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世界は哀に溢れている  作者: 衣月美優
第四部 狭間に揺れる葛藤と破壊
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第四十九話 別の意思


 フィリップが今やらなければならないこと。それは、カルロスの願いを叶えること。

 そのために、フィリップはいつかエミリーと接触しなければならない。いつまでも、今のように避けていては、何も成し得ることはできず、用済みになってしまうことだろう。


 だけど。


 フィリップは、フィリップの意思とは別の、何かの存在を感じ取っていた。

 ギルバートに宣戦布告をしたフィリップ。

 鬼婦人とエミリーを引き剥がしたフィリップ。

 それらは、フィリップの意思とは別の意思からくるものではないのだろうか。そんな風に考えて、行動は一層慎重になる。


 いや、そもそも、二度目に生を受けた時点でそれは感じ取っていた。だからこそ、最初からエミリーには不用意に近づかないように気を付けていた。彼女は多能力者だから、どんな影響があるかわからない。

 それでも、カルロスの願いを叶え、フィリップ自身も生きるために、エミリーに接触することは避けては通れない。だから、ギルバートの方から接触することにした。そうすることで、少しはリスクを減らせるのではないかと思えたのだ。


 これが正解だったのかはわからない。だけど、間違いだとも思えない。

 せっかく、二度目の生を受けたのだ。まだしばらくは生きていたい。生きていたいという気持ちに関しては、おそらくは別の意思もそうなのだろう。

 そのために、少しでもリスクを減らす。ギリギリまでエミリーとの接触を断つ。フィリップか、フィリップの別の意思か、どちらかが必要に迫られる、その日までは。


 とはいえ。


「君は僕に会いたくて、仕方ないんだろうけどね」


 それでも、今は会わない。会えない。

 何の影響もなければそれでいいが、何か影響があったとき。そのときは、もしかしたらエミリーにとってもよくない影響があるのかもしれないのだから。


「僕を生かしたいなら、現状維持が理想だと思うよ」


 フィリップの命はカルロスに、ルーインに握られている。何かあれば、容赦なく切り捨てられるだろう。それはきっと、エミリーも望まないはず。

 それならば、直接的な接触をしない、今の状態のままが一番いいのではないか。フィリップは、フィリップに会おうとしているだろうエミリーを思い浮かべながら、そう言葉にした。






 次こそはフィリップに会わなければならないとエミリーが口にしたとき、ギルバートはいい顔をしなかった。ギルバートがいい顔をしないことは、エミリーもわかっていた。

 だから。



 ──────ギルが嫌がることを進んでしたいとも思わない



 ──────今はまだ(・・・・)、私からはアクションを起こさない



 そう言って、今すぐには会わないということを約束した。尚も納得のいっていない顔はしていたが、エミリーが譲歩したから納得せざるを得なかったのだろう。

 それに、いくら納得がいかないとしても、ずっとこのままエミリーだけ会わないということは、ギルバートとしても心のどこかで避けたいと考えていたはずだ。同じ幼馴染なのに、エミリーだけが会えていない。その状況をよしとすることもできないだろう。


 あれから、何日が経ったかはわからない。ただ、生活は相変わらず。ひたすらに強くなるために努力して、宛てもなく彷徨うだけ。

 そもそも、いつもフィリップはギルバートを勝手に攫って勝手に現れているのだから、こちらからアクションを起こすというのも難しい話だ。二人はいつだってフィリップのペースに乗せられているだけで、一度だってこちらから見つけられたことはない。


 強くなるために努力することも大事だ。だけど、そろそろ、フィリップやルーインをこちらから見つけられるようにならなければならない。このままではいつまで経っても受け身の状態で、劣勢となってしまう。


 だから、エミリーはある一つの能力の底上げを決意した。


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