03話 「パレードの影で」
「騎士団のご帰還だ! 鐘楼の音を街へ届けよ!」
街を一望できる時計塔の最上階には鐘型の魔導品が階下からの操作を受けて広い街の隅々まで荘厳な音色を届けると、街全体が喜びの熱を帯びる。
人々はその天上の音色に酔いしれた後、一斉に慌ただしく動き出した。
「凱旋パレードの準備に取り掛かる! 城詰めの従騎士隊は王城までの道筋の整備と、街道への出迎えへ!」
「倉庫から紙吹雪と鳴り物をありったけ持ってこい!」
「おい楽師を急がせろ! 尻を蹴っ飛ばしても構わん!」
生まれたばかりの朝日に照らし出された白亜の城は、今日も侵されざる清廉さと神聖さをまとい英雄の名を冠する国の城として相応しい姿を見せつける。
城の中には広場があり、道は人間が二十人以上横並びに歩いてもまだ余裕を感じさせるほど広く、その中央には叡智を以て世界を見つめる龍の紋章が刻まれていた。
「整列!」
街へと続く城門前では、門兵がいつもより緊張した面持ちで背筋をピンと伸ばし、やがて訪れるであろう貴人を待つ。
緩やかに昇る朝日が彼らの立つ白い石畳を照らし出し、その先に続く純白の街並みを映し出す。背の高い建物類には罅割れはおろか汚れた染み一つも見当たらない。
ともすれば味気ない白紙に絵の具をのせるように、鮮やかな染色細工や浮彫細工が街全体に命を吹き込んでいた。
芸術的、と表するに相応しい街の装いは、初めてそれを目にする者を感嘆させることだろう。
聖龍国ミトラの王都エリュシード。
龍の庇護を受け、聖女の名を冠した国の中心部。
何百年も穢れなき美しさを体現する世界有数の大都市の姿である。
「此度の遠征の詳細、聞きまして? 我らが第二軍が相対したのは、まるで山と見紛うほどの巨大な魔獣だったとか」
「ええ、ええ! さすがの騎士様も攻めあぐねたとか!」
「けれど最後には第二王子自らがその巨体ごと両断してみせたんですって! あぁ、なんて勇壮なのかしら! さすがは王国の斧鉞と謡われるお方ですわね!」
王城に近い沿道で黄色い声を上げるのは、上質な絹で身を包みギラギラした装飾品で身を飾った貴婦人たち。
城の中心から遠ざかるごとに人々の装いは貧しくなり、ボロに身を包んだ若者たちは沿道に並ぶ富裕層の隙間を縫いながら、声変わりのしない声を張り上げていた。
「新聞だよー! 第二軍のご活躍がこれ一つで早わかり!」
「詳細を知らずに出待つは不敬の始まりってやつだよー!」
富める者も貧しき者も、誰も彼もが笑顔であった。
富裕層は日々の疲れや悩みを忘れて熱狂に身を任せ、貧困層は『これ稼ぎ時』と野心に満ちた笑みを浮かべながら駆けまわる。あの鐘の音は誰にとっても等しく、幸福と好機をもたらす祝福だ。
「――そこの新聞売りの少年」
街を駆け回り声を張り上げていた少年が立ち止まる。
喧騒の中でも透き通るような鈴の音に似た麗しい声だった。
「まい、……ど?」
小脇に抱えた新聞のご用命だと少年は朗らかな笑顔を作りながら勢いよく振り返った。しかし目に飛び込んできた光景に作り慣れた愛想笑いが強張る。
「ちょうどよかった。新聞を一部」
見たことがないほど美しい少女だった。
何よりも髪も服も瞳の色さえも真っ黒な立ち姿に声を失った。
被るフードまで黒で染め上げられた中で、白磁のような端正な顔立ちが少年新聞売りの目を惹きつけて離さない。
蠱惑的な微笑みに魅入られて生唾を呑む少年だが――
(白い街に現れる――黒い女)
ふと、近頃、界隈で囁かれる噂話が脳裏によぎる。
白い景色に垂らされた墨のような女の都市伝説だ。
