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01.異世界チェンジリング上

「転生王子はネメシスを待つ」

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こちらの短編は同じ世界観の別視点になります。

「ごめん。間違って、君たちまで巻き込んでしまった」


 何もない白い空間に、ふわふわと浮かぶのはサッカーボール大の光の珠。

 「私」たちは二人で抱き合って、冷たくも硬くもない不思議な感触の床にひざを突き合わせて座り込んでいた。

 光の珠はそんな私たちの目線の先に、ふわふわと浮かんでいた。


「ここどこ?なんでこんなとこにいるの?しゃべる光の玉って誰、いや、何?これって夢?! 」


 先に口を開いたのは、妹の方だった。


「まずはひとつずつ、答えていくね。ここは生と死の狭間。君らはついさっき、車にはねられて死んだ。今は魂だけの存在となって、ここにいるわけだ」

「わたし、お姉ちゃんと二人、横断歩道で――まぶしいヘッドライトが見えて、それから……」

「そして、僕は運命の神、場合によっては天使、はたまた悪魔。神は神でも、死神と呼ばれることもあるね。君たちよりも高次の存在なので、認識はできても光の珠のようにしか見えないだろう。まずは、君たちに寿命が残っているにも関わらず、死なせてしまったことを謝罪させてほしい」


 そう言って、光の珠が申し訳なさそうに上下した。

 あれは頭を下げている、というジェスチャーだろうか。


「本当は、車の運転手だけが単独事故を起こして死ぬはずだったんだけど、なぜか君たちがその瞬間に立ち会ってしまった。僕にとっても、想定外の出来事だったんだ。もちろん、これは夢でなく、現実だ」

「か、神?え、うそっ?!」


 ブルブル震え始めた妹を抱きしめ、私は自称神へと向き直った。


「間違った、想定外、とのことですが、その場合の責任の所在は?そして、補償などはどうなるのでしょうか?」

「君、この状況で妙に冷静だし、ずいぶん落ち着いているね?」

「まぁ、私はこの子の姉で、長女気質ですので」

「そ、そういうものなの、かな?」


 光の珠はチカチカと瞬いて首をかしげている、という雰囲気を醸しだしていた。

 器用だな。


「と、とりあえず補償というか、君たちには転生のチャンスをあげようと思うんだけど……」

「転生チャンス、キタコレ!!」


 恐怖に震えていると思っていた妹が、ガバリと顔を上げ、両手を伸ばしてガッツポーズを取った。どうやら武者震い、というやつだったらしい。


「ねぇねぇ、神様!これって、好きな世界へ転生させてくれるんだよね?」


 妹は興奮状態で、光の珠につかみかからんばかりだが、そんなに顔を近づけたら、火傷しそうで心配だ。

 そもそもあれって、光ってはいるけど熱くない?


「君は君で、こう、ショックを受けてるのかと思ったら違うし……最近の人間って、どうなってるの?」

「細かいことはいいの!で、どうなの?できるの、できないの?!」

「はぁ、一応、神ですし?前と同じ世界に戻すこともできませんので、お詫びの替わりにご要望はできる限り聞き届けるつもりです」

「やったぁ!!やっぱりここは乙女ゲームの世界がいいかな。好みのイケメンがたくさんいるような!あ、できたら今より美人にしてもらったりとかも可能?」

「まぁ、神ですから」

「ヒロインや悪役令嬢はめんどくさそうだし、絶世の美女じゃなくてそこそこがいいわね。どっちかというと可愛いよりも、キレイ系を目指したいわ。世界観は中世が希望だけど、文化的水準は現代日本くらいは欲しいな。戦争とかない、平和な世界観で。転生だから赤ちゃんからのスタートよね。お家の家格も真ん中くらいの、小金持ちならオッケー」


 ちょっと待って。

 もしかしなくても、その世界に私も転生させられるってこと?


 妹はかなりのオタクで、いろんな乙女ゲームにも手を出していたのは知ってる。

 しかし、私は妹と違って、乙女ゲームの話には付き合ってきたけど、やったことはない。


 だから転生とかなんとか言われても、困るんだけど?

 ほんと、ちょっと待ってぇ!!

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