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第7

ゾクッ

何やら一瞬寒気を感じたが気のせいか?

とりあえず虎熊に許されたので改めて虎熊のスペックを確認していく。


え?アルファ?地面に刺さったドリルが抜けなかったから一旦携帯にしまって、再度召喚し直して今はコニーと一緒に野菜の収穫してるよ。

「さっき俺に気づかれずに後ろに回ったのはその身体に搭載したスキルを使ったからだよな?」

俺が落ち込みすぎて気がつかなかった訳じゃないよな。

「ああ、そうだ、スキル〔隠密〕を使ってみたんだが上手く機能してたな、それにしても凄いなこの身体はスキルが多いのもあるが、かなり動きやすいしな、ゴーレムに入ったのは初めてなのにスゲー滑らかに蹴りが出せたぜ。」

シュッシュッババババッ

虎熊は自由に動けるのが嬉しいようでシャドーボクシングをしてみたり連続蹴りを繰り出したりして身体を動かしている。

「動きに関しては問題ないな、スキルの確認は後でやるとして……その銀髪?は何だ。」


俺は銀髪?が生えてくるような設定はしてないし、スキルの中にもそんなへんちきりんなものを入れた覚えはない。

「んー、ちょっと待ってくれ〔ステータス〕」ヴォン

虎熊がステータスと言うと虎熊の前に薄い映像が現れた、俺が〔検索〕や〔索敵〕を使うと出てくるのに似ているが何が表示されてるのかは分からない。

「なあ、虎熊それなんだ?」

俺が聞くと虎熊は意外そうに返してきた。

「んん?これはステータスボードだが……知らないのか?」

虎熊の返答に対し食い気味に答える。

「うん知らん、全く知らん。」


虎熊によるとステータスボードとは、この世界に生きる全ての生き物が生まれながらに使えるものであり自分自身の名前、年齢、職業、種族、スキルを自分や許可した対象に見えるようにしたものらしい、後で俺も自分の能力を確認するとしよう……よく考えたらこっちに来てから3ヶ月立つのに自分の感覚で能力を雑に判定してたわ。

「それで原因は何だった?」

「んー、多分これじゃないか?」

そう言って虎熊が指差したのは〔繰り糸〕(くりいと)のスキル。


繰り糸は、文字通り糸を操るスキルであり直接的な攻撃力のない虎熊でもスキルを介して間接的になら武器なんかも扱えるのではないかと考えいれたスキルなのだが、付属品で糸が付いてくるとは聞いてない……まあそもそもゴーレムの身体に入ればあんまり虎熊の攻撃力皆無の力は働かないんじゃないかとも思うが、これも後で試してみよう。

「それっぽいスキルはこの繰り糸だけだな、他にそれらしいのは見当たらないし。」


そう言われて改めて虎熊の髪?をよ~く見てみる。

確かにパッと見た感じはただの銀髪なのだがよくよく観察してみると髪とは質感が違っていてさわってみるとピアノ線を少し柔らかくしたような感触だった。

「なるほど……とりあえず髪については納得しておこう。」

次は虎熊に入れたスキルを確認しながら実際に機能するかどうかを一つ一つ確認していく。


〔隠密〕……さっきは見てなかったしテンパってたから気づけなかったので改めて試してみる、スキルの説明には気配を消すスキルであり此方から話しかけるか攻撃を仕掛けると強制的に解除される、誰かに見られている状態だと発動出来ないと書かれていたのでまずは虎熊をガン見しながら発動してもらう。

「駄目だな、やっぱり見られてると発動しない。」

ガン見以外にもチラ見してみたり、ボーッと眺めてみたり、視界には入っているが意識は別のものに向いている状態でいてみたりしたが全部駄目だった。


駄目みたいなので次は見てない状態ではあるが俺自身が完全警戒体制になってる状態で発動してもらう。

久しぶりにやるから鈍ってないことを祈りつつ目を閉じて神経を尖らせ周りのもの全てに意識を向ける。

周囲のの木に停まっている鳥や少し遠くにある何かの生き物達の気配を感じる。

久しぶりにやったが上手くいって良かったと安堵すると同時に目の前の虎熊に違和感を覚える。

なんと言うかゴーレムだからかもしれないが、気配がとても薄く感じる、目を開ければ圧倒的な存在感なんだが目を閉じると薄くなる。


「〔隠密〕はまだ発動してないよな?」

「ああ、まだしてないが……どうかしたか?」

ちょっぴり気になって聞いてみたが、発動してなくてこれなら〔隠密〕要らないような気がしたが、身長180で腰まで届く銀髪は目立ちまくるからやっぱり要るかと勝手に納得しておく。

「ん、いや大丈夫だ、じゃあ目を閉じたら発動してくれ。」

改めて目を閉じ、虎熊に全ての意識を向ける。

俺が目を閉じて数秒後に虎熊の気配が更に薄くなる。

かなり集中してないと見失いそうだが、かろうじて位置の把握は出来ている。

目を開けてしまうと他のものに意識がいってしまい完全に見失ってしまった。

しかも一度見失うと再度意識を集中させても捉えることが難しく、虎熊が蹴りを出す瞬間にかろうじて気づくことが出来た。

「これは気づけないな。」

「気づけなくても受け止めれたら上出来じゃないか?」

「まあ、不意打ちとはいえ手加減された蹴りならな。」

虎熊の蹴りを何とか止めて次のスキルを確認する。

〔空中爆走〕(エアダッシュ)……空中を走ることのできるスキル、あくまでも走るだけなので空中に止まったり歩いたりは出来ない。


〔空中爆走〕は〔空中歩行〕(エアウォーク)ってスキルと迷って移動速度を選んで〔空中爆走〕にしたんだよな、本当は両方一緒にとりたかったんだが、なぜか取れなかった不思議。

