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第5

一旦休憩をはさんで次に試すのは魔法、まず最初にイメージしたのは、失敗したときに危険が一番少なそうな水の玉を手のひらに出現させてみる。

ゴポポッ


水が出現するにはしたが水の玉と呼ぶにはいびつな水の塊が手のひらで不安定に揺れている。

触れてみた感触としては、水を入れすぎてゆるゆるになったスライムって感じ。

魔法で作ってるからか手のひらから落ちることはないが球体にするのが難しく、イメージではきれいな丸なんだが、いざ手の中の水を球体にしようとすると上手くいかない。

もしかしたら、水を球体に維持すると言うイメージが俺の中で成り立ってないのかもしれないどうしても丸くなった水がイメージ出来ない。


頭ではわかっているけどと言うやつだ。

〔検索〕や地雷なんかは上手くできていたので水の玉くらい楽に作れるだろうと楽観視した結果がこれだ。

しばらく頑張った結果出来上がったのはなぜか水のわっかだった。

丸く丸くとイメージしていたのがいつの間にか円くに成り変わっていたようで、水が手の中で円の形にぐるぐる周り続けている。


一応発現はしたので水は一時諦めて他の属性をいろいろと試してみることにしよう。

火……これは思ったより楽に玉にできた、昔火の玉は夜の墓地とか自殺スポットとかで飛び回ってるのよく見たし…非科学的な魔法に触れてる今ならあれは幽霊的なサムシングだったんだろうと思える。たまたま見かけたときに一緒に行動してたクリスマスに教えたらガチ泣きされたのはいい思いでだ。


土……周りに有った土を操作し、泥団子や砂でピサの斜塔を作ってみたがピサの斜塔は魔力を送るのを止めたら崩れてしまい泥団子は残った、試しに泥でピサの斜塔を作ってみたら上の部分は落っこちてしまったがしたの部分は残った、多分泥団子みたいなそのままの形で維持できる物はのこり、ピサの斜塔みたいな斜めになってたりする物は魔力がないと形を維持できないのだろう、泥団子は魔力を送るのを止めた状態で持ち上げたら掴んだところから崩れたので魔力を送り続けるのが前提条件の魔法なんだろう。

電気……スタンガンをイメージしたら俺の右手がバチバチし始め、雷をイメージしたら手から稲妻が飛んで行った、嫌な予感がしたので手を空にむけていてよかったと思う。


風……扇風機の強以上の風力は出なかったと言うよりイメージ出来なかったのでこれも後回し。

光……車のヘッドライトをイメージしたらかなり強い光がでたが、一方しか照らせないのでカボチャがあれば使わないかな。

闇……闇で何かするイメージが目隠しくらいしか思い付かなかったので、コニーに声をかけ目隠しさせてもらう、いきなり目隠ししたら可哀想だしね。やってみた結果はコニーの目の周りが黒くなっただけのように見えるがコニー自信は何も見えて無いようで手を前に出してふらふらしている。

何となく後ろに回り込んでみるが、コニーは気づかなかった。

魔法を解除してコニーを抱き上げログハウスに戻る。


魔法を試して分かったのは、俺は魔法で戦うのに向いてないってことと魔力に関してはボスの言うとおりかなり多いらしい結構な時間魔法の練習をしていたのに全く疲れていない。

次は刃物組の確認だがコニーの腹が鳴っているので先に昼飯だ。

ログハウスに戻ってきた俺たちは昼飯の準備を始める。

コニーには昨日同様エリンギを増やしてもらい、その間に俺はフィンガーフィッシュとドーバーフロッグを捌いてみる。

まずはフィンガーフィッシュをまな板にのせ、唯一の過食部位と言われている、指を切り落とし小皿に避けておく。


次に腹にある足も切り落とし、腹を捌いて内臓を取りだし横に避けておき、フィンガーフィッシュを3枚に下ろして身を1切れ食べてみる。

口の中いっぱいに広がるアンモニア臭、舌に刺さる渋柿のような渋み、うん!まっずい!!確かにこれは食えたもんじゃない!調味料でどうこうできる範疇を越えている!!

