  作者: PYON
最終章 邪神スサノオ降臨
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因幡の国忠臣 木島吉嗣18

 羽無殿強い。

 やはり、将棋の駒は成ったら強くなるみたいだ。

 それなら、最初から成ってれば、たぬ姫と稲荷殿を失うことはなかったのに。


 わたしはたぬ姫の残骸を見る。

 えっ。

 たぬ姫の引き裂かれた身体がずるずると動いていく。

 なんか一ヶ所に集まろうとしているみたいだ。

 なんだこのホラー映画な展開は。


 身体に引きちぎられた手足がくっつく。

 そして、立ち上がる。

 首のないゾンビ。

 それが首のほうに歩いていく。

 両手で首を持ち上げて、首をつける。

 いや前後まちがえているし。

 首をくるんと回して正しいむきにする。


「地味変化、バラバラ死体たぬ」

 たぬ姫はそう言って微笑む。

 いや、全然地味じゃないし。

 いままで見た中でいちばん大掛かりな変化だったし。


「死体のまねだって?

 この化け狸、もういちど引きちぎってやる」

 ヒルコは触手を伸ばす。


「地味変化、前に神様と戦ったときに出てきたおばさん、タヌ」

 たぬ姫は葉っぱを頭にのせる。

 それから飛び上がってクルンと回転する。

 想像どおりの狸の化けるポーズだ。


 たぬ姫は金色の光につつまれた高貴で神々しい女神のすがたになる。

 お約束でおしりにはタヌ尻尾がついている。

 

「アマテラス様」

 ヒルコの触手が止まる。


「しらないけど、前に見たおばさんの真似だタヌ。

 なんか、若殿に負けたヤソガミとかいうのを連れて行ったタヌ」


「しょせんはモノマネ。

 おまえは狸だ。

 アマテラス様ではない」

 そう言ってヒルコは触手を伸ばしてくる。

 その触手はさっきのように女神に巻き付こうとする。


「そのおばさん、こんなことをしていたタヌ」

 そう言うと杖を掲げる。

 その杖の先から光が空に登って、光のカケラみたいなものが雪のように下りてくる。

 その光に当たったとたん、ヒルコの触手は砂のように崩れていく。

 やがて、ヒルコ本体も砂の像のように崩れていくのだった。


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