「じゃあ〔空中爆走〕を試してみるぞ。」バッバシュ

虎熊はそう言うと空中に飛び上がりそのまま横にスライドした。

虎熊が横に移動する際にバシュと音がするので何かと思って虎熊をよーく見てみると虎熊の脚に小さなブースターのようなものが出現しており虎熊が移動する瞬間にうっすら赤くひかりそこから空気のようなものが射出されているように見える……あ、虎熊が移動する瞬間横にあった木の枝が折れた……やっぱり何か出てるな。

バシュバシュバシュ

その後も上に行ったり右に行ったりして空中を移動しまくる虎熊。


「んははははは!キョウジ、これ楽しいな!」

虎熊は楽しそうに空中を移動しているが、何だろうあの移動方法どっかで見たことある気がする……たしか、ガン〇ムブレ〇カーだったかな?ちょっと違う気もするがそんな名前だったような、クリスマスがチャンポン機体を作って遊んでたな。

「ぶっ!」バキバキバキ

そんなことを考えていたら虎熊が木にぶつかったのか枝まみれになって落っこちてきた。

「……大丈夫か?」

「お~う……しかし、俺様もキョウジのことを叱れんな、ついテンションが上がっちまって木に突っ込んじまった。」

「フッ、あの移動の仕方を見ると小回りは利かなそうだしな、次から気を付けようぜ……おたいがいにな。」

ハハハハハッ


虎熊とひとしきり笑いあったあと虎熊引っ付いてる枝を取り除き次のスキルを試す……つもりだったのだが巨大な何かが木をなぎ倒しながらこちらに近付いてきた。

バキバキバキバキ!!

「グギャオオオォオォ!!」

森から現れたのはメタリックな身体の巨大なサンショウウオたった。


パッと見たその姿はサンショウウオなのだが、身体が金属で出来ているようでメタリックな色をしており、インドゾウくらいなら簡単に丸のみ出来そうな口が見えている、両生類特有のヌルヌル感やブヨブヨ感は微塵も感じられず尻尾の先が鋭い刃物のようになっており尻尾を振る度にへし折られた木が切り刻まれている。

「何だあれ……サンショウウオ型のゾ〇ド?」

ガトリングとかミサイルとか装備させれば完全にゾ〇ドなんだが。


俺のアホな呟きを律儀に拾った虎熊がメタリックなサンショウウオからは目を離さずに説明してくれた。

「ゾ〇ドが何なのかはわからんがあれはメタルドラゴンだ……しかしなんだってあんなに暴れてるんだ?竜種の中じゃあ比較的おとなしい方なのに……それにメタルドラゴンの住みかはこの近くにはないはず。」

虎熊が何やらブツブツ言っているが、俺は別のことを考えていてそれどころじゃなかった。

メタル……ドラゴン?あのサンショウウオがドラゴン?ドラゴンって言ったら普通トカゲ系かヘビ系……100歩譲って爬虫類タイプじゃないの?両生類って……。

ファーゴブリンといいメタルドラゴンといい、凄い……これじゃない感じがする。


俺がココに来てから出会った生き物で、こいつは想像からあんまり離れてないぞ!って生き物が今のところ一匹も居ないんだが……コニーもマイコニドだけどキノコって感じしないし、進化してもキノコの帽子被った子供にしか見えないしね。

なんだかとってもガッカリだ。

「キョウジ!気を付けろ来るぞ!」


俺が下らないことでガッカリしている間もメタルドラゴンは大暴れしており、周囲の折れた木を踏み潰したり尻尾を振り回して木を切ったりと木に親でも殺されたのか?と聞きたくなるような暴れっぷりで暴れていてこちらには微塵も意識を向けていなかったのだが、虎熊が俺に声をかけたときメタルドラゴンの頭は俺たちの方を向いていた。

「虎熊!俺の方は気にしなくていいから、あいつを倒すためにスキルを色々試してみろ!」

「はあ!?んなこと言ったって俺様のスキルに攻撃系のスキルは1つもないはずだぞ!」

「グギャアァァアアァ!!」


俺たちの会話を理解してか知らずかメタルドラゴンはでかい口を開けて俺よりに突っ込んできた。

虎熊は〔空中爆走〕で空に逃げ俺は覚えたての魔法〔地面潜航〕(アースダイブ)で地面の中に落ちる。

うん、逃げるではなく落ちるだ……ちょっと驚いた。

なぜ俺が自分で発動した魔法の効果を把握してないかと言うと発動事態は始めてだからである。


2日ほど前にパソコンにオルダーからメールが届いた、その内容は俺があまりにも魔法を使用しておらず全ての戦闘を肉弾戦か遠距離からの狙撃で行っているため魔法を使った戦闘をなぜしないのか?とのこと。

それにたいし俺は、魔法での攻撃は俺の現在の技量では余計な犠牲や周囲への被害がとんでもないことになりかねないから使わないと返したところファイルがついたメールが送られてきた。

本文には、ボスが作った身体の俺が魔法を使うことでアラトスの魔法力の循環がどうのこうのと書かれていたが読むのが面倒くさいので、ざっと見て必要そうな所だけ読む。


魔法を攻撃に使うのが不安なら攻撃ではなく戦闘のサポートにお使いください、サポートに適していてキョウジさんが気に入りそうな魔法を覚えられるアプリをメールに添付しておきますのでご活用くださいとのこと。

俺がまともに働いてないから魔法を与えて急かしてきているのだろうか……まあ、貰えるものは貰っとこうの精神で貰ったアプリを起動し色々と有用そうな魔法を覚えた、〔地面潜航〕もその内の一つだ……魔法を覚える際に少量ではあるがポイントが掛かったのと魔法を覚える度に軽い頭痛がするのは説明しておいて欲しかったと思う。

そんな経緯をへて手に入れた〔地面潜航〕を始めて使ってみたが、発動したとたんに足元が液状になりその中に落ちるとは思わなかった。


〔地面潜航〕の説明文には地面の中を自由に移動することが可能になると書かれていたので、てっきり自分の意思で出たり入ったり出来るものだと思っていた。

さてもぐってメタルドラゴンの攻撃を回避したは良いが外の様子が全くと言って良いほど見えない、呼吸は出来るし外の音はきこえるのだが、なんだかシュノーケルを着けてすごーく濁った川の中にいるみたいだ。

