私、初めての剣術大会に七歳で出場します!
「あっ!お父様ー!!」
いつの間にか訓練場に来ていたお父様に跳び跳ねながら手を降った。
今の、見てくださってたのかな………!
「リリーは剣術も上手だなぁ。お父様も負けてしまうかもしれないな。」
走りよると、苦笑しながらそういわれた。お父様が複雑そうなのもわかる気がする。娘がいつの間にか、騎士をバッタバッタたおすほど剣術を身に付けていたんだから。
自分の手の中にある剣をみて、えへへ、と笑っておいた。
あれから剣術をライお兄様に教えてもらってたんだけど、やってみたらすごく楽しかった。いっぱい練習しなくてはいけないけど、ライお兄様がちゃんとケアしてくれるから体を壊したことは一度もない。前世で剣をあつかったことなんて一度もないけど、リリアンの体だからできるのだと思う。
お父様が私のほほの汗を拭った。
「汚れますよ」
慌てて言うけれどお父様は構わず私を抱き締めた。
「よかった。リリーがまた笑ってくれて。」
お父様達が、わたしが魔法のことで自分を責めていることに責任を感じてることは知ってた。でも改めてこんな風に言われると申し訳ない。
「ごめんなさい。私、小さな頃からずっと迷惑ばかり………」
「そんなこと気にしなくていいんだ。迷惑だなんて思ってない。」
はい。と頷いてお礼を言う。
剣術をやってから気持ちが晴れるようになって、魔法だけにとらわれないにしようって思ったんだ。魔法ができないなら他のことで優れていればいい。そう思えるようになったの。
「お父様、私実は、やらなければならないことがあるんです。」
お父様の腕から抜け出して顔をあげた。
クララック様のお願い………。
今まで自分のことで手一杯になって、あまり活動できていなかったけど、自分のことばかり考えていられない。
「やらなければならないこと?」
「はい。なので、今まで魔術と剣術に時間を費やしてきたんですが、一度、どちらからも離れようと思います。」
「………そうか。」
「そこでなんですが………」
そばにいた侍従から紙を受けとり、お父様に渡した。
「………………出て、いいですか?」
必殺、上目遣い!!
結果、お父様は完敗した。
「リリー、本当に出るの?」
「一度だけ、今の自分がどこにいるのかを知っておきたいんです。」
心配そうな顔をしているお母様をなだめて、仮面をつけなおした。
「では、行って参りますね。」
「えぇ………。」
馬車に乗り込んで中にからお母様に手を降る。まだ心配がおさまらないのだろう、ずっと手を握りしめていたが、馬車が走り出すと、手を振り替えしてくれた。
私が出たいと言ったのは、剣術大会。子供から大人まで参加できるもの。
半ば勢いで決めてしまったところはあるけれど、自分の実力によって変わってくる。私がこれから、剣術で勝負するか、魔術で勝負するか。
王からの返答はまだない。なら当初の計画を実行するしかない。ならなんにせよ、自分だけの武器を作っておかなきゃ!
「カイお兄様も出るんですよね?最初に当たったら、どうしましょうね。」
ふふ、と笑うとカイお兄様も仮面のしたで笑った。
「もちろん、リリーに勝ちを譲るさ。」
私たちが仮面をつけるのはもちろん、ベドフォード家の人間であることを隠すため。特に私は。瞳と髪の色はライお兄様に変えてもらったけど、このリリアンの絶世の美少女さはみる人の記憶に残ってしまうだろうから。そうなったら、社交界に出たときがめんどくさい。
そうでなくてもベドフォード家はめったに外にでないからね、騒然となっちゃうから。
「到着したようだな。おりよう。」
「はい。」
ちなみに馬車も家紋を消して、古くさいものにした。
会場は国立闘技場。結構大きな大会だから、初戦敗退も十分考えられる。覚悟して行かなきゃ。