リリアンは家族に愛されています
「ただいま戻りまし」
「リリーーーーーッッ!」
うわ!?
誰かがおもいっきり突っ込んできて、私に抱きついた。
お、お兄様!
精霊に家の庭まで送ってもらって、ドアを開けた途端の
カイお兄様のドアップ。
カイお兄様とは、カイル・ベドフォード。ライお兄様の双子の兄。ライお兄様と真逆で、剣術や体術に優れている。どのくらい優れているかと言えば、熊ぐらいならちぎって投げるとでもいったら伝わるだろうか。
「カイおにいさっ ちょっ まっ!」
「どこに行ってたんだ!大丈夫か!?怪我してないか?怖かっただろう。もう大丈夫だ!」
まくしたてながら私を持ち上げる。
十二歳の腕力じゃないっ!降ろしてくれと抗議するけどその気配はない。私を抱えたまま歩き始める。
「お兄様!?」
「お父様もお母様も心配してるぞ」
このままつれていくってことね!?
力でお兄様にかなうわけもない。私は大人しく抱えられていることにした。
「ライお兄様は?」
「あいつもお父様の執務室にいるよ。」
無事なのね。よかった。精霊に話されたあとからそのまんまだったし………。
「お父様、入ります。リリーとカイルです。」
中に入ると、中央の机にお父様が、前のソファにお母様が座っていた。二人とも不安そうな顔をしていたけど、私を見てほっとしたように表情をゆるめた。
「リリー。よかった無事で。」
「お父様、心配かけてごめんなさい。」
カイお兄様の腕から降りて椅子から降りたお父様のもとへ走りよると、ぎゅうっと強く抱き締められた。そうしながら微かに笑う。
「まぁアゼンタイン公爵家にお邪魔になっていたそうだから、大丈夫だろうとは思っていたけれどね。」
あれ?
顔をあげてたずねる。
「ご存知だったのですか?」
「あぁ。アゼンタイン家の方から精霊が言伝てを預かって来てね、それで探すよう要請もしていないということだ。」
クララック様かな。いつの間に………。
「そうなのですね。」
頷くと、いきなりお父様が無言になり、くるっと体の向きを反転させられた。そのまま軽く押しやられる。
??
戸惑いつつ前を見ると、お母様と目があった。その膝に何かを抱いている。それをよく見て目を丸くする。
「お、お兄様………」
眠っているライお兄様だった。目のまわりが赤い。
泣いてたのかな。あのお兄様が?
お母様がその頭を撫でながらゆっくり口を開く。
「リリーがいなくなった後私の部屋に飛び込んできてね、リリーとはぐれた、ごめんなさいわたしのせいですって。もう顔をぐちゃぐちゃにして。お父様のもとまでつれていくのが大変だったわ。」
それを聞きながら、そっとそばによって床に座り込む。胸がいたかった。お兄様のせいじゃないのに。
「ごめんなさい。お兄様。」
呟いて手を握る。するとお母様が首を降った。
「今回の件は誰が悪いでもないわ。無事帰ってきたことだし、みんなして謝るのはもうやめましょう。」
「そうだな。」
お母様の言葉にお父様が頷いた。