黒尽くめの女はふらりと現れて新聞を一部買う。そして内容を一瞥すると新聞を突っ返し、この世のものとは思えない妖しげな微笑みと共に喧噪の中へと消えていく。
疑問に思っても決してその後ろ姿を追ってはいけない。
正体を探ろうとした者は皆、口を揃えて。
『――恐ろしいモノを見た』
決して女と関わってはいけないと釘を刺すのだと。
(ただの嘘っぱちのはずじゃぁ……)
根も葉もない馬鹿げた噂だと思っていた。
大方、競争相手を牽制するためのホラ話だろうと。
けれど目の前にいま、噂そっくりの女が立っていて――ぽかんと間抜け顔で固まっている様子を見て、片眉をあげながら覗き込んでくる。
「少年? 一部欲しいのだけど、聞こえている?」
「ぁ……ええと、新聞?」
「新聞」
催促の声と共に手が差し出される。
意識下で思考をまとめるより早く、条件反射で少年は新聞を手渡していた。長年の習慣がそうさせたのだが、代金を払う前に新聞に目を落とす姿に不安がよぎる。
(しまった、代金と交換しないと……)
情報だけを浚い、踏み倒されるかもしれない。
足を棒にしてようやく掴んだお客だ。
弟たちを食わせるために誰であろうと新聞を売り込み、金の回収も行わなければならない。
負けん気を出して少女の横顔を睨み付ける。
少女は鋭い視線などどこ吹く風であった。
「ふむ、ふむ……なるほど」
『ナナシノ村の調査難航。猛威を振るうゴブリン被害』
『オーガ山賊団、消息不明? 騎士団は未だ警戒を促す』
『紅翼商人オルトマン・ファロウ氏の後継者争い、加熱』
『木材の値段が暴落中』
少女は目を滑らせ、数秒もしないうちに頁をめくる。
一面にでかでかと載った騎士団の帰還も、社会面の端っこに載った品物の相場も全く同じ時間を費やし、そして伝え聞いた通り、新聞を全て流し読むと突っ返してきた。
「ありがとう。代金だよ」
「ぁ……」
受け取るその手が震えないように意識しながら、お決まりのお礼を口にしようとしたとき、新聞の上からずしりとした重みが掌にかかった。
見るとそれはいま抱えている新聞全てを売り払ってもなお届かない額の銅貨だった。泡を食って顔を上げ、端正な顔立ちを間近で見る。
「あ、あの、これ」
「取っておくといい。心付けさ」
そう言って微笑んだ少女が踵を返す。その姿が雑踏の中に消えていくのを呆然と見つめ、見えなくなった頃にようやく我に返った。
夢のように思えた邂逅だが、握らされた銅貨の枚数が現実だと証明している。
「噂と、ちょっと違う、な……」
微笑んだ少女の顔を思い返すと、自然と頬が熱くなる。
知りたい。あの少女は何者なのだろうか。
「はっ……だめだ、だめ!」
その欲望に負けた誰かが、恐ろしいモノを見たのだ。
ふるふると頭を振って雑念を払いのけ、少年はまた新聞を小脇に抱え直して走り出す。
日銭どころか数日は飢えずに済む金だ。これで手持ちが全て掃ければ、弟たちに甘いお菓子も買ってやれるかもしれない。
そうだ、弟たちにも話してやろう。
黒尽くめの女の噂を。
意気揚々と駆け出した時、喜びに満ちたラッパの音が響く。
「ああ、いよいよご帰還だ――」
沿道に集まった市民たちの熱狂が高まるなか、少年の小さな体もまた雑踏の中へと消えていく。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
黒尽くめの少女――ルシカは新聞売りの子供と別れた後、大通りに面した二階建ての建物に辿り着く。端には薄汚れた格好の無精髭の中年が茶封筒を抱え、ルシカを認めると軽薄そうな笑顔を向けてきた。
