表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/156

因幡の国忠臣 木島吉嗣27

「お兄ちゃんが危険で危ないにゃん」

 白猫姫が前に出ようとする。

 

「あなたの相手は私、クモ」

 そう言ってフードの女が動く。

 女の指の動きに合わせて、糸のようなものが白猫姫の手足に絡みつく。


「私は蜘蛛姫、蜘蛛の虫人クモ」

 白猫姫の身体を覆う糸が増えていく。

 

「こんなもの、大した事ないニャン」

 白猫姫は暴れる。

 しかし、糸は離れない。

 より強く白猫姫を拘束する。


「姫っウサ」

 怪力ウサギが白猫姫のところに行く。

 糸をほどいて取ろうとするが、こいつにはそんな器用さも繊細さもない。

 自分も一緒に絡まるだけだ。


「わたしの糸に囚われたら終わりクモ」

 蜘蛛姫は余裕の表情だ。

 白猫姫は糸でぐるぐる巻きにされて繭のようになっていく。

 やがて白猫姫の身体は見えなくなる。

 怪力ウサギも同じ。

 白い糸にぐるぐるに巻かれていく。 

 暴れるがこの糸に力が通用しないみたいだ。

 いくら暴れてもより強く糸に絡められるだけだ。


「わたしの糸はその者の力を封じるクモ。

 いくら力があってもわたしの繭からは抜け出せないクモ。

 さて、残りもやつらも全員繭にしてやろうクモ

 そして、あとで喰らってやるクモ」

 

「それは大変ニャン。

 みんなやられてしまうニャン

 それに食べられるのはイヤだニャン」

 白猫姫が蜘蛛姫の横で感心している。


「そうだ、お前たちはもう終わりクモ」

 蜘蛛姫は嬉しそうに言う。


「終わりニャン。

 それはやばいニャン」


「そうだろクモ…えっ…おまえ」

 蜘蛛姫は隣の白猫姫を凝視する。


「ん?」


「だから、なんでここにいるクモ。

 お前は繭の中だろうクモ」


「ごめんニャン。

 暑いし狭いからテレポーテーションで出てきたニャン。

 そろそろ戻るニャン」

 白猫姫の姿が消える。


 しばらくして、また白猫姫が現れる。


「やっぱりこの遊びはつまらないニャン。

 飽きたにゃん。

 次の遊びをするニャン」

 白猫姫はそう言って蜘蛛姫の手をひっぱるのだった。

 たぶん、蜘蛛姫は白猫姫の遊び相手認定をされたみたいだ。

 このあとのことを考えると蜘蛛姫のことを気の毒に思うのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