完全に食えないと分かったので残りのフィンガーフィッシュはすべて指だけ切り落としてリュックにしまった。

わざわざリュックにしまったのは、あとで試したいことがあるからだ。


フィンガーフィッシュをすべて処理して、次はドーバーフロッグの解体に入る。

まな板にのせたドーバーフロッグはとんでもない威圧感を放っている……主に顔が。

こいつも足を切り落とし3枚に下ろして頭はリュックに入れる。

ドーバーフロッグの胴体はきれいな白身で1切れ食べてみると味がなく、食感イカの刺身に似ていて歯にくっつく感じがする。

足は皮を剥ぐとチキンにしか見えなかったので生で食べるのは止めておく、寄生虫が恐いとかではなくなんかやだ。


ここまでの処理で一段落し、コニーの方に顔を向けるとエリンギの山ができていた。

「……………。」

山の反対側でコニーのお尻が見え隠れしている。

山の反対側に回りコニーに声をかける。

「コニー、頑張ったんだなありがとー。」

「むっきゅ!」

俺が声をかけたとき丁度ダンスが終わった所だったので、エリンギの生えた頭をつきだしてくる。

エリンギを取り、コニーの頭を撫でる。

「沢山増やしたな~ありがとーな~。」

「むきゅう~」

コニーを撫でくりまわしたあと、使う分だけ残して残りはリュックにしまう、こうやって食材をリュックに仕舞っていると思ってしまう、冷蔵庫要らなくね?と。

リュックに仕舞うと腐らないし、沢山入るし、取りだし楽だし、整理しなくていいし。

今のところは氷をつくるくらいしか使い道がない。

コニーには休んでてもらって、俺はエリンギ、フィンガーフィッシュの指、ドーバーフロッグの身と足を適当な大きさに切ってフライパンにぶちこんで炒め、味付けは何も考えず醤油で行う。

出来上がったものをフライパンから出さずにそのまま食卓に持っていく。


コニーと俺しか居ないし皿に盛るのがめんどくさくなっちった。

「さあ、コニー食べようか!」

「むきゅ!」

フライパンのまま出てきたのに一瞬驚いていたようだが、さすが俺のペットと言うべきか、渡したフォークで普通に食べ始めた。

昨日チャーハンを食べるときにも思ったが、コニーはスプーンやフォークを器用に使って食べている、ペットに食べさせるのをやってみたかったのでちょっとだけ残念だ。

コニーがモリモリ食べているから味は悪くないはずなので俺も食べる。


フィンガーフィッシュの指は砂ずりのようなコリコリ感で醤油が普通にあい、ドーバーフロッグの身は熱を加えたことにより歯にくっつくイカからなぜか馬肉のような食感に変化を遂げていた、足は普通にささみみたいな感じでちょっとガッカリ。

全体的に醤油味があう食材で良かったと思いつつ、顎がすごい疲れる昼飯だった。

コニーのお腹が朝飯のときほどではないが膨れているのでそれを突っつきながら食休みをとる。

「ポンポコリ~ン♪」ツンツン

「む!?む~むきゅあ~♪」コロン

俺が指でつつくのから逃れようとしたが、お腹が重たいようでその場で寝転んだだけだった、なので。

「ついげきだ~」プニプニプニプニプニ

「むきゅお~~~!?」キャッキャッ


そうやってじゃれあいながら食休みをはさみ、気乗りのしない二本のヤバイ刃物の確認を先伸ばしにするキョウジであった。


~1時間後~

コニーと散々遊んで満足した俺は外に出て、適当な木の前に立っていた。

リュックからサバイバルナイフを取りだし、目の前の木を浅く斬りつける。

シャッ、と音がして木に一本線が入る。

次はもう少し深く斬りつけてみる。

普通のサバイバルナイフなら、ガッと刃が止まるのだがすんなり振り抜くことができた、振り抜く際に力は全く込めていないのに振り抜けたのにも驚きだ。

その後石や少し大きめの岩なんかを斬ってみたが、こちらもすんなり斬ることができた、俺が元々持っていたサバイバルナイフもそれなりの切れ味はあったがここまで凄い切れ味ではなかった。