「毎度ありー。ご依頼の品をお届けに上がりましたぁ」
男は顔見知りの情報屋だ。
顔が広く事情通で、街の地理にも事情にも明るい。
金払いさえ良ければ年若い女だろうが子供だろうが、一端の客として扱ってくれるのが特に良い。
情報は足の早い食材のようなものだ。
真っ当な売り物も秒単位で鮮度を失うし、眉に唾を付けるようなガセ話も溢れるほど世には出回っている。その中で依頼主が喰い付くような質の良い商品を常に提供できるこの男は、重宝すべき存在だった。
「首尾は?」
「値段相応の仕事はできたと思ってますがね」
「うん、ご苦労様」
茶封筒を受け取り、代わりに一枚の金貨を手渡す。
渡された金貨をまじまじと見た情報屋はご機嫌そうに口笛を吹いた。
「金貨でお支払いとは景気がいい。けれど釣り銭を持ってこいなんて言われてないんで持ち合わせがないんですわ。差額分は何すればいいんです?」
「顔を繋いでもらいたい相手がいる。詳しくは今夜酒場で」
「今後ともご贔屓に」
けたけた、と情報屋は笑いながら金貨をポケットに落とし、去っていく。
ルシカは茶封筒の中身を一瞥し、入れられた書類の分厚さを見て満足そうに頷くと建物の中へと入っていった。
複数の部屋が立ち並ぶ廊下を歩き、階段の手前でまた人に会う。
「どうも主人。遅くなってすまないね」
「……」
「おや? 不機嫌そうだ。私の相方が何か粗相でも?」
「……いいや」
牛の顔をした中年女が、眉を顰めて向き直る。
ルシカより二回り以上大きな体躯は威圧感たっぷりで、仁王立ちのまま跳躍するだけで高い天井に頭の角が突き刺さりかねない。が、恐れるほどではない。
彼女は牛人族。半人半牛の獣人族だ。
首都ほどの規模の街ならば様々な種族が道を行き交うもので、彼女のような存在も珍しくはなかった。非社交的な態度は彼女自身の性格ではあるが。
「では、こちらが約束の六万エーテル」
懐から銀貨袋を取り出し、牛面の眼前に突きつける。
女は眉根を寄せたまま差し出された銀貨袋を引っ手繰ると、その中身を目の前で確認した後、ふんっ、と鼻を鳴らした。
「……はいよ。銀貨六枚、確かに」
「では約束通り、部屋を貸してもらうよ」
言って牛女の横を抜けようとするが、分厚い腕がその進行を妨げる。牛女は疑り深い目でルシカをじろじろと見据え、ドスの利いた声で続けた。
「先に来た男の子にも言ってあるが……」
「『借りている間、部屋内へのあらゆる武器の持ち込みと使用を禁ずる』……うん、事前の取り決め通り、その条件の遵守を龍と精霊に誓うよ」
口にすると同時、ルシカの身体が仄かに青白く発光した。
光というよりは炎に近い。
ゆらりと陽炎のように青白い輝きは揺らめき、そして結実と同時に光の粒と弾ける。一連の現象を目の当たりにした牛女が重々しく頷き、口を開く。
「後ろ暗いことに使われるとあっちゃあ王家の方々に顔向けができない。当然の確認だと思っとくれよ」
「もちろんだとも。パレードの妨害なんて恐れ多い」
「ちょっと前に行列に突っ込んで王子様を落馬させた不届き者もいたもんでね。何にせよ警戒に越したことはないのさ。余所者相手にはね」
そう語る女の態度の端々から、貴人への強い尊敬や畏敬の念が窺える。
生憎と『余所者』である自分には共感しかねる感情ではあるのだけど、と薄っすら微笑みながらもう一度その脇を潜り抜けていくと、その背に野太い声が飛ぶ。
「待ちな、もう一つ」
「まだ何か?」
「……いいかい、うちの部屋はパレードを特等席で楽しんでいただくために貸し出してるんだ。別の意味で盛り上がるんじゃないよ」
