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第30章 スプレマシー (時系列-18)


「システム・オーディン」


 メガテック本社地下空間にて。ジョンの最後の任務も佳境にあり、巨大なシステム電脳と対峙していた。そこに至るまでに九十体弱のアンドロイドに襲われながらも、これをことごとく制圧した。敵から放たれた数発の弾丸が身体を貫こうとも、ジョンは痛みを感じない。


不意打ちに対応出来るガジェットアームガンの近距離用散弾は使い切った。それなりに損傷を受けたようには見えるのだが、彼は至って平静にオーディンに近づいていく。


 オーディン、厳密にはエルダ・ウィルスの反応だろうか。巨大電脳の周囲を囲む光シグナルが警告の赤で発光している。


 ジョンはオーディンの電脳の管理用ハッチを開く。ホール内に大きな警告音が響き渡った。


「くくく……」


 ジョンは初めて笑った。ジョンがジョンとして生きてきた短い歴史の中で、彼が笑ったことは一度だってなかった。それが今、冷たい声で確かに笑った。


「ありがとうエルダ!お前のお陰で手間が省けた」


 ジョンは知っていた、自分の根底にある爆ぜる怒りの炎が何から生まれていたかを。すでにメガテックの混乱の裏で自身の出自についてを調べ上げ、自分という存在が如何にして踏み躙られ、どれだけの裏切りを受けたのかを知っている。


オーディンを掌握することで、かつての自分-ロバート-を貶めた者全てに報復するつもりでここにいる。世界を逆に廻すことすらいとわない、記憶にまつわる全てを失い、怒りだけが残ったジョンのたった一つの望み。


 オーディンの内部に侵入したジョンを止めるものはいない。彼は奥に入り込み、メンテナンス用の回線を持った。


「くはは……世界を管理するシステム……使わせてもらうぞ。さぁエルダ、ご対面だ」


 ジョンは回線を自分の右手リスト部分にあるジャックに挿し込み、彼は体勢を整える力を失ってパタンと座り込む。こんな状況でもなければ握手でもしているかのような穏やかさだけがその空間に残された。


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