この切れ味は神が鍛えたからか、ソウルイーターの切れ味が凄かったのか、あるいはその両方か……。

とりあえず素の切れ味はわかったが、魔力を流したときの魂に傷をと言うのは今は確認の使用がないので保留にしておこう。

そしてこんな切れ味の物を入れられる鞘は持ってないので、危ないからリュックから出すことは多分ない。

次にドラゴンキラー牛刀を試そうとするが、柄の部分が大きいため片手で持てないので両手で持ち木に向かって適当なフォームで斜めに斬りつけてみる。


ザンッ!と音がし目の前の木が斜めにずり落ちていく。

こんな切れ味の包丁は料理では使わない方がいい気がする。

斬り倒した木は牛刀で適当な大きさの薪にしてリュックに仕舞っておいた、使うかはわからんけど。

二本とも切れ味が凄まじく、裸の状態で持っていたくないのでリュックにしまいこむ。

しかしこれでは、近接戦闘に不安がでる。

遠距離は傘があるから良いが、近接戦闘になったときどうするか……。


そう考えたとき、ふと思い付いたことを試してみる。

自分の手に魔力を流し手刀の形にする、イメージするのは今見たばかりのサバイバルナイフだ。

イメージし終えると両手が薄く発光している。

試しに木に手刀をあてるとさっきと同じように木が斬れたので成功だ。

斬り倒した木は手刀でさっきと同じように薪にしていく、子供が手刀で薪作りしている姿は他人から見たら凄くシュールに写ったことだろう。

木を二本斬り倒したため場所が空いたので昼飯を食ってるときに思い付いたことをためしてみようと思う。

まず土の魔法でそこそこの深さの縦穴を掘る、掘れたら地雷や空中機雷を魔法で作った感覚を思いだし手榴弾を作ってみる………上手く行った。


これではっきりした、俺はいじったことがあるまたは、自分の目ではっきりと見たことがある物なら魔法で使うことができる。

手榴弾のピンを引き抜いて穴の中に投げ込み離れて伏せる。

ドンッ!!!

投げ込んで数秒後に爆発、ちゃんと出来ていたようで安心した。

いろいろ試したし帰ろうと思いコニーの方を向くとコニーがなにやら慌てている。


「むきゅ!!むきゅー!!」

「?コニーそんな慌ててどうし。」

ズ……ズズ

た、と言う前に足元の地面が揺れ始める。

コニーを拾い上げ急いでその場から離れ、後ろを振り返ると地面を揺らしていた犯人が出てくるところだった。

ボコ!ボコボコ

地面から現れたのは全長20メートルはありそうなでっかい芋虫、ブニュブニュした茶色いボディに緑色のまだら模様が目立っている。


色と大きさを覗けばメンガタスズメの幼虫に似ているが、明らかに違うところがある、それは口であろう部分にげっ歯類のような門歯が生えていることだ。

なぜ芋虫が地面から出てきたのかはわからないが、芋虫は大層お怒りのようで、俺たちの方を向いて歯をガチガチと鳴らしながら睨み付けている……ように見える。


怒っている理由は明白だ、俺が手榴弾を穴の中にポイしたから地面の中にいたこいつがブチキレて出てきたのだろう。

あの様子だと逃がしてはくれなさそうだし、戦うしかないんだがあの大きさ相手に近接戦闘は避けたいところだ。

どれだけ切れ味じの凄い武器を持っていても、あの巨体を一瞬でスパッーなんて出来るだけの技術は持ってない。

斬った!芋虫の反撃!ズドーン!プチ、なんてのは困る…と言うか死ねる。


そんなことを考えながらも視線は芋虫から外さない。

リュックから傘を出して、芋虫に向けて構える。

ググッ

俺が傘を構えると芋虫が上半身をのけ反らせた。

嫌な予感がしたので、急いで横に飛びその場から離れる。

ブベッ ボジュー

芋虫が吐き出した黄色い液体がさっきまで俺の立っていた場所に着弾、すると被弾した場所が溶け始めた。


「うえぇ~胃液か何かか?溶ける速度は遅そうだし、ワンチャン当たっても一撃死はしないか?」

一撃死しないとはいってもあんな汚そうな攻撃に当たりたくはないが。


芋虫の吐き出す胃液攻撃を回避しつつ、一定の距離を保ちながら傘に魔力をチャージして行く。

イメージするのは、当然ロケットランチャーだ!。

この時、俺は芋虫を手早く倒すと言う事だけを考えた結果、ロケットランチャーを頭にぶちこめば普通の生き物なら一撃必殺に違いない!!と短絡的な思考に基づき行動していた、異世界での初戦闘にテンションが上がっていたのもある……その結果。