はた、と階段を登る足を止めて振り返る。
バツが悪そうに髪の毛を掻く獣人族の女が、視線を嫌がるように目を逸らした。
「なるほど?」
誰も通さない密室の空間を作る若い男女の二人組。
なるほど、なるほど、とルシカの理解が脳に浸透し、そして口端が嫌らしく吊り上がる。
「ふふ。約束はできないなぁ。お代はもう渡したし、誓いも立てた後だ。後出しで別の条件を出すのは筋が通らない。次回があれば明記しておくんだね」
ご機嫌そうにそう言い残して階段を駆けていく。
後ろではきっと苦虫を噛み潰した牛面があるのだろうが、分かり切った顔をいちいち確認するつもりはない。内心の愉快さを押し殺しながら、年相応の少女のようにステップを踏む。
どん、と外で空砲の音が響いた。
それは一度では留まらず、黄色い声が波のように広がった。
「おっと、始まった」
熱と歓声が一段階跳ね上がるのを空気で感じながら、ルシカは借りた部屋の扉の前へ。ノブを回して中に入ると、大開きの窓に身を乗り出して外を見やる相棒の姿があった。
「ハル――」
その顔を振り向かせようとして思い留まる。
ルシカの入室にまるで気付かない相棒に微笑みを向けると、後ろ手に施錠して部屋の中へ。足音を殺してその背に近づき外の様子を眺める。
(王国騎士団、第二軍――か)
派手な装飾に身を包んだ偉丈夫が巨大な軍馬に跨って、パレードを先導していた。民衆に向かって手を振るたび感激した民衆たちの黄色い声が飛ぶ。
その後ろに銀甲冑に身を包んだ勇壮な兵士たちが続き、誇らしげに槍を掲げて行進する。槍には聖龍国の旗印が括りつけられ、風を受けて誇らしげにはためいていた。
(威風堂々、という言葉がこれほど相応しい凱旋もない)
力強くも規則正しい行軍は、二階の窓から見ても最後尾が見えないほど長い。恐らくは何時間もかけて王城まで練り歩いていくことだろう。
その雄姿に釘付けとなり、人々が道を埋め尽くす。
国と王族、そして騎士団への熱狂的な人気が見て取れる。
「うぉぉぉお……ぉおお、すげえぇ……」
無意識に感嘆の声を上げ、沿道の人々と同じくキラキラと目を輝かせる相棒の様子にくすり、と笑みをこぼすと、体が沈むほど柔らかいソファにそっと身を沈めた。
(どうも長くなりそうだし、先に書類に目を通しておこう)
しばらくの時間が流れた。
飽きもせず外の喧騒は生き物のようにうねり、それに伴って少年の歓声や興奮が高まって留まるところを知らない。
(ああ、此処は平和の縮図だ)
穏やかなのに刺激的で、誰もが満たされた顔で笑う。
それはこの国が善い国であるという証左ではあるが――
(そんな場所でも生き苦しさを感じる者もいるわけで)
それが皮肉的だ、と内心でごちる。
付箋が付いた書類には手書きの注釈が付いていた。
情報屋の細やかな仕事に内心で評価を上げながら備え付けの菓子を口に含み、一つ一つの項目に目を留めるたび口角を吊り上げる。
「――うん、誤差なし。確定かな」
丸一週間を掛けた情報収集の結実を実感する。
これ以上の探索行為は蛇足になるだろうし、部屋の主に渡したお金で持ち合わせもほぼ使い切ったところだった。数日以内に行動に移さなければならない。
頭を回していると、ある人物の項目に目が留まる。
「これは――」
興味深い――そう続くはずの言葉を無意識に呑み込む。
度重なる情報の取捨選択を繰り返しながら疑問や未確定といった空白を埋めていく作業を、全て引っ繰り返しかねない誤差――いや、これはもはや欠陥だ。
絵合わせは完成しているのに、まだ欠片が残っているかのような違和感。