とりあえずこのまま適当な場所に移動して、ログハウスのバリアやら何やらを作動させながら虎熊の戦闘を見守るとしよう、危なくなったらドラゴンキラー牛刀をすぐ使えるように用意しとくのを忘れないようにしなくては。

~虎熊視点~

「くっそ、キョウジのやつほんとに俺様に押し付けやがった!」

メタルドラゴンが大口を開けて突っ込んできた際に俺様は〔空中爆走〕で空に逃げキョウジはなんの魔法を使ったのか解らないが地面に沈みそのあと出てこなくなった、まさかと思いスキル〔気配探知〕を使うと地面の中を蛇行しながら家(キョウジはログハウスと呼んでいるが)に向かうキョウジの気配があった……何であんなに蛇行してるんだ、あいつ。

「ギュオオオォオォ!!」


蛇行してるキョウジを気にしてる場合じゃないな、俺様はメタルドラゴンの相手をしねぇとな。

なんでかわからんがメタルドラゴンは家の方には目もくれず空中にいて攻撃の届かない俺様に尻尾を振り上げたり噛みつこうとしたりしている。


家の方に行かない理由は多分キョウジが何かやったからだとは思うが、俺様に集中してくれるならそれはそれで好都合だ、何せ作戦を考える時間が出来るからな……空中を移動しながらだし下でメタルドラゴンが大暴れしてるから落ち着かないが。

余裕が出来た事だし、改めて今俺様が持ってるスキルをしっかり確認しよう、キョウジが俺様に任せるって言ったんだからどうにかできるスキルがあるんだろう。


〔空中爆走〕〔隠密〕〔繰り糸〕〔気配探知〕〔収納上手〕……物を仕舞うのが上手くなる〔掃除上手〕……掃除した場所が普段より綺麗になる〔栽培上手〕……植物を育てたとき味や効能が良いものが育ちやすくなる〔子守上手〕……赤ん坊や子供になつかれやすくなる〔追跡者〕……1度でも視界に捕らえたものを2日間だけ追えるようになる〔釣り師〕……発動から5分間入れ食い状態になる、使用後24時間使用不能、そして俺様が元々持っていたスキル〔攻撃力皆無〕………このスキルを持つものは攻撃力を失う、手に持った物も効果を受けこのスキルは常に発動する〔戦無〕(せんむ)攻撃能力を持たない道具に耐久力と特殊能力を付与する手に持ったものも効果を受けこのスキルは常に発動する………まともに戦闘で使えそうなのが〔繰り糸〕と〔空中爆走〕くらいしかないな、と言うかあいつは俺様をどうするつもりなんだ?俺様を保護者役にするつもりだとは聞いたが王宮で働く執事やメイドでもこんな豪勢にスキルを持ってないぞ。

さて、〔繰り糸〕と〔空中爆走〕でどうやって戦うか……とりあえず〔繰り糸〕を使ってメタルドラゴンを縛ってみるか……。簡単に引きちぎられそうだけど。

シュルシュルシュル


虎熊が〔繰り糸〕を発動させると虎熊の髪が伸び大暴れしているメタルドラゴンに巻き付き始める、メタルドラゴンは自信の体に巻き付いてきた髪を斬ろうと尻尾を自信に伸びてきている髪に降り下ろす。

「ギュギ!?ギギャアアア!!」ブン ギシッ!

「うおっと!?」ガクンバシュ!バシュ!バシュ!

メタルドラゴンが尻尾を降り下ろしたが髪は斬れず、叩きつけられた衝撃で空中にいた虎熊の体制が大きく崩れるが咄嗟に〔空中爆走〕を連続で発動させ体制を建て直す。

「あっぶね~危うく地面に落っこちるところだったぜ。」

しっかし斬れないってのは想定外だったな、スパッとやられてあーあやっぱだめかってのを想像してたんだがな。

けど斬られないうえに伸ばし放題ならメタルドラゴンを倒す方法もあるってもんだ。


虎熊はメタルドラゴンに巻き付けていた髪をすべて戻し、メタルドラゴンから離れた場所に着地する。

「さ~て届く場所に降りてきてやったぞ?掛かってきなデカブツ。」

メタルドラゴンはその巨大な口を開き最初と同じように虎熊を丸のみにしようと突っ込んでいく。

「たっぷり喰らいな俺様の髪をな。」

突っ込んでくるメタルドラゴンの口に向かって大量の髪が雪崩のように伸びていく。

「グギュ!?」グボボボボボッ!!


メタルドラゴンは口の中に入ってきた大量の髪に驚き一瞬動きが止まるがダメージがないとわかると再び突進を再開する、しかし虎熊は動じることなく髪をメタルドラゴンの口の中に伸ばし続ける。

「グ……ギガ……ガ……ギゥ。」

自分の口の中になだれ込んでくる髪を全く気にせずに虎熊を飲み込まんと突進していたメタルドラゴンの動きが虎熊の目の前で止まる。

「ようやく止まったか、流石にこのサイズとなると手間が掛かるなー、けどまだ終わりじゃないぜ。」

虎熊はそう言うとメタルドラゴンの口の中に入れた髪の量を増やし始める。


「お前の体表は鋼鉄でおおわれているから、もし俺様が武器を振るえたとしてもダメージを与えるのは難しかっただろう……けどな。」

虎熊はメタルドラゴンから離れながら言葉を続ける。

「残念なことにお前に対して相性の良いスキルを俺様は持ってたんだわ、外からじゃなく中から攻撃できるスキルをな。」

虎熊は喋っている間もメタルドラゴンの口の中に髪をいれ続ける、それに比例してメタルドラゴンの腹部が徐々に膨らんでいく。

「ヴ……ヴヴ……ギ。」

メタルドラゴンが苦しそうな唸り声をあげ始め足や尻尾をばたつかせる、しかし虎熊は涼しい顔で距離を取り続け家の前までくると足を止める。

「それじゃー、さよならだメタルドラゴン、この身体の試運転と少しばかりの八つ当たりに付き合ってくれてありがとな。」

虎熊が感謝の言葉を言い終わると同時にメタルドラゴンの腹部が一気に膨らみ、ブジュとゆう嫌な音とともにメタルドラゴンは動かなくなった。


~キョウジ視点~

土中で軽く迷子になりながらも何とかログハウスにたどり着き中から虎熊VSメタルドラゴンを観戦していたのだが、虎熊の髪の強度えぐいな~メタルドラゴンの大剣みたいな尻尾を叩き付けられて斬れないとか。

突進してきてるのを髪をつっかえ棒状態にして停めたのにも驚いた……後付けスキルの付属品とはいえあの髪どうなってるんだろう?