「よっしゃ!チャージ完了!くたばれ芋虫!!発射ぁ!!」

発射する直前、芋虫も当たらない胃液に業を煮やしたのかこちらに向かって突っ込んできており、発射された弾と突進状態の芋虫が衝突、芋虫の上半身が爆散し飛び散った芋虫の体液や肉片をもろにひっかぶるはめに……。

「おえぇ、青臭くて生臭い~、コニーは大丈夫か?」

「むぎゅ~」

コニーはずっと俺の胸のとこに引っ付いていたため、後ろがびちゃびちゃになっていた。

何はともあれ一難去ったので芋虫の死骸を一旦放置し、風呂に入るためログハウスに帰る、帰りついたときに気づいたがコニーの服たけキレイになっていた。(後頭部はびちゃびちゃのままだった)


思わぬところで服の機能確認がでしまった。

風呂に入りキレイになったところで問題が発生する、それは俺の服がないこと、まさかここまで盛大に汚れることはそうそう無いだろうと思っていたらこの様だ。

その場しのぎにパン一シーツ姿になり、管理人室でパソコンを起動してポイント変換を開きドーバーフロッグの頭とフィンガーフィッシュをポイントに変えられないか確認する、もしだめならこの格好で芋虫のとこにもどらないといけなくなる、誰もいないとはいえこの格好で外をうろつくのは嫌だ。


ドーバーフロッグ幼体の頭……500P

フィンガーフィッシュの残骸まとめて……300P

ドーバーフロッグ、頭だけなのに500ポイントになるのか、んでフィンガーフィッシュはまとめて300ポイントか、残骸って言われるほどぐちゃぐちゃにしたおぼえは無いんだが、指が無くなるだけで残骸扱いになるのか。

あ!コニーが増やしてくれたエリンギもポイントに変換できる!

エリンギコピー3本……350P

あのエリンギはコピーだったのか、とりあえずエリンギを3本とドーバーフロッグの頭、フィンガーフィッシュの残骸で合計1150ポイントを手に入れた。


確か、昨日チェックしたときはTシャツとズボンのセットが1000ポイントだったから足りるな。

ポイントを使い服を買う、パソコンの画面に購入完了の文字が現れ、どんな風に品物がとどくのかと思っていたら後ろでゴトンと音がして段ボールが落ちていた。

段ボールの横にでかでかとKAMIZONと書いてある、どっかのジャングル名の通販サイトのパクリ感が半端ないロゴだ。

段ボールを開けると真っ先に出てきたのは服じゃなく丸めた紙が沢山出てきた、〇ma〇onは過剰包装が有名らしいがそこまで真似たのか?


段ボールの半分くらいは丸めた紙で底に頼んだ服が入っていた。

どうすんだよこの大量の紙、とりあえず段ボールと一緒にリュックに仕舞っとこう。

段ボールにリュックを仕舞うんじゃなくてリュックに段ボールを仕舞うってゆうニュアンスが地味に気になるが、異世界の単語で片付いてしまう。

異世界ってスゲー。

服を手に入れたのでコニーを連れて芋虫の死骸のもとへ。

改めて死骸に〔検索〕をかける。

デビルビーバーワーム、Aランク、普段は地面の中にすんでおり、食事の時だけ地上に出てくる、獲物に弱い酸をかけ獲物が弱り逃げられなくなったところを丸飲みにして体内でゆっくりと消化する、獲物を丸飲みにする習性のため、体内にアイテムが未消化の状態で残っている場合がある。

耐性属性、打撃。

弱点属性、特になし。


ビーバーっぽいのは門歯の所だけなんだが、しかし食われなくてよかったな、ゆっくり消化されるなんてごめんだわ。

携帯のポイント変換機能でデビルビーバーワームの死骸をポイントに変換。

デビルビーバーワーム下半身……5000P

????……ポイント変換不可

デビルビーバーワームは半分で5000Pか丸々一匹なら10000P行ったのかな?

