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第二の刺客 カトラ・フラワーズ

高校二年生にしてモテキを迎えた萌斗。その彼を取り合う幼馴染の美琴と完璧美少女の詩織。

日々争いが繰り広げている彼女たちに、突如として新たなライバルが現れた。


アメリカからの留学生、カトラ・フラワーズ。

日本人にはいない天然のブロンドに大きな目、抜群のスタイルに

何より高校生離れしたその豊満な胸である。クラスの男子には瞬く間に人気になった。


「カトラさん、学校案内しようか?」

「俺、何かお菓子とかかってくるよ!」

「今の椅子より俺の方が座り心地良いよ!」


カトラが初めてやってきた日のお昼休みには、

やさしさのアピールからただの変態まで多くの男子がカトラの席に群がっていた。


だが、現実は無情にも


「大丈夫デス! 先生がトガミサンに頼れと言ってイマシタ!」

「お、俺ですか!?」


カトラの席は萌斗の後ろ。隣の席はなく独立した位置にある。

確かにこれだと授業中に頼れるのは萌斗だけになる。


「まずは学校を案内してほしいデス!」

「ええ行きましょう、今すぐ行きましょう。」

「皆さんバイバイデス~」


萌斗は背筋を正してカトラと教室からでる。

クラスの男子勢は固まったまま動かなくなっていた。


((またあいつかよ……))




学校の中でも利用することが多くあるであろう、体育館や更衣室、購買を案内する萌斗。

次に訪れたのは保健室だった。


「ここが保健室。怪我したり具合が悪くなったらここに来るといいよ」

「分かりまシタ!」

「今は先生がいないみたいだけど……」


すると急にカトラがふらつきだす。


「あれ、カトラさん大丈夫?」

「ちょっとクラクラしマス……」

「えっ」


(張り切って案内しすぎたかな……疲れちゃったのかも)


そう思った萌斗はカトラを座らせて、保健室の利用書に名前を書く。


「まだ日本に慣れてないんだもんね、ちょっと横になる?」

「はい……なりマス」


カトラがベッドに横になり、そのそばに萌斗は椅子を持ってくる。

そして横になってもなお、消えない存在感を放つ双丘を眺めた。


(っていかんいかん。弱ってる女の子をそんな目で見ては)


萌斗は煩悩を振り切ったうえで、今一度凝視した。


(でもこの引力には逆らえんな)


「トガミサン……」

「ふえっ!?」


乳を凝視していて、カトラに腕をつかまれた途端変な声が出た。

見ていたのがバレたと思い、焦る萌斗。


しかしカトラは萌斗の腕を引っ張り、ベッドに入れた。


「見すぎ、デスヨ?」

「いや、そ、そんなことは……」

「クラスの男の子たちもそうデス。日本人はみんなこれが好きデスネ?」


カトラが制服の胸元を少しだけ、はだけさせる。

谷間に吸い込まれる萌斗の視線。


どんどん近づく頭に萌斗の理性は逆らえなかった。

が、次の瞬間視界が暗転する。


「お昼休み、終わるよ? 戸神君……」

「……おう……。」


何も見えなかったが、背中に感じる冷気で萌斗はすべてを察した。


(あ、加藤に見つかってるわ。死んだわこれ。)


「わ、ワタシは先に戻ってマスネ……」

「え? カトラさん? マジで?」

「わあ、これで保健室に二人きりだねぇ……戸神君……」


依然視界は暗いが耳元まで来ていた声に震え上がる。

普通なら大変喜ばしいイベントのはずが恐怖しか感じれないのはなんでだろう。


(てかずっと前見えないんだけど?)


萌斗がこれから何をされるのかに怯えていると聞きなれた声が飛んでくる。


「かとうしおりぁー!!」

「この声は美琴かっ!?」

「なにさらしてくれとんじゃあ!」

「ぐはあっ!!」


萌斗は顔に強い衝撃を受けてベッドから転げ落ちる。

さらに頭を打ってしまう。


「あら」

「まったく油断も隙も無い……」


目元に痛みが走り、視界が戻る。

ガムテープで目隠しされてたのかよ。眉毛抜けてないよね……?


「あの留学生に対処する間は休戦するんでしょ!?」

「つい魔が差しちゃって」

「つい、じゃないわ!」


てへっと可愛らしくして見せる詩織。怒る美琴。

萌斗が意識を手放すまでに見た最後のものはいつもの光景だった。






目を覚ました萌斗は見慣れない天井に困惑する。


(あれ、どこだここ……)


自分がベッドに横たわっていることを認識し、ここが保健室だと知る。

そして、こうなった経緯を記憶からたどっていた。


(そっか、ベッドから落ちたときに頭を打って……)


その時、保健室のドアが開く。

入ってきたのは美琴だった。


「あ、起きた? 本当にごめんね……私のせいで」

「え、ああ、いいよ別に。それより教室戻らなきゃ」

「荷物持ってきたから、このまま帰れそう?」


美琴の発言から、自分が放課後まで寝ていたことに気づいた。


「俺そんな寝てたのか」

「なかなか起きないからほんとに心配して」

「だから大丈夫だって、おかげで授業は出なくて済んだしな」


そのまま帰ろうと掛け布団をどかして、ベッドに手をつく。

妙に柔らかい感触に違和感を覚え、


飽くまでここではまだ違和感を覚えただけだ。

その上で数回揉んだ。当然正体が何かなんてわかっていない。

が、揉んだ。


そして違和感の方に振り返ると


「ふあ~……あ、おはようございマス!」

「カトラさん……!?」

「なんでカトラがここに!?」

「ねずみ子サンもおはようデス!」

「ねずみ子じゃない!」


萌斗が寝ていたベッドにはカトラが忍び込んでいた。


「私もいるよ」

「加藤までいんのかよ!」

「なんでよ!」


否、詩織も忍び込んでいた。


「萌斗サン、そろそろ手をどけてほしいデス……」

「あっ、ごめん!」


頬を赤らめるカトラ。この男もいつまで胸に手を置いているつもりだったのか。

ジト目で見てくる美琴が怖いので、名残惜しいながらも萌斗は手をどけた。


「なんでそんな苦しそうな顔してんのっ」

「ってそれよりカトラさん今俺のこと萌斗さんって呼んだか?」

「話そらしたね……戸神君」


二人の視線が怖いが、何とか別の話題にすり替えようとする萌斗。

美琴のはまあまだ可愛いもんだとして、詩織の視線は純粋に恐怖を感じれた。


瞬きもせずにジッと見つめている。そこに笑顔も恥じらいもない。

凍てつく視線をよそにカトラは元気に話す。


「そうデス! フジエダに聞きマシタ!」

「あいつ呼び捨てにされてんのか……」

「毎度のことだけど不憫ね……」

「でもなんでまた急に」


萌斗がカトラに尋ねると、彼女はいともたやすく言った。


「ワタシが萌斗サンを好きになってしまったからデス!」

「「ええええええええッ!?」」


(いやまあ、ワンチャンあるかとは思ったけども!)


出会って間もない女の子、しかも外国人を落とした萌斗。モテキ絶賛発動中である。


「まずいことになった……」

「もうやだ……」

「ウフフ」


萌斗の腕に抱き着きニコニコしているカトラ。

うなだれている萌斗と美琴。


(神様はなんでこう俺に修羅場ばかり与えるのだろう……)


この間、詩織は光を失った目で、微動だにせず萌斗を見ていた。




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