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因幡の国忠臣 木島吉嗣15

 でも。蝶と蛾の違いってなんだろう?

 なんか明確な違いはないらしいけど。

 なんか、蝶って言ったら綺麗な感じで、蛾っていうだけで触るのも嫌になる。

 たぶん、その違いは人間が決めただけなのにな。


「蛾じゃない蝶だチョウ」

 冷静さを失った胡蝶に駛馬殿の槍が決まる。

 そのまま、後ろに飛ばされる胡蝶。

 胡蝶撃破ってところか。

 それにしても蝶でも蛾でもどっちでもいいじゃん。

 自分でチョウっていってたんだから、蝶でいいと思う。


 さて、次は…

「百足丸参るムカデ」

 巨大なムカデの身体に人間の上半身がついたもの。

 

「牛鬼無心斎参るウシ」

 いきなり重量級同士の戦いとなる。

 牛鬼殿は斧、百足丸は剣だ。

 ただ、百足丸は無数に手足がある。

 上から6本の腕に6本の剣を持っている。

 根津吉殿の二刀流ならぬ六刀流だ。


 牛鬼殿は2本の戦斧を使う。

 羽無殿の剣術、駛馬殿の槍術にも並びうる使い手だ。

 それにその巨体と剛力。

 牛鬼殿の腕で振り下ろす戦斧は防ぐ方法がない。


 百足丸は二本づつの刀をクロスさせて斧を受ける。

 しかし、まだ二本の腕が残っている。

 その2本の刀で牛鬼殿を斬りつける。

 牛鬼殿はすぐに飛びのいて避ける。

 そう、牛鬼殿は牛獣人だけど、それなりのスピードをもっている。

 百足丸の刀は牛鬼殿の皮膚を一枚だけ斬る。

 牛鬼殿の胸には二本の赤い筋。

 百足丸の頬にも一本の赤い筋が走っている。

 互角ってことだろうか。


 達人たちの戦いは膠着状態になる。

 2人は少し距離をおいてにらみ合う。

 どっちも構えだけで攻撃には出ない。


 前に羽無殿に教えてもらったことがある。

 剣術試合は、将棋に似ているって。

 いきなり斬りあうのではなく、頭の中で幾通りもの相手の動きを読む。

 もう斬りあいは始まっているのだ。

 お互いにピクリとも動かない。

 この戦いではしびれを切らしたほうが負けだ。

 牛鬼殿は動きが止まる。

 目を閉じて無の世界に達する。

 そのとたん、百足丸が静止を解き、牛鬼殿の懐に突撃をするのであった。

 



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