因幡の国忠臣 木島吉嗣19
「じゃあ、後は頼んだチュン」
そう言って、小太郎殿に任せて飛んでいく紅雀。
「頼まれたカー」
紅雀は地上に下りてくる。
まずは雀の負け。
やっぱり今度の敵はいままでの敵ではない。
瞬殺といかないようだ。
「まあ、なかなかやるけど、それほどでもないチュン」
紅雀は腕を組んでそんなことを言う。
完全に負けたただろう。
そう言う目で見ると、紅雀は言い訳をする。
「うちの武器は爆弾だチュン。
でも、爆薬もタダじゃないチュン。
この程度の敵にはもったいないチュン」
そういえば、こいつ最初に出陣したとき爆弾を投げてたな。
たしか、中隊くらいは全滅させていた。
空ではカラス忍者と蜻蛉の戦いが続いている。
飛行技術は鬼面蜻蛉のほうが上かもしれない。
だが、烏丸殿のトリッキーな動きがそれを埋めている。
どっちも決め手にかける。
戦いは膠着状態だ。
ただ、烏丸殿の動きがすこし鈍ってくる。
やはり虫のほうが持久力が上なのか。
「そろそろ、疲れてきたようだなトンボ。
獣は瞬発力に優れるが、すぐに疲れるトンボ。
それを待てばこっちの勝ちトンボ。
空の王者はトンボなのだ」
「それはどうかなカー。
空の王者はやっぱり鳥だカー」
「どういう意味だトンボ」
「いや、そろそろついたかなってことカー」
その時、上空を何が旋回している。
まさか。
「お前の敵は俺ではないカー。
本当の空の王者カー。
おまえらは上からの攻撃に弱いカー。
鳥はおまえらよりも高く飛べるカー」
その時、上から一瞬で大きな影が急降下する。
そして、その落下物は鬼面蜻蛉を捕らえ、彼を地上に叩き落とすのだった。