取り合えず防衛設備をOFFにして外に出るとしよう……虎熊に文句を言われる覚悟をして。

扉を開けて外に出ると髪を戻しきった虎熊が仁王立ちしていたが想定内の事なので驚きはしない、虎熊の髪がメタルドラゴンの体液でべちょべちょなのも気にしない。

「お疲れさん虎熊。」

俺が声をかけると虎熊は俺の顔に手を伸ばしてきた。

「?」ブニュー

何をするのかと思っていたら頬っぺたを思いっきり引っ張られた。

「いふぁいいふぁい。」ブニュブニュー

「おお~柔らかくてよく伸びる頬っぺただな~伸ばしがいがある。」


その後も5分ほど引っ張られ続けた、頬肉がだるんだるんになりそうだと思いながらも抵抗はしない、虎熊の性能を見るためとはいえ説明を殆んどせず(してる暇もなかったが)にメタルドラゴンの相手を押し付けてしまったわけだし、しかもお互いに色々と気を付けようと言い合ったばかりだったのに舌の根も乾かぬうちにとはこう言うことだな、とゆうわけで虎熊の気がすむまでなすがままになっとこう。


更に5分ほど頬っぺたをこね繰り回されながら虎熊の怒りが収まるのを待っていたのだが、何やら嫌な予感がしてメタルドラゴンの方に視線を向ける、倒れたメタルドラゴンの口元から白い紐のようなものがわしゃわしゃと這い出てくるのが見える。

「ふぉあふまふひろふひろ!(虎熊後ろ後ろ!)」

俺の焦りかたをみて虎熊は怪訝そうに後ろを振り向く。

「あん?後ろに何が……!?」


虎熊も流石に想定外の事に言葉を失う。

その間にもメタルドラゴンから出てきている白い紐のような物体は数を増していく。

「なあ虎熊あれの正体わかるか?」

「いやわからん、今俺様にわかるのは多分お前と同じことだと思う。」

「「メタルドラゴンの死体からなんか気持ち悪いのが出てきてる。」」

ハモってしまった……しかし虎熊が知らないならしょうがない〔検索〕を使って調べるとしよう。

パラサイトヒル変異種、ランク?、ドラゴン種の口内に寄生するパラサイトヒルが謎の薬により変異した姿、元々のサイズは1㎝~3㎝程だが変異した事により数十メートルになった、宿主の体内を食い荒らし、宿主が死ぬと外に出て他の獲物を探し始める。

謎の薬が何なのか気になるがあのキモイわしゃわしゃの正体はわかった。


「あのキモイわしゃわしゃの正体がわかったぞ、パラサイトヒルの変異種だそうだ。」

虎熊にわしゃわしゃの正体を伝えると虎熊は怪訝そうな表情になる。

「パラサイトヒルぅ?パラサイトヒルは何度か見たことがあるが……変異種とはいえ元の姿から変わりすぎじゃないか?」

「俺に言われても普通のパラサイトヒルを見たことないから知らんて。」

そんな会話をしながら携帯をいじり防衛設備を再展開し、あんまり近付きたくないので携帯に内蔵されているレーザーを起動させ狙いを定める。


「取り合えず先生攻撃……じゃなくて先制攻撃するべ。」

出力を調整して~発射!!

ピシュン ボッ!

わしゃわしゃわしゃわしゃ!!?

「うわ~スッゴクキモイ。」

レーザーが当たった部分が消し飛び他の部分が慌てたように暴れだした。

ピシュン ボッ! ピシュン ボッ!

その後も淡々とレーザーを打ち続けだいぶわしゃわしゃの数が減ってきたなと思っていると今までわしゃわしゃしか出てきてなかったメタルドラゴンの口から赤黒い何かが飛び出してきた。

キュエェエエェェエ!!

「あ!あれあれ、俺様の知ってるパラサイトヒル、だいぶでかいけど。」


虎熊が呑気に飛び出してきた生き物に指を指す。

パラサイトヒルは丸みをおびた赤黒い身体で口と思われる場所から先程までレーザーで破壊していた白いわしゃわしゃが出ている。

なんと言うか水羊羹にこよりを大量に刺してグロテスクにしたみたいな見た目の生き物だな。

キィィィィィィィィ!!