んで、なにこのハテナ?デビルビーバーワームの死骸しか見えないんだけどな?ポイント変換不可ってことはは生き物か特殊なアイテムだよな。


もしかしてデビルビーバーワームの体内にあるのか?

とりあえずデビルビーバーワームをポイントに変換する。

辺りに飛び散った体液は消えなかったが、デビルビーバーワームの死骸があった場所に小さなナイフがポツンと転がっていた。

なんか転がってる……何あれナイフ?

あれがポイント変換のハテナの正体か?ただのきったないナイフにしか見えないんだけどな、あれ。

「なあ、坊主俺様を手にとってくれよ損はしないぜ?得もないけどな。」


「得がないなら拾いたくないんだが?と言うか話し掛けてきてるのはお前か?ナイフ。」

「そのとおり、ここに転がってるデビルビーバーワームの体液まみれの汚いナイフさ。」

「その言葉を聞いて、よし拾おう!ってなるやつはかなりの少数派だと思うぞ?」


「んはは、そりゃそうだな俺様だって触りたくない情報しかなかったもんな。」

会話をしつつ手に魔法で水を出現させ、ナイフにぶっかける。

「おぉ、坊主は魔法が使えるのか、見たところ人間なのに珍しい。」

水をかけたことでましになったと思い、ナイフを拾ってみる。

見た目は普通の果物ナイフだ…喋る所を除けばだが。

「ようやく、手にとってくれたな坊主!」

「自己紹介が必要だな?俺はキョウジ、こっちのちっこいのがコニーだ。」

「むきゅ!」

「んはは、こいつはご丁寧にどうも、だが生憎と俺様には名乗れる名がないんだ……だが呼び名はある、は、寄生するパラサイトソウルだ、よろしくなキョウジ、コニー。」

立ち話もなんだし、あんまりここに長居したくないのでログハウスに帰ることにする、デビルビーバーワームの体液が飛び散っているので臭いが凄い。

歩きながらパラサイトソウルと会話する。

「パラサイトってことはお前、デビルビーバーワームに寄生してたのか?体内から出てきたし。」


「いいや違う、俺様はこのナイフに寄生してるんであってあのデビルビーバーワームの体内にいた理由は、俺の持ち主があれに食われて消化されちまったってだけだ。」

「じゃあなんでそんな呼ばれかたしてるんだ?」

「いつからそう呼ばれるようになったかは正直覚えてないが、俺様は物から物に移り住むことができる、その様子を見て誰かがいい始めたんだろう。」

「フーン、お前がこのナイフに住むことでナイフの切れ味が上がったりとかするのか?」

「逆だ、俺様が住むことで武器は威力が下がる。」

「……威力が下がるって宿主に不利益しかないからパラサイト呼びなんじゃないのか?」

「たぶんな。」


こいつ持って帰って大丈夫なのか?

うちの包丁片っ端から切れ味悪くされたら困るんだが。

「威力が下がるってどの程度下がるんだ?」

「まず、刃物類は野菜の皮さえ剥けなくる、皮膚に押し当てても傷ひとつつけることは出来ないし刺すことも出来ん、打撃武器はどれだけ強く叩き付けようが卵すら割れん、弓に至っては飛びすらしない。」


「それ下がるの範疇越えてないか!?今のところ聞いた情報だとお前を持って帰る選択肢が微塵も存在してないぞ!?」

「まあまあ、最後まで聞いてくれ俺様は本来武器に寄生するタイプじゃないんだ。俺様はな?相手に危害を加えないような物のほうが実力を発揮できるソウルなんだよ。」


「ちょっとまてい、俺様はってことはほかにソウル?ってのは他にもいるってことか?」


ソウルってそもそも何なんだ?俺のイメージだと霊魂みたいなもんなんだが。

「いると言えばいるし、いないと言えばいない、俺様たちソウルと呼ばれる存在は、物に宿らされた意思であって、誰かが死んで乗り移ったとかのホラー話ではないんだぜ。」


「お前らを作った誰かがいるってことか?そいつはなんの目的でそんなことをしたんだ?」

「しらん、俺様を作ったやつは俺様のことを失敗作だと言っていた、んでそのままポイされていろんなやつの手元と武器を転々として、今ここだ。」


「その転々としてるあいだに誰かに喋りかけたりしなかったのか?武器以外に寄生したりとかはなんかいくらいある?。」

「話しかけたのはお前で三人目だな、寄生に関してはさっきも言ったが俺様は武器以外が実力を発揮できる!と知ってるんだからあるぜ?他の物に寄生したこと!………三回くらいだけどな」ボソッ

