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レインボウ アーツ  作者: ニョグタさん
3/4

本心

ナスビの喋りが読み辛い人はご一報下さい。

 …さて、ナスビちゃんを

 村の門まで連れてきたけど、

 どう説明しよっかな。

 前にも同じ様な事あった様な…


 「イドの道は使わなイの?」

 「いきなりナスビちゃんを

  村の中に連れて行っちゃ

  みんな驚いちゃうからね、

  門番さんに話を通しとくってわけ」

 「分カった、デ、行カなイの?」

 「えっ、あっうん」


 いかんいかん、ノープランな事ばれちゃう。

 今日の南門の門番は、バンニおじさんだし、

 大丈夫かな。

 オーロクの時も、バンニおじさんだったし。


 取り敢えず門叩こうかな。


  カンッカンッカンッ


 「…なんだ?」

 「旅の者ですが」

 「…一寸待ってろ」


  ガコンッ ギギギィ…


 「…やっぱトワイドの嬢ちゃんか」

 「あはは…」

 「んで、後ろのはあれか?()()()()()か?」

 「そういう事です」


 いつの間にか

 ナスビちゃんは私の後ろに隠れていた。

 …おてて、見えてるよ…


 「…全く、

  少しは()()()を直す努力しろよな」

 「はい、すいません」

 「取り敢えず、

  皆が驚かない様知らせに行くか」

 「ほんとすいません」

 「その平謝りは止めろ

  「いや平謝りじゃ…」

  んじゃあ嬢ちゃんと白いのは待ってろ」


 そう言って、

 バンニおじさんは走って行った。

 ナスビちゃんの事全く言ってないのに。


 「アしラわれテる…」

 「…一寸思ったんだけど、

  ナスビちゃんの喋りって辿々しいけど

  結構語彙に富んでるよね」

 「いうホど語彙なイ」

 「ほら、語彙の意味だって分かって…

  何か野暮だったかな…ごめん…」

 「謝ラなくテ良イ」


 もしかしなくても、

 ナスビちゃんに哀れまれてるなぁ…

 あぁ、そんな目で私を見ないで…


 「…聞きたイ事ガアる」

 「えっ何?」

 「なスびは、アるかガ凄ク

  良イひトだカラ、村ニ行コうと思った」

 「…あー…今思えば

  もうちょい段階踏むべきだったなぁ、

  出会って即プロポーズ並の突拍子の無さ

  だったかも…ごめんね」

 「そレはドうデも良イ、

  「良くない気が…」

  なスびは、アるかトイう

  人ゲんが分かラなイ

  今だっテ、

  簡単ニ決イを曲ゲヨうとしテる

  なスびニは、

  なスびニ村へ来テ欲しイとイう、

  アるかの言葉ガ嘘ニは聞こえ無カった」

 「それは…」

 「アるかは、

  何デなスびニ村へ来テほしカったの?」

 「それは…

  それはっ、」


 言おうとしたけど、言葉が詰まった。

 面と向かって言われた事無かった。

 私って、甘やかされてたんだな。

 オーロクの時だってそう、

 その前にあった事だって。

 やった事に自信が持てなくて、

 後悔して、無かった事にした。

 無かった事になんてならないのに。


 でも、聞かれたからには、

 けじめをつけなきゃならない。

 ナスビちゃんに

 失望されるかもしれないけど。


 「…私って、

  弱いくせに好きなものには強欲でね、

  明らかに止めた方が良い事も、

  意地になってやっちゃって、

  成功してもその事を後悔しちゃうんだ。」


 言っちゃえ、全部。


 「普段はやる気なんて有りもしないのに、

  そういう時には、無駄にやる気出て、

  やった数日後位には、何も

  無かったかの様な態度をとっちゃう。」


 言ってて悲しくなってきた。

 思ってる以上に私って酷い人間だ。


 「好きなものには強欲って言ったよね、

  つまり、今回は


  “ナスビちゃんが()()()()()だっただけ”


  なんだ。」

 「!」


 私を良い人なんて思ってた

 ナスビちゃんに申し訳無い。

 私の人間性は、最低だ。

 その癖、治す気も起こらない。

 治らないって、思ってる。


 「こんな事言っちゃうのも、

  ほぼ初対面のナスビちゃんだからって

  半分位思っちゃってる。

  本当にごめん。私は、臆病で、卑屈で…


  「ソんな事無イ」


  えっ」

 「…ト思う。

  初たイ面な事は確カ。

  正直、コんな掘り下ゲた

  話するとは思わなカった。」

 「それは…失敗しても

  別に良いって思っちゃってるから…」

 「ソんなひトは、

  なスびを人ゲん扱イしなイ。」

 「えっ」

 「アるかは、コんな見た目のなスびを

  怖ガりもせずニ、

  ひト人の人ゲんトしテ接しテくれた。」


 ナスビちゃんは、

 石の腕を見ながらそう言った。


 「それは…そういう

  手段を使っただけで、私は…」


 ナスビちゃんを()()()()見てた?

