因幡の国忠臣 木島吉嗣12
「あんたら、大きなものが強いとか思っているハチ。
本当に強いのはね。ハチ。
小さなものの集まりなんだハチ」
勝ち誇ったように笑う炎蜂。
「でも、もう刺されないハム。
武道には気の流れで解毒する技があるハム。
ハムには毒なんて通用しないハム」
羽無殿は武道の達人。
しかし、それに慢心することはなく、日々精進している。
それは身体強化にまでおよんでいたのだ。
「そして、身体を硬くすることもできるハム。
もう、おまえらの針はとおらないハム」
羽無殿は刀を構える。
これで将棋隊最弱なの。
「蜂の攻撃方法は針だけと思うハチ?」
「どんな攻撃でもハムには通用しないハム」
「では、ハチの本当の力を見せてやるハチ」
そう言って炎蜂は手をあげる。
また、蜂は空中に集まる。
その黒い塊は再びハム殿を襲う。
今度はさっきより密にハムを包む。
まるで繭のように。
その繭がだんだん小さくなっていく。
「蜂の最終攻撃手段はねハチ。
自分の体温をあげて獲物を包み込むことハチ。
その熱によって蒸し焼きにするハチ」
「羽無殿二は身体強化がある」
そうだ。羽無殿なら熱にも耐えることができるはずだ。
「もし、そうだとしても。
中の空気はどんどんなくなっていくハチ。
蒸し焼きにならなかったとしても、窒息ハチ。
苦しめ。耐えられなくなって口をあけたら、そこにハチが入り込むハチ。
名付けてハチ地獄ハチ」
ハム殿を助けることはできないか。
わたしはハム殿に近づこうとする。
そこに、空からハム殿に突っ込む小さな影。
それから、ゴムのようなものが横からハム殿を殴りつける。
空には雀鳥人紅雀、わたしの前には蛙忍者蛙沼玄蕃がたっているのだった。