12.第二王子襲来!
リーファイ様に熱烈なプロポーズをされた。
もう死んでもいい。
いや、死ねぬ!ここで死んでなるものか!!
ものすごいドストライクなイケメガネが、私の婚約者ですって?
リーファイ様は観賞用、もしくは心のアイドル。
そう、割り切っていたのに、まさかの展開。
「夢かな?」
起き抜けのベッドの上で、怒涛の展開を告げた昨日のことを思い出していた。
私は夢見心地のまま、お弁当を作った。
お重を持って、玄関開けたらリーファイ様がいた。
なにこれ、毎朝の恒例玄関先ビックリ、ほんと勘弁して!
そのまま公爵家の乗り心地最高な馬車で一緒に登校すれば、ものすごい注目の的。
あっという間に、学園中に私とリーファイ様の噂は広まった。
「今日だけで、初対面の親友が増えました」
「初対面で親友?!」
「自称親友ですね。私にとっては誰だお前、です」
リーファイ様が味噌汁を噴き出した。
予想はできてたので、私はしっかりナプキンでガードをしたのでセーフ。
そのままナプキンをお渡しすれば、苦しげに笑いながら受け取ってくれた。
今日もまた、プライベートルームでのランチタイム。
昨日と違うのは時間差で待ち合わせたんではなく、リーファイ様がわざわざ私のクラスまでお迎えに来てくれたこと。
笑顔で手を振りながら「グウェン」と名を呼ばれ、思わず昇天しそうになった。
もはや悔いなし。
こんなに幸せでいいんだろうか。
どこかに落とし穴がありそうで怖い。
って、あった。
あったよ、でっかい落とし穴!!
「そういえば、第二王子殿下の件は本当の本当に大丈夫なんですか?!」
「もちろん、大丈夫だよ」
「でも――って、え?」
目の前のリーファイ様は上品に口を動かしていて、何もしゃべってない。
では、誰が?
入り口に背を向けていた私は、弾かれたようにそちらを振り返った。
「来ちゃった」
金髪碧眼の美形が、毒気が抜けるようなにこやかな笑顔を浮かべて立っていた。
密室に男女二人だけだとまずいので、鍵はかけずに少し扉を開けてたんだっけ、と今更ながら思い出した。このフロアに入れる高位貴族なら、誰でも侵入できる。
もちろん、第二王子殿下なら顔パスだ。
だが、入り口近くにいる護衛、何のための護衛だ。王子だったからよかったものの、暗殺者とかだったらどうしてくれる。まぁ、そんなものが大手を振って中には進入してこないだろうけど。
私が慌てて立ち上がって頭を下げようとすると、苦々しい顔をしたリーファイ様に手で制された。
「来ちゃった、じゃねぇよ!このバカ殿が!!」
「うわぁ、素敵な評価をありがとう」
リーファイ様の口が悪い。
年相応な友達同士の会話みたいで新鮮だ。
まぁ、相手がこの国の第二王子殿下というのが気になるところだけど、不敬罪とか大丈夫かな。