因幡の国忠臣 木島吉嗣16
「みんな、成るにゃん!」
猫丸殿が叫ぶ。
「わかりましたハム」
「了解、チュウ」
「と金だチュン」
「わかったウサ」
将棋隊は返事をする。
成るって…?
将棋の駒ってひっくり返ったら強くなる。
それを成るっていうけど。
「これが殿の力の一つウキ。
殿は将棋隊に成ることを命じることができるのじゃウキ」
平手殿が教えてくれる。
その時、将棋隊のみんなの身体が光りはじめる。
覚醒したって感じで、倒れていたものまで立ち上がる。
「なんだ。おまえら」
「なんどやっても同じだ。
おまえら人間は神にはかなわないのだ」
神たちは口々に言う。
「とにかくわしが潰してやろう。
全員まとめてかかってこい」
ノミノスクネが前に出る。
「ひとりで十分ウサ」
いきなり極悪ウサギが前にでる。
いまは金色ウサギだ。
ノミノスクネの前で指を鳴らす。
でも、いくら怪力ウサギでも神の力には敵わないだろう。
覚醒したのなら全員でかかればワンチャンあるかもなのに。
「おまえはバカか。
いくら覚醒しても神に敵うはずがないだろう。
軽くひねってやる」
嘗めた態度のノミノスクネにゆっくりと金色ウサギが近づく。
「うっせえウサ」
極悪ウサギはそう言ってノミノスクネの横っ面を張る。
ノミノスクネはそれを受ける。
そう、極悪ウサギと言っても細身の少女。
その攻撃が自分に通じるとは思っていない。
極悪ウサギのビンタが当たったとたん、ノミノスクネは回転して吹っ飛ぶ。
そして、ウサギは跳ぶ。
踵からノミノスクネのところに落ちてくる。
さすがに神、その踵落としはギリギリ躱される。
「ちっ」
舌打ちする極悪ウサギ。
その足が落ちたところは大きなクレーターとなる。
なん、この破壊力。
「おい、うちにも蹴らせるシカ」
そう言ってノミノスクネに近づく金色の鹿女。
ノミノスクネのところに行って、回し蹴りをくらわす。
スクネの巨体はまた回転して吹っ飛び、もう立ち上がることはないのだった。