パラサイトヒルは気持ち悪い鳴き声のような音を出しながらわしゃわしゃを動かして辺りの様子を探っており、少し離れた場所にいる俺たちに気づかないところを見るに目が見えておらず、周囲の状況を把握するためにあのわしゃわしゃを活用しているのだろう。


パラサイトヒルには悪いがこちらの位置が分からないならいまのうちに倒させてもらおう。

携帯のレーザーの威力を上げパラサイトヒルに照準をあわせる。

キュイーーー

威力を上げたせいか発射に少し時間がかかり耳障りな音が鳴り始める。

「おい、なんか変な音がし始めたが大丈夫なのか?」

虎熊が心配するのも仕方ないような危ない音が鳴り響いているが、携帯の画面にはチャージ中レーザーが対象以外に当たると危険ですのでそのままの体制でお待ちくださいと表示されているので下手に動くのも危ない気がするし、チャージがいつ終わるか不明なのも恐い。

「……しかしこんなに音が鳴り響いてるのにあいつ全くこっち向かないな。」


「それどころか関係ない方に頭を向け始めたな。」

虎熊の言うとおりパラサイトヒルはわしゃわしゃの出ている部分を俺達のいる方向とは真逆に向けてそっちに進み始めた。

「あれは逃げようとしてるのかそれともただ進んでるだけなのか……どっちだと思う?」

「いや知らんよ。」

虎熊に聞いてみたが知らんで一掃されてしまった。

一応戦闘中な訳だが向かってこないどころか検討違いな方向に向かって進撃するパラサイトヒルと使ったことのない機能をぶっつけ本番で使用して下手に動けない俺、この状況にぶっちゃけ飽きてきているようで髪をくるくるして手遊びを始めた虎熊……さてこのグダクダ空間をどうするか、そう言えばいつの間にか虎熊の髪が綺麗になってるな。

ピピピピピピピピピピピピ!!

5分ほど時がたち携帯の電源を落として無理矢理レーザー機能をキャンセルすればいいんじゃなかろうかと思い、実行しようと電源ボタンに指を伸ばしたところでけたたましいアラーム音が鳴り響き画面に発射5秒前の文字が表示される。

「あ~、ようやく溜まったぞ。」


完全にだれて髪でメタルドラゴンを編み上げて遊んでいる虎熊に声をかける。

「お~ようやくか、待ちくたびれたぞ~。」

編んでいたメタルドラゴンを崩し俺の方に顔を向け携帯の画面を覗き込んでくる。

「で、聞くの忘れてたがいったい何の準備を…… ビシューーン!! ボジュ!!

「ピギュィ!?」

虎熊が覗き込んできた所でレーザーが発射されパラサイトヒルの半分を消失させた上でパラサイトヒルの向こうにあった木を何本か消滅させた。

「「…………………。」」


虎熊と二人で呆然と半分になったパラサイトヒルを見る。

身体の半分が無くなったパラサイトヒルは少しの間触手がビチビチ跳ねていたがすぐに動かなくなった。

「す……凄い威力だな、いまの光線でパラサイトヒルが半分になっちまったぞ。」

「ああ……そうだな、木も何本か消えちまったし危ないから乱用しないようにするよ。」

「そうしてくれ。」

レーザー機能を閉じてポイント変換システムを起動してパラサイトヒル達の死体に近付く。

「なあ虎熊、お前さっきメタルドラゴンがここにいるのはおかしい気なこと言ってなかったか?」

メタルドラゴンが襲来してきたときに俺はガッカリ感が強くて虎熊の呟きを一旦無視したが危険も去ったし改めて気になったので虎熊の説明をメタルドラゴンをバラしながら聞こうと思う。(パラサイトヒルは活用出来そうに無いのでさっさとポイントにした6000Pになった)


「そうだな、その説明の前に死者の森の地形は頭の中にあるか?」

「俺が自分で歩いた分で良ければあるぞ。」

狩りのためにフラフラ歩き回ったり散歩がてらフラフラしたりしてた場所の地形は頭に入っているが、これじゃダメかな?

「んー、それじゃダメだな。まあ、きちんとした地図が手元にある訳じゃないしおおざっぱに説明するぞ。」

「頼むわ。」

メタルドラゴンの解体をしながら虎熊先生の地理の授業をスピードラーニングしよう。

「この世界はデカイ1つの大陸で出来ていてそこを4分割して区域分けされているんだ。」

フムフムと頷きながらメタルドラゴンの首をドラゴンキラー牛刀で切り落とし皮膚を剥ぐ。


鉄と皮膚が融合してるのかと思ったら皮膚に鉄がくっついてたのかー、解体しやすいから何でも良いけど。

しかしメタルドラゴンの大きさからして覚悟はしていたがメタルドラゴン1体の解体で何日掛かるか分からんな。

腐らないようにする手段も考えておかないと。

「その4分割されてる土地にそれぞれデカイ国が1国ずつあってそこがまわりの小さい村や町を管理してるって感じだ。んでその4か国の名前が王国ティルニア、魔国スーシャー、聖国ストパン、中心国ガシンだ。」

3か国は神の滴を調べたときに見た名前だが中心国ってのは知らないな何処の中心なんだろうか。

「中心国ガシンってのは中心国って言うくらいだしどこかの中心にあるのか?」


「ンーニャ、ガシンが出来上がった時に当時の連中が〈我々は神に選ばれた崇高なる一族である!よって世界は我々を中心に動くべきなのだ!〉って言ってその国名を名乗ってる。」

えーナニソレアタマオカシイ

「当時の他国はよくそれを良しとしたな。」

「別に認めた訳じゃないさガシンが〈我、中心〉とか言い出したときは王国と聖国がデカイ戦争してて両国はガシンの建国に気づかなかったぽいし、魔国は飛び火しないように自国を守るので精一杯でそれどころじゃ無かったぽい。俺様も当時を知ってる訳じゃないから、ぽいとし言えないな。」

「戦争が終わった後とかにガシンは潰されなかったのか?あと戦争はどっちが勝ったんだ?」

「両国が疲弊した所で両国内の戦争反対派が魔国と手を組んで納めたらしいぞ。ガシンについては戦争が終わって暫く経ってから着手しようとしたけど手遅れだったそうだ。」

「手遅れってのは?」


「ガシンがかなりデカイ国に成長してたんだ。今まで3国が手をつけてなかった未開拓の土地にあった集落や村を取り込んでな。そのせいで戦争してた王国と聖国は手が出せないしそれを止めるために動いた魔国も少なからず疲労してるから動くのは難しいし、3国が手を取り合って攻めるには信頼度が足りないと。」

なるほどどうしようもないなそりゃ

「んで、戦争のキズが癒えてきた頃に3国は気づいたんだ。」

「何に?」

「もしガシンを倒したとしても旨味がないことに。」

「?」


虎熊はなんか迫真みたいな顔になってるけどどう言うことだ?