「今なんかボソッと言っただろ!!」

「気のせいじゃないか?説明の続きをするぜ?俺様がほかのソウルについている、いないのところをハッキリ言えないのは俺様が出会ったことのあるソウルは、どれもマトモに機能してなかったんだ。」

「なんかはぐらかされた気がするが……マトモに機能してなかったって?」


こいつもマトモに機能してるとは言いづらい気がするが。

「俺様が話しかけた二人目が言ってたんだが、俺様たちソウルは魔法で扱いの難しい道具に意思を持たせ、使われてる道具と使用者の両方に使い方を覚えさせていき、道具に植え付けたソウルはゴーレムにいれて2倍の速さで使い手を増やし、最終的に神の雫って言うスゲー武器を扱えるやつを増やそうって計画だったらしい。」

「神の雫……。」

「おっ?知ってるのか?まあ、神の雫は使いこなせれば一国を落とすのも容易いと言われてるからな~お前くらいの子どもが知っててもおかしくはないか。」


知ってるもなにもリュックに二本も入ってるんだよなぁ、それを知ったらこいつどんな反応するんだろうか……今は言わないけど。

「んで、道具に意思を持たせるまでは上手くいったんだが、その先の覚えさせるでコケたらしい。」

「今のところお前、失敗作扱いで棄てられる必要なくないか?これだけ流暢にくっちゃべってるんだし、武器の性能ダウンを取っ払えれば合格わくだろ?」


「んはは、話はそう簡単じゃ無かったみたいだぜ、実験のゴタゴタは教えてくれなかったんだが、研究の責任者が居なくなっちまってなんやかんやあって研究施設にあったものは一部を除いて全部廃棄になったんだと。」

「そのなんやかんやが知りたいんだが。」

「俺様も知らんから無理!、それでな失敗作扱いの俺様が何で無事なのかっつーと俺様と幾つかの失敗作が盗まれてたらしいんだよ。まあ盗まれてたって記憶は俺様には無いんだがな!んははは!」


長々と話をしていたらログハウスについてしまった、コニーは途中から話に飽きて寝始めたし。

おっ?これがキョウジの家か?良い家に住んでるな!」

「あー、まあな、とりあえず中に入って話の続きといこうか。」

ログハウスに入り、ソファーに座り眠ってしまったコニーを膝にのせ、パラサイトソウルを机にのせる。

「なんか、そこそこ長く存在してる俺様も見たことがない物がいっぱいあるな……お前の家族は研究者とか賢者みたいな特殊な職業なのか?」


「いや、俺の家族は今のところコニーだけだぞ?」

「あ、いや、すまん。」

俺の返事を聞いてパラサイトソウルは何やら焦って謝ってきた、俺に関して言えば気にすること無いんだけどな、パラサイトソウルには判らないからしょうがないか。

「いや、構わんよ、それとここにある道具は全部生活に使うもので実験道具とかじゃないからな。」

「お、おう、そうなのか……とりあえず話の続きといこうか、俺様と一部の失敗作たちは盗まれて闇市に売られてしまったんだと。」


「いくら闇市とはいえ、売れるのか?お前。」

野菜すら切れないなまくらなのに買うやついたのか?

