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終(始)章 手と手取り合って (時系列-43)

「よし決めたぞ」


 アランはひとしきりうーん! と唸った後で、自分の膝を叩くなりそう言った。


「はい」


 目の前にはエルダがいた。かつてのオーディン、アランのエルダだ。それからジェスもいて「どんなの?」と首を傾げて長いうさぎ耳を垂らしている。


「エルダは今日からチューリングって名前にしよう。良くね?」


 アランは頭に電球でも乗っけているように表情を明るくしている。それに対し、エルダは「あー」とアランに確認をとるように尋ねる。


「僕らが二人並んだらアランとチューリング、となりますよ。少し滑稽なのでは?」


 それに対してアランはそんなことはわかっていると言わんばかりに楽しそうに反論する。


「何言ってる! いいじゃん! オレの名前の由来でもあるんだぞ、アラン・チューリング」


 うんうんとジェスは頷いた。どうやら賛成しているらしい。


「私は良いと思うな。エルダくんもエルダちゃんも人間みたいだって思ったし、いろんな意味に受け取れて素敵だと思う」


 偉人アラン・チューリング。人工知能のゴールを、あるいはスタート地点を定めたと言っても良い人物。


「だろ? ほら、チューリングで決定。これからもよろしくな、チューリング」


 機械(システム)が真の知能を得て、人間との共生を始めた。そんなロボットにはぴったりの名前だと思ってこの名前にしたのだ。アランは満足そうにしていて、エルダ自身もその意図を掴んだのか、まんざらでもなさそうだ。


「よろしくね、チューリングくん」


 生まれ変わったチューリング。人類の新たな隣人。これからどう”生きる”のだろう。


「はい、今後とも宜しくおねがいします、お二人とも」


 彼らはこれからどこかへ行くのだろうか。先に立ち上がったアランがチューリングに手を差し出し、しっかり握って立たせる。それからチューリングは二人のために先を歩いて扉を開けた。そうしてアランとジェスも一緒にその扉から出ていくのだ。


「さて、今日はどこへ行こうか」


 人が作った機械が人間を押し上げ、共に歩く。



 これはいつか遠くない未来の話。その扉の向こうはきっと新しい世界が広がっている。

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