「何せガシンの侵略していった場所は何か特別な物が取れるわけでも珍しい物があるわけでもないただ広くて人が多いだけの場所でそこの人達は8割が自分本意な性格の奴で上に従う意思も薄いと言う状態だったからな。もしガシンを落とした場合それを自分の国でしょいこまなきゃいけなくなる。言うこと聞かない人員に管理しても得がない土地、おまけにガシンとゆう国自体に魅力が有るかといえばそれもノーだ。」


「勝っても負けても損しかないならほっとくのが一番なのか。」

ここでメタルドラゴンの頭の解体がようやく終わり残りの身体部分については明日なんとかしようとゆうことで虎熊とログハウスに入り収穫した野菜の横で日課のマイコニダンスを踊っていたコニーとそのコニーの横で(*^▽^)/★*☆♪の表示でドジョウすくいを踊っていたあほに声をかけて晩飯を作りコニーと貪り食ったあと食休みをしながら虎熊の話の続きを聞く。

「とりあえず王国、魔国、聖国の3国は同盟を結んでそれぞれの国に困ったことがあったら助け合うってことで戦争については完全に終了だ。」


戦争については終了か~いや長い話だった~。

「って、メタルドラゴンと周囲の地形についてはどうなったんだよ。」

俺のツッコミにたいして虎熊は、んははと笑い。

「いやー俺様も話してる途中で話の内容がずれていってるなーとは思ってたんだが一応区切りの良いとこまで話すかって思ってたら今だ。」


「まあ良いんだけどさ~それじゃあ改めてお話願おうか。」

「おう、それじゃあ改めて話すぜ。まず北側に魔国、南に聖国、西に王国、東に中心国があって俺様達が今いる死者の森は魔国と王国の境目にあるんだ。んでメタルドラゴンが生息してる場所は南の端にあるグラナス山脈って所なんだが、グラナス山脈から死者の森に来るには海を越えるかバイスドラゴンっつー凶暴なドラゴンの巣を通るかした上で人のいる場所を通らなきゃならない、おとなしい方とはいえドラゴンだからな村や町の近くで発見されたら調査隊なり討伐隊が編成されてもおかしくないはずだ。」


「確かにあのメタルドラゴンには攻撃されたアトみたいなのは無かったな。」

それに虎熊の言う通りならどうやってメタルドラゴンは死者の森までやって来た?

もしメタルドラゴンを何らかの方法で死者の森に連れてきたなら目的はなんだろうか。

パラサイトヒルを調べたときに謎の薬とあったしその薬の関係者が何かしてるのは間違いないが……この件について調べておけばオルダーからの依頼にようやく着手してるふり出来るかな?

もし急務になりそうならオルダーからメールなり何なりで連絡が来るだろう。


それに解体の済んでないメタルドラゴンの身体をほったらかしにしてログハウスの前に腐海を作るわけにはいかんしな。

「なあ、町なんかの近くでドラゴンが発見されたら大体どのくらいで調査隊なんかは派遣される?」

「そうだなー発見場所近くのギルドの規模にもよるが大体1時間から3時間くらいだな。その場に偵察に適した人員がいればもっと早くなるだろうが……そう考えたらあのメタルドラゴンは人に見付かってないのか?これだけ時間がたっても誰も来ないし……もしかして死者の森に入ったから放置されてるとかか。」

虎熊の苦笑混じりの呟きを聞いてそんなことある?と思ってしまうがよく考えなくとも俺達が今いるのはこの世界でトップクラスの危険度を誇る死者の森なのだからあり得ない話ではない。

「死者の森って魔国か王国のどっちかが管理してるとかじゃないのか?」


普通ならこんだけ危険生物がウヨウヨしてるような場所をほったらかしにはしないだろう。

森の奥まで来なくても入口の周辺に見張りなり何なり配置しておくだろうし。

「一応両国ともに一番近い村と死者の森の間に兵士の駐屯所や冒険者が使う夜営所があるが、あれは死者の森から出てくるやつに対処するためにあるやつだから外から中に入ったやつを追い掛けるのは難しいのかもな。」

クイクイ

虎熊と会話を続けているとコニーに服を引っ張られた。

「ん?どうしたコニー。」

「にーちゃ、ねむぅ。」


コニーは俺達が会話してる間俺の膝の上で何となくポイントで交換したルービックキューブをカチャカチャしていたのだが食休みのつもりがかなり長い間話していたのでさすがにオネムのようだ。

「コニーがオネムみたいだしこの辺で終わりにしとくか。虎熊の部屋も用意してあるから好きに使ってくれ。」

睡眠の必要のない虎熊用に暇潰し用の本や知恵の輪なんかを置いてある。

「おお!ありがたく使わせてもらうぜ。」

虎熊は部屋に行き俺は目が半分しか開いてないコニーを連れて自室に戻る。


「まだ少しやることがあるから先に寝ててな。」

「むぐぅ。」zZZ

ベッドに乗せた途端丸まって寝始めたコニーをおいてパソコンを起動させ解体専用のゴーレムを作る。

メタルドラゴンの頭の解体だけでも結構な時間を使ったので身体を解体するには1日がかりになるかもしれないし、あまり時間を開けてメタルドラゴンの調査が遅れすぎるのも如何なものかと思うので、解体専用のゴーレムとアルファに解体は押し付けて俺と虎熊は調査に行こうと思った次第である。

~~1時間後~~

……やり過ぎたかな?とんでもない見た目になってしまった。解体専用のゴーレムだから効率重視で腕とかいっぱい生やしてどっかで脚は飾りですって聞いたし脚を着けなければ反重力アンチグラビティ機能をつけられると書いてあったので脚を完全に取っ払い、そのままだと違和感が凄かったので脚の部分が隠れるように赤と白のツートンカラーの長ーいローブを着せて虎熊のボディを作っているときは気付かなかったスキンの項目を使い見た目に人間味を持たせる……何て事をしていたら凄く不気味なゴーレムが出来てしまった。


顔を被う長い黒髪にその隙間から覗く光る目(夜間作業用にライトを仕込んだ)に薄く笑う口元、身長は浮いているのを加味しても100センチもないのに生えてる腕のせいで3メートルくらいに見える。

人間と同じ質感の手が通常位置に2本背中に4本そして腹から2本の計8本生えており、大小のハサミ、ノコギリ、小型のドリル、ノミ、カンナ、刺身包丁 、回転ノコギリの8種類の道具を装備した状態でゆらゆらぷかぷか浮いている。

……う~んホラー、コニーが寝てるから部屋の明かりは月の光だけなんだがそれがさらに目の前のゴーレムを不気味に仕立てる。

これは子供が見たら泣くかな?