「俺様もその話を聞いたときはよく売ろうと思ったなとは感じたんだがな~何でもマニアに高く売れたらしい。」

どこの世界にもマニアっているもんだな。

「俺様が、他の物に移動出来るって知ったのは売られて、買われてをしばらく繰り返してたらもともと入ってた器が壊れそうになったんだ、その時目の前にあった別の武器に移りたいなぁと考えてたらそっちに移ってたんだよ。」

「なんじゃそりゃ、じゃあお前が他の道具に入りたいと思えば入り放題なのか?」


それなら結構強い気がするぞ、相手の武器に乗り移らせてへっぽこにしてしまえば、ほぼほぼ負けないだろ。

「いや、流石にそんなにポンポンは移れないな俺様が入ってる器が壊れそうなときだけ目の前にある物に移ることができる。」

「なんだ残念、そういえばお前が武器以外に入ってる場合どんな効果があるんだ?」

「んはは、俺様が過去に入った物のなかで一番喜ばれたのは鍋の蓋だ!」


「……武器防具のカテゴリーからすら外れてるんだが、お前本当に道具なら何でもいいのか。」

「んははは!!まあな!!俺様が入った鍋の蓋を使うと~なんと!食材の旨味が倍になり煮崩れや型崩れをおこしにくくなるんだ!」

「なんだそれ、普通に便利じゃねえか、世の中の主婦はこぞって欲しがるだろな。」

「んはは!そうだろう!そうだろう!俺様は本当に武器以外に入れれば優秀なんだよ!」

人形してたらふんぞり返ってそうなトーンだな。


「そういや、お前以外のソウルって結局どんなだったんだ?機能してなかったって言ってたが、話がずれてって聞いてないぞ?」

「あ~、そうだったな、機能してなかったっつーのは、記憶力が悪すぎたんだ。」

「どの程度の悪さだったんだ?バカな子どもくらいか?」

記憶力が悪いのが機能してなかったって言うんならこいつは普通に成功例のような気がするが、当時の研究者たちは余程ソウルを武器としてつかいたかったんだな。

「俺様が出会ったことのあるソウルで一番まともそうだったやつは、喋りが片言で数分前のことすら忘れてるレベルだったぞ、他のやつに至っては会話にすらならんかったしな。」

想像以上に駄作だった~。


「そんなのが世の中に出回ってるのか、お前本当に惜しい作品だったんだな。」

「んはは、もしも、俺様が盗まれてなくてキチンと検査とかされてれば、もしかしたら失敗作扱いじゃなかったかもな!んはははは!」

パラサイトソウルは何処と無く寂しそうな声で笑う、この状況を見てパラサイトソウルを可哀想だと思うか、たかが道具がなに言ってんだと思うか、どう感じるかは人それぞれだろう、キョウジがこの時感じていたのは同族に出会ったときの感覚、それは鏡に向かって自問自答しているような特殊な感覚。

「とりあえずお前の名前を決めないとな、パラサイトソウルじゃあ普段呼びには長いし、名前でもないしな。」

「んははは、嬉しいねぇ!ようやく俺様にもキチンとした名前がつくのか!特に希望はないからキョウジのセンスで頼むぜ!」

キュピーン!


後に彼はこの時のキョウジの表情をこう語っている。

「あの時、俺様は名前が貰える喜びでキョウジの表情の変化はあまり気にしてなかったんだ、何せずっと欲しかった名前がつけて貰えるんだからな!、ピンと来るやつは少ないかも知れないが、名前がつくってことはだ!俺様と言う個が居ることを認めて貰えてるってこと何だからな!?自分で考えて名乗るんじゃダメなんだ!!他の人に考えてつけてもらうことに意味があるんだ!!」

……熱弁は有りがたいのですがキョウジの表情をお願いします。

「お?おお!わりぃわりぃつい熱がこもっちまった……表情の変化だったな、今思い返せば新しいオモチャを手に入れた子どもみたいな無邪気な顔だったよ……あーでも眼だけは久し振りに獲物を見つけた肉食獣のような、コイツは絶対に逃がさないって堅牢な意思を感じる眼だった気がするよ。」


「俺のセンスで良いなら、話は早いぜ!お前の名前は今日から虎熊だ!」

「トラクマか……カッコイイ名前じゃねぇか!気にいったぜ!」

何か発音が少し違う気がするが、俺のセンスで気に入ったと言ってくれてることの前には些細なことだ!そして虎熊は俺と気が合いそうだ。

そのあとは起きたコニーに虎熊が改めて自己紹介をして、飯食って風呂入って寝ました、まる。

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