第15章 ルーデンの独白 (時系列-12)
カンザキを問い詰めた。彼はやはり最初からシステムの公開を考えていない。
だとしたら私は一体なんというものを作ってしまったのだ。それに彼らは他にも倫理を超えた研究を行っている。
カンザキは言った、「我々が世界を変えるようじゃないか」と。確かにこのままでは世界は変わる。世界に明確な中心が生まれることになるのだ。それも誰にも知られず、勘づくものがいたところで逆らう事も出来ないだろう。
逃げるか?無理だ、娘に逃亡生活などさせられない、せめて治療が済むまでは安静にさせなければ。
ならば組織の世界征服に目を瞑るべきか?圧倒的で静かな支配を、このまま黙って見ているか。いや、最悪私だっていつ口を封じられるかも知れない。
エルダ……誰にも知られない、異聞にあったはずの深奥の女神が「オーディンを模したもの」と結びつく。オーディンはサイバネティクス情報というワルキューレからエインヘリャルの選定まで可能だ。
何かを変えなければならない。今行動できるのは私しかいない。
娘達には大きな苦労を掛けることになる。私を恨むだろうか。世界に恨まれることになっても、どうか―――