さてゴーレムに名前をつけるわけだがアルファや虎熊とは違い意思疏通が出来るわけではないし、そもそも俺が作ったゴーレムは自分の意思を持つのか?


とりあえず名前は獅子刀ししとうと命名しよう。

「こんばんは獅子刀。」

意思が在るかどうかの確認のつもりで声をかけて見たが反応はない。

獅子刀は変わらずその場でゆらゆらぷかぷか浮いているだけだ。

「ダメか……獅子刀右手振って。」

ブンブン

獅子刀は俺の指示に従って手を振った……右の真ん中だけ。

背中と腹部から生えている腕は振らなかった。

もしかしたら背中と腹部のは腕ではないのかと思いパソコンをチェックすると腕の本数はちゃんと8になっているがよく見ると腕の1本1本に背中右手1などの名称がついており名称指定か右腕全部でないと動かしてくれなかった。


試しに握手を求めてみたら最初に振っていた手を差し出してきたので特に腕の指示がない場合は右腕と左腕が使用されるようだ。

腕についてはあとは見るとこはないとして次はスキルの再確認だ虎熊のときとは違いゴーレムを起動させても見た目に変化は無い。

獅子刀のスキルは虎熊とは違い数は少ないが良いものを入れたつもりではある。

〔解体上手〕…解体を行う際に希少部位等を普通より多くかつきれいに取り出せる。〔鑑定眼〕…物の価値や能力がわかるようになる、人物に使用することは出来ない。〔情報共有〕…自身が得た情報を自身の許可した相手と共有することが出来る有効範囲は50メートル。


獅子刀のスキルは解体に必要なものだけつけたからあんまりポイントは掛からないだろうと思ったのだが〔鑑定眼〕と〔解体上手〕の2つで虎熊につけたスキルの合計分くらい使ってしまった。

とりあえず獅子刀は起きてから動かすとして今はしまっとこう。

獅子刀をしまってコニーの方を見るといつもどおりのバルーン状態でぷかぷか浮いている。

コニーを起こさないように寝床に入って布団をかぶりねむ……ろうと思ったが自分のステータスを見てないことを思い出したので寝転んだ状態で見ていく……視界に浮かぶコニーが居るが気にしない。


キョウジ

種族:人間(仮)

年齢:10歳(29歳)

スキル:〔動物愛好家〕…人間以外の動物に好かれやすくなる。〔索敵〕…周囲の危険生物や敵意の有る者を視覚で見ることが出来る。使用すればするほど制度が上がる。〔武器創製〕…武器に分類される物を想像から作り出すことが出来る。正確に想像出来なければ失敗作が出来る。〔解放者〕…捕らわれた者を解放する際に道具を必要としなくなる。〔毒無効〕…毒が効かなくなる。〔暗殺者〕…発動後10分間〔探知〕や〔索敵〕に引っ掛からないず他者に気付かれなくなる。自分より強い相手には効果がない。〔精神的苦痛耐性〕…精神的なダメージに強くなる。〔肉体的苦痛耐性〕…肉体的なダメージに強くなる。〔鋼鉄の胃袋〕…腐った物や細菌だらけの物を食べても体調をくずさない。〔憤怒〕…怒りが頂点に達すると身体能力が70%上昇し思考能力が70%下がる。〔大罪人〕…罪を重ねれば重ねるほど強くなる。聖職者からの攻撃や聖属性で受けるダメージが5倍になる。聖域等の神聖な場所に入ると気分が悪くなり強化分が消え、全ての能力が半減する。罪属性と闇属性の威力が上がり闇属性と罪属性のダメージが半減する。

覚えている魔法:地面潜航アースダイブ火炎弾ファイアーバレット雷撃サンダーショット水刃アクアカッター

なんともツッコミ所のあるステータスだこと、まず種族:人間(仮)ってなんだ(仮)って俺はいつから人間を辞めたんだ?覚えがねぇぞ。


〔索敵〕と俺が手榴弾なんかを作り出すことが出来てたのは魔法じゃなくてスキルだったのか~なんか残念だ。

〔肉体的苦痛耐性〕〔精神的苦痛耐性〕〔暗殺者〕〔毒無効〕〔鋼鉄の胃袋〕は完全に地球側の生活から来てるな、こんなスキルが当たり前のようについてるなんて今更ながら俺、ろくでもない生活してたんだな……いや、ろくでもないのは親の方か。

〔解放者〕は心当たりがないな糞親からの解放者って意味なら納得がいくんだがどうだろうか?


〔憤怒〕は覚えがないな……あーでもプッツンしたときは相手を殺すことしか考えられなくなるし、それかなぁ?