 あれ…そんな事無い…

 だって、ナスビちゃんは

 凄く良い子だし、

 初対面な私に対しても

 心を開いてくれたし、

 短い時間でも確信出来る位には良い子。

 そう、良い子。


 そんなナスビちゃんが…


 「物なんかじゃない…」


 物なはずが無い。

 物なんて言うやつがいればぶん殴って…


 “ナスビちゃんが()()()()()だっただけ”


 「あっ」


 …私は馬鹿だ…

 ナスビちゃんの事も考えずに、

 本心にも無い言い訳を

 無意識に言ってしまっていた。


 「…物って言ってごめん…

  本当…本当っ、にっ、

  ごめん゛っ、な゛っ、さい゛!」


 立つ力が抜けた。

 目の前がぼやけてきた。

 確かにホムンクルスは造られた存在。

 でも、私と同じ様に喋って、

 感情のある、ナスビちゃん、

 いや、それ以外のホムンクルスもだろう。

 物だなんてあり得ない。


 思ってもいなかったけれど、

 ナスビちゃんを

 物だと言ってしまった事は事実。

 ナスビちゃんを傷付けてしまった。


 傷付けてしまった…


 「ナ゛ズビちゃっ、ん゛っ、はっ、

  も゛の゛っ、なん゛かじゃっ、

  な゛いのにっ…」


  ギュッ


 「…?」


 目の前が急に暗くなった。

 顔が温かい何かで包まれている。


 「だイ丈夫、

  なスびは、優しイ

  アるかを知っテる。」

 「やざじ…


  ズズッ


  優しぐなん゛で…」

 「アるかは、

  アるかガ思うよりも良イひト。

  アるかニ、村ニ来テっテ

  イわれた事、嬉しカった。」


 だから…それは…


 「アるかガ

  コんなニ悩みを抱えテイたなんテ

  思っテも見無カった。

  なスびの方ガ野暮だった…」


 ゴめんなさイ…


 あれ…何で私謝られてるの?

 気のせいじゃ…

 涙が止まらない…

 ナスビちゃんは何も悪くない…

 全部私が悪い…

 だって


 “ナスビちゃんと

  一緒の生活なんていいなぁ”


 なんて私が思ってしまったから…

 …そうだ、これが本心なんだ。

 こんな、しょうもない思いのせいで

 ナスビちゃんに迷惑掛けたんだ…


 「う゛う゛っ、ぁ゛

  いっじょに゛ぐら゛じだいな゛ん゛で

  お゛もっぢゃっだがら゛ぁ゛…」


 「…なスびはソれガ聞きたカった。」


 私の背中に当たっている

 ゴツゴツしたものが動いてさすってくれる。

 不思議と安心して気分が楽になっていく。


 「ん゛ん…ごめんね…」

 「だイ丈夫、大丈夫。」


 私ってやっぱどう仕様もないな。

 会ったばっかだっていうのに

 ナスビちゃんに迷惑を掛け過ぎだ。

 凄く恥ずかしい。

 でもこれだけは聞かなくちゃ。

 おこがましいけど。


 「…一緒に暮らしてくれる?」


 「…村のひト達ガ、

  ドう思うカは分カらなイ。

  デも、なスびはアるかト

  イっ緖ニイたイ。」


 ナスビちゃんは

 物とは到底思えない程の笑顔を見せた。


 私が泣き止んだ後、しばらくして

 バンニおじさんが戻って来た。

 なんでも、


 “アルカが

  目を付けたヤツなら大丈夫”


 とみんな一様に言っていたそうだ。

 …私こんなに信用されてたんだ…

 一寸位疑った方が良いと思うなぁ…

 まぁ、晴れてナスビちゃんが

 村に入れる様になった。


 それにしても、

 バンニおじさん遅くなかった?

 村全域に伝えに行っても、

 もうちょい早く終わるはずだけど…

 まぁ、いいや。

今回の内容について



ナスビの言いにくい言葉は


あ、い、か、く、け、こ、

す、そ、て、と、に、ら


です。ちなみに名前は平仮名が

正しい発音だとしています。

一部違う所は、漢字の部分や名前で、

読める程度の崩し方にしてあります。

しかし、読み辛い事は確かです。

申し訳有りません。


主人公の行動理念を、主人公自身のバイアスを

掛けて書きました。

面倒臭い性格程、書いてて楽しいですね。


初対面の幼女に泣きつく主人公を

これからも宜しくお願いします。

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