因幡の国忠臣 木島吉嗣13
「なかなかいい攻撃だ。
しかし、俺には通用しない」
2人の攻撃は簡単に止められる。
普段、この2人の門番は胸を貸す側だ。
全国より腕自慢が因幡城の門に力試しにやってくるのだ。
それを簡単に退けてしまう2人が、まるで子供扱いだ。
オロチは剣で2人の武器を弾く。
飛ばされる駛馬殿、牛鬼殿。
しかし、着地したとたん、また飛び込んでいく。
今度は細かい攻撃。
駛馬殿の素早い突きを連発する。
牛鬼殿も同じ。
2人とも手数を出していく。
それをたやすく躱すオロチ。
「無駄だ、おまえたちの攻撃など見えている。
いくら強くても人間ごとき神には勝てないのだ」
オロチはそう言って、攻撃に転ずる。
刃の広い剣で駛馬殿を斬りつける。
速く強い攻撃。
駛馬殿は反射的に槍の穂で受ける。
ただ、力負けして身体ごと持っていかれる。
大きく飛ばされて地に落ちる。
牛鬼殿はその時を逃さない。
攻撃のあとに隙が生じるという。
その隙を突こうと攻撃を加える。
しかし、その攻撃は通らない。
左手の剣に受け止められる。
その静止したところへ、もう一方の剣。
牛鬼殿ももう一方の斧で受けるが、力負けをして飛ばされる。
まったく相手にならない。
獣化しているといっても人間の剣技では神には通用しないのか。
吹っ飛ばされても、牛鬼殿と駛馬殿は立ち上がる。
あきらめずにオロチに向かう。
「うっとおしい奴らだな。
しかたねえ、本当の力を見せてやるよ」
オロチがそう言って印を結ぶ。
そのとたん、オロチは2人に分身する。
それぞれ、駛馬殿牛鬼殿に向かう。
「これで一対一だ」
二人のオロチは剣を振る。
その剣撃に牛鬼殿、駛馬殿は貫かれるのだった。