〔大罪人〕は確かに人殺しは沢山してきたし親殺しもあるから仕方ないけど、一応神様に依頼されてる身なんだけどな俺、しっかしこんなスキルがついてるともしも聖国で何かあったとき俺動けなくないか?あと、罪属性ってなんぞ。


魔法に関しては、地面潜航は覚えた時に名前を見たから知ってるけど他の魔法は知らないんだが、たぶん魔法の練習をしたときに使った魔法に名前が付いたんだろうな、俺は魔法に名前を付けたりしてないし。

自分のステータスを確認し終わったし眠るとしよう、俺の種族についてや罪属性については起きてからオルダーに確認のメールを送らなきゃな。

さて、キョウジたちと別れて俺様用に作ったと言われた部屋に向かう。

今まで昼間はキョウジ達と居て夜はアルファといるか、リビングの窓から外を眺めてるかだったが今日からは俺様用の部屋で朝までの時間潰しをさせてもらおう。

幾つかの扉の前を通りすぎると木製のプレートがかかった扉を見つけた。


そこには、可愛らしい字体で(とらくまの巣)とあった。

ご丁寧にプレートの両端にデフォルメされた虎と熊が引っ付いていた。

まあー俺様は無性別だし可愛いのも嫌いじゃないし別に良いんだけどさ、なんで巣なんだろうか…。

ま、巣も部屋も大差ないしいいか。

扉を開けて部屋の中に入るとなんともファンシーなベッドが出迎えてくれた。

ピンク色の布地に肉球マークのアップリケがこれでもかとあしらってある、小さな女の子なら喜びそうだが俺様が使うにはちときつい気がする。


ベッドから目を放し他の家具に目を向ける、他にある家具は中身の詰まった本棚と絡み合った鉄の塊が山にしておいてある大きめのティーテーブルとセットであろうイスが2対存在感を放っている。

まずは本棚に向かい入ってる本をチェックするとしよう、3段に別れた棚の一番上の段からサッと見ていき目についたものをピックアップしていこう。

〔古今東西魔物図鑑〕〔世界の拷問100選〕〔チッボ氏厳選たのしい一人遊び集〕〔暑い日にぴったり!涼しくなれる不気味な景色100選〕

なんだこのラインナップは……他にもいろいろあるが図鑑とかナニナニ集みたいな本が一段目には入ってるみたいだな。

一段目のラインナップを見ると残りの段に不安が出てくるが、気を取り直して二段目にいくか。


〔ストパンの母が教える手相の見方―全種族対応〕〔馬車に人生をかけた男が語る!!馬車の魅力〕〔淫魔が教える恋人の喜ばせ方(成人指定)〕〔元盗人が教える狙われやすい旅人の姿〕

案の定変な本しかないな、ジャンル的にはエッセイ系かな?暇潰しにはちょうどいい部類かもしれん。

二段目を見て三段目にたいしてさらに不安が出てきたな~、きっと変な本が詰まってるんだろうな~。

〔英雄エリアスと悪の邪竜〕〔ホップとコップの大冒険〕〔かぷりんのおうちさがし〕〔おかしなおかしのおうじょさま〕

三段目は絵本か……なんか安心したようなガッカリしたような不思議な気分だ。

〔英雄エリアスと悪の邪竜〕や〔かぷりんのおうちさがし〕はわりと有名な絵本だな、俺様も入ったことがある。

本棚の次はティーテーブルに山積みになってる鉄の山を調べる。

ごちゃごちゃした鉄の山はよく見ると鉄でできたリングや動物の形をした物が複雑に絡み合ってできた……やっぱりよくわからないものだ。


全部が全部絡んでるわけではなく、なかには独立した物もある。

なんに使うのかさっぱり分からんので適当に1つ手にとって見る。

複数の輪が順につながった形をしており、それに針金の細長い輪が根本まで絡まった変な……なんだこれ?いろいろといじくってみたがさっぱり分からん、なので他のもいじくってみよう。

模様が綺麗な六角形のやつ…いじっていると中に何か入っているようでチャラチャラと音がするが、開けることは出来ない。

三角形が2つくっついたやつ…これはがんばって引っ張ったら俺様でも取れそうな気がすると思い頑張ったがダメだった、そもそも引っ張っるとゆう行為事態が間違いな気がする。

その後も手にとっては次、手にとっては次を繰り返していると山の中から手紙が出てきた。


「虎熊様」と書かれているので俺様宛なのは分かるし差出人がキョウジなのも分かる、だがなぜ、この山の中に手紙をいれたし。

そんなことを考えながら手紙を読む。


虎熊へ、この手紙を読んでいると言うことはかなりの量をいじくったあとだと思います。

この鉄達は知恵の輪とよばれる玩具で分解したり、分解したのを戻したりして遊ぶ物だ。もうやった後だとは思うが決して力付くで引っ張ったりするものではないから、覚えておいてほしい。

ぬぐぅ~、俺様の行動が完全によまれている ……にしても知恵の輪、か、頭がよくないと解けなかったりするんだろうか。

そんな事を思いつつ手紙の続きに目をやる。


知恵の輪とはあるが小さな子供でも解ける簡単なものから大人が何時間もかけて解くような難しいものまで難易度はさまざまなので、頭がよくないと解けないなんてことはないので安心してほしい。

一旦手紙を机に置き部屋の中を漁ってみる、何処かでキョウジが俺様の事を見張ってるんじゃないかと思ったからだ。

一通り探して見たが何処にも居なかったし、よくよく考えてみるとこれは手紙なので、俺様の行動を予想しているだけだ、きっとそうだと思い手紙の続きを読む。

遊び終わった後の知恵の輪は、俺がどこかで見張りながら手紙の内容を操作しているんじゃないかと考えて部屋の中を探し回ったときに見つけたであろうベッドの下の収納に片付けておいてくれ。


PS、浅知恵の輪と呼ばれる引きちぎるタイプのも入れてあるから興味があればやってみてくれ。

……もうね、諦めた、あしたキョウジのほっぺをつねってやろうと心に決めて浅知恵の輪とやらを探す。

……もしかして、このゴツい輪が連なってるやつか?

囚人の手枷って言われても納得のいくゴツさだな、試しに引っ張っ……てみるまでもないか、普通の知恵の輪ですら壊せないのにこんなのはなおさら無理だ、大人しく普通の知恵の輪をやってよう。

虎熊は適当に蹄鉄ていてつの形をしたやつを手にとってイスに座り黙々と知恵の輪を解き始めた。

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