今まで仕入れてきた情報との噛み合いようもない齟齬。
その意味を頭の中で転がして――
「――この違和感の正体は、実際に目にするしかない、か」
「ルシカ?」
先送りを決める独り言が窓際の少年の耳に届いたらしい。
振り返った彼はルシカの姿を認めると、照れたように頭を掻きながら窓から身を引き、呻くように言う。
「来てたなら声、掛けてくれよ、人が悪りぃ――」
「歓声を上げてパレードを楽しむのを邪魔をするのは忍びなくてね。こんなに喜んでくれると私も骨を折った甲斐があるよ。さては君――貢がせ上手だね?」
「人聞きも悪りぃ!! いや! 感謝してるけど!」
仰天するハルの素直な反応が心地良かった。
彼と彼女の関係はいささか複雑だ。一言では言い表せない関係だとルシカは自認しているが、ハルにとってはもっと単純な表し方ができるかもしれない。
仕事仲間、あるいは同志と言い換えてもいい。
友人だとか、恩人という表現でも不足はない。
でもルシカは純朴で素直な少年のことを、こう呼びたい。
「水臭いな。共犯者と書いてナカマと呼ぶ仲だろ?」
「お前どこまで行きたいの? 世間体まで悪くなったよ?」
「私は始めからちゃんと名乗ったよ? 私は悪者で悪人で悪党なんだって。そんな私に賄賂を渡された君も今や立派な共犯者だ。――ようこそこっち側へ。悪いことしようぜ?」
「もう世間様に顔向けできねえ流れ!」
共犯者。
そう、共犯者という言葉が一番適当だ。
互いがいなければ望みを叶えられない生き物の総称。
仕事仲間でも同志でも友人でも命の恩人でも、あるいは恋人だろうと届かない結びつき。
それが共犯者という関係なのだとルシカは信じている。
「まだパレード見てていいよ。話なら終わった後でも構わないし、居座って部屋の主人にいかがわしい行為中だと疑われるのもまぁ面白いし」
「面白くねえよ大変だよ?」
「まぁ今回のパレードの主役は第二王子で、君のお目当てが現れる可能性は全くないけど。彼女の凱旋はこの前終わったばかりだからね」
「……分かってるよ」
何かを思い返し、ハルの顔がさっと曇る。
あれほど楽しんでいたパレードも、目の前の共犯者も意識外に置いてハルは少しの間無言になった。
呼びかけても返事はないだろうと手持ちの書類に目を落とすルシカだったが、程なくしてハルは窓から離れて向かいの椅子に腰かける。
「で、何か俺に話があるんだろ」
「おや。パレードはもういいのかい?」
「ああ、十分楽しませてもらった、ありがとな。でも何だかジッとしてられなくなって。……全部お前にそう誘導されたんだろうけど」
後半の恨み節は微笑んで黙殺。
真剣な顔付きになる共犯者を上から順に眺める。
手入れのされてない鳶色の髪。
可愛げのない目つき。
整っているとは言い難い顔付きに、まだ大人になり切れていない体付き。どれをとっても平凡の域を出ない少年ではあるのだが。
「そうとも。善良な君の協力が必要だ、ハル」
自分には持ってない資質がある。
自分では補いきれない能力を、自分では考え付かない発想を、自分が持ち合わせない善良さを持っている。
ゆえに。
「共犯者として一仕事してもらいたい。君が酒池肉林のハーレムを築く第一歩として」
「俺の目標をでっちあげるな!?」
「英雄、色を好むというし? ハーレムの一つや二つは甲斐性だよね」
「いらない!!!」
二人が揃えば奇跡にだって手が届くのだと信じている。
「さあ、悪だくみを、始めようか」
我らは比翼にして連理。
互いの目的のため二人にして一つの、夢追い人。