第16章 ハロー・スクール! (時系列-24)
アランがローム・エルダを作ってから三日後、アランは彼を学校に招待した。工学系の学校ということでペットとしてではなく教材という意味でロームを連れてくることは校則に違反しない。
見た目には箱のようであるロームのエルダは、学内では特に注目を集めず、アランの友人の何人かが珍しがって寄ってくる程度だ。
「どうしたんだよアラン、ロームなんて持ってたっけ?」
「いや、この前壊れたアンドロイドの基盤拾って組み込んでみたんだよ。高級モデルの基盤でさ、めちゃくちゃ頭いいんだぜこの子。エルダってんだけど」
エルダを誇らしげに持ち上げると、エルダはひょこひょこ短い手足を動かして自身を大きく見せるようにアピールしている。
「へぇ~~」
手を振ったり小動物の手を取るようにローム・エルダとじゃれ合う友人ら。
「アランのご友人がたですね。いつもアランがお世話になっています。僕はエルダ、お見知りおきを」
流暢に喋るロームを見て面白がる友人達も挨拶をした。
「おぉっ、よろしくエルダ……アラン、ペット設定にしてないの? この感じだとヒト型用のAIモデルっぽくね?」
「まぁね。元々拾ったのがヒト型だったんだわ。設定用のソフト持ってないってのもあるけど、これはこれで面白いだろ?」
そこに通常のロームを持ったクラスメイトがローム同士のフレンド登録をしようと持ちかけた。アランは快諾して、ローム・エルダのBT通信をオープンにするのだが、相手が受け取ったデータを見て首をかしげている。どうした?とアラン。
「なんか……その子の方、文字化けしまくってる。データの同期が五十パーセントから動かないし。なんだろ、規格が違うのかね?」
「あ~、無理やりアンドロのメイン基板をロームのボディに移植したせいかな? 登録は一応やめとくかぁ」
不思議なことに、ローム・エルダはデータの破損を理由にコンピューターとも同期することが出来なかった。その頃はまだ「アランの行った基盤移植に問題があったのかもしれない」と考える程度だったし、エルダ自身が満足に動いているので大した話ではないと思うことにした。