因幡の国忠臣 木島吉嗣02
衛兵たちは5人に飛び掛かる、
「だから、俺たちは神だって」
そう言って、中央の男は掌底を叩き込む。
その衛兵がふっとばされ投擲の岩のように仲間をなぎたおす、
「おまえらごときになんとかできる相手ではないぜ」
残りの4人もたやすく衛兵たちを蹂躙する。
まるで、将棋隊のような圧倒的な強さ。
50人くらいいた衛兵たちは、いつの間にか全員が倒されている。
「無駄だ。人間がわしらに勝てるわけがなかろう」
一番大きな男が吠える。
「王様を守れ!」
「将軍さまもだ」
護衛の兵士たちの動きも活発になる。
わたしも若殿を守るために前に出る。
「退け、俺の目的は新将軍だ。
上級神イザナギが猫ニャンが将軍なんて認めないってよ。
だから、俺たちが遣わされたってわけだ」
「若殿の将軍をみとめないだってチュウ」
わたしと一緒に護衛をしていた根津吉殿が前に出る。
それから、羽無殿もだ。
「そうだ、獣化したバカにこの日輪の国を治められるはずがない。
猫丸が治めたら、この国はいまよりもっと乱れるに決まっている」
そんなことはない。
現に因幡の国は虎丸殿の頃よりも平和になっている。
「しかし、神は人間社会に手を出せないはずハム」
「普通な。しかし、緊急の場合は別だ」
「緊急?ハム」
「そうだ。邪神に力を与えられた悪党がこの国を乗っ取ったと聞いている」
「殿のことを悪党だってチュウ」
「殿が悪党?ハム」
さすが猫丸殿の側近、憤っているのか。
「そうだ。邪神にチートな力を与えられた悪党だ」
「そんなわけないハム。
殿には悪だくみなんてできないハム。
殿はそんなめんどくさいことできないハム」
「おまえら。猫丸の側近だな。
猫丸といっしょに倒してやるよ」
中央の神はそう言って羽無殿と根津吉殿を睨みつけるのだった。