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皇太子様との婚約回避したいんです!


 七年後………………



 「お父様。いいでしょう?おねがい!」


 「だめだ。」


 「お父様~~~~。」


 「だめだ。」


 「………パパ。」


 「ーーーっだめだ!!」






 「ん~~~~っ。」


 何回目かもわからないだめだ。をくらって、私はむくれた。

執務室の当主用の椅子に座っているお父様は、机の向こう側でそんな顔をする私を見て、ばつが悪そうに目をそらした。


 私に甘いお父様がここまで反対するとは思わず、私はいっそうむくれた。







 




 リリアン・ベドフォード七歳。

 可愛すぎる天使のようなお姫様に無事、成長しました!



 あれから七年間、わたしの前世での知識を総動員させて勉強やら美容やらを磨き続け、もう男が一目見たら全員惚れるんじゃないかと思うほどに可愛らしく成長。鏡を見るたび見とれてしまう。



 ベドフォード家特有の淡い金色をしたふわふわなびく髪、白磁のように白くなめらかすぎる肌。日焼けを一切していないその肌は、光を反射するのでは、というほど透き通っており、血色のいいほほ、なにも塗らなくても常に桜桃のような色に染まっている唇。金色の長いまつげに縁取られた大きな目は常に潤んでいて、青く見えるほどの綺麗な白目に、駄目押しの桜色をしたひとみはまるで国家級の宝玉。



 こんな可愛らしい容姿をしている娘のおねがいを、ここまで断るとは………。



 わざとらしく仕事をし始めるお父様。目が泳いでいる。こうなったら!と意気込んで、お父様の膝に飛び乗った。



 「わっ!リリー!」


 「ねぇお父様おねがい。聞いてくれたら今日から一ヶ月間、リリーお父様と寝る。」


 「本当か!?」


 見返りを出したとたん目の色が変わった。

 私は六歳から一人で寝ているから、一緒に寝れるのは貴重なんだよね。この王国の子達は遅くても一歳からは一人らしいけど。


 うんうんと満足してうなずく私を見て、お父様が正気に戻ってしまった。はっとして首を降っている。そして一人で片手を額にあてて、だめだだめだと呟いている。


 何がそんなに駄目なんだとばかりに服を引っ張ったところで、お母様が来てしまった。



 「リリーーー?」



 しまった!お母様には愛嬌は効かない!



 「ほら!こっちへ来なさい。あなたもしっかりしてくださいな。リリーを甘やかしすぎてはいけません。」



 「アンナ………。なぜ私たちの娘はこんなに可愛いのだろうか。君の美しさを完璧にひいた挙げく、愛嬌まで身に付けてしまった。」



 「はいはい。」



 お父様を軽く流して、お母様はわたしの腕を引っ張ってお父様の膝からおろした。そしてソファに座って私の目を覗き込む。相変わらず綺麗なエメラルドグリーンが光っていた。

 私の目を見つめながらゆっくり話し出す。


 「リリー。どうして勉強時間を増やしたいだなんて言うの?一日五時間していれば充分だわ。」


 それは………………。



 今度は私がばつが悪くて目をそらす番だった。


 


 あれからライお兄様に調べてもらって、私はやっぱりオーブリーだということがわかった。練習しなくても使える魔法がいくつかあったし、精霊たちも異常に私のもとへ集まってくる。正直言えば、魔法の才能と能力はいずれどこかへ嫁ぐ令嬢としてはすでに及第点。

 でも、それだけじゃ足りない。もっともっと勉強して、強くなって、作法も刺繍も編み物も全部できるようになって、皇太子に言ってやるの。


 こんな人に私は勿体ないって!!



 そうすれば婚約回避よ!死ななくて済む。



 



 でも、前世での記憶があって皇太子と結婚したら死んでしまうので嫌なんです。とは言えないじゃない!












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