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第一

あんたなんか産まなきゃよかった。」じゃあなんで産んだ。

「出来たから仕方なく産ませたが、やっぱり邪魔だな。」俺もお前らが邪魔だよ。

「「迷惑かけないとこで死んでくれたら楽なのに。」」……だったら楽にしてやるよ……。

あれだけ冷たい言葉をはいていた口も、俺を汚いネズミみたいに見てた眼も自分達が動けないだけでそんな風に歪むのか。


そんなに怯えるなよ……最初で最後の親孝行なんだから、もっと喜べよ。

「自分の親を殺すなんて、とんでもない子だ。」殺さなきゃ俺が死んでた。

「親御さんも可哀想に、自分達が育ててきた子供に殺されるなんてなぁ。」事情を知っても同じ台詞が吐けるかな?


「野放しにしておいたら危険だ早く捕まえなくては!他に被害が出てからでは遅い。」殺されたくないから殺しただけだ、なにもしてこない奴にわざわざあんなめんどくさい事誰がするか。


「「人殺しは例え子供でも悪だ、正しく裁かれないといけない!」」自分の子供を物のように扱って、毎日毎日死ねと言ってくる奴らは許されて、助かるために殺した俺だけが悪か?

「まったく、生きにくい世界だな。」


「そうだね!生きにくくて仕方ない。特に君みたいな殺られる前に殺ろうタイプには尚更だ!……だ・か・ら、私と一緒に行こうじゃないか、君にとって生きやすい世界と価値観の会う連中を紹介しよう。」


明らかに怪しいアロハシャツに短パンサンダル姿のおっさんの誘いにホイホイ乗って付いていき、気づけば20年以上が過ぎた。



「ちくしょう!なんでこんなことするんだ!?俺たちがいったいなにしたってんだ!!」 


月明かりの差す部屋の中、恐怖と怒りが入り雑じった声で男が暗闇に向かって叫ぶように問いかける。

男の右足はあらぬ方向に向いており折れているのがわかる。


「…………」

グチャグチャグチャ

月明かりの届かぬ暗闇の中では、長身の何者かが黙々とドライバーで女の腹をかき混ぜていた。


女は既に事切れているのか身動きひとつしない。

「おい!ふざけんなくそキチガイ!こんなことされる言われはねぇぞ!!聞いてんのかこら!!」

ビュンッ ドカッ!

「あ?ぎっ、アァあァあァああああァァ!!」


騒ぎ立てる男の肩にドライバーが突き刺さる。

「ぎゃあぎゃあと煩いな、少しは静かに出来ないのか?この女もキーキー喧しかったが今は静かだぞ?」

何者かはぶつぶつと文句を言いながら、男の肩に刺さったドライバーを引き抜く。


その際に月明かりに照らされた何者かはハロウィーンに見かけるカボチャを被り、道化服をきた男のようだ。

「あ、ぐが、ちく、しょう何でこんな目に遭わなきゃ行けないんだ。」

カボチャ男は何故を繰り返している男の髪を掴み顔を上げさせ目を覗き込みながら問いかける。


「なぜ自分が?本当にわからないのか?心当たりが全くないか?」

男は必死に考えているようだが本当にわからないようだ。

カボチャ男は小さくため息を付いて男の髪を離し、引き抜いたドライバーを男の頬に突き立てた。

「うギャあ!?」

痛みで転げる男を見下ろしながらカボチャ男は冷たい声で告げる。

「ガキを殺そうとしただろ。」

カボチャ男の言葉を聞いて男は倒れ付したまま、憎々しげに叫ぶ。


「てめぇ!あの生ゴミの知り合いか!?あれは俺んとこのガキだ!それをどうしようが親である俺たちの自由だろうが、他人が口だす権利なんてねぇんだよ!」

カボチャ男はその言葉を聞き、新たに取り出したマイナスドライバーを弄びながら冷たく告げる。

「その考えに行き着いたお前の頭の中をこいつで覗いて殺るよ。」







ガヤガヤガヤガヤ

「シャチョーさんうちは安くて良い娘沢山いますよー!一時間二千円ぽっきり!」


ギラギラ光る派手な看板、安いことを異様に推してくる客引きたち、そんな連中がいる場所から外れ、人気のない路地の奥にある店HAPPY day。


外から見たのでは、営業しているのかどうかもわからない、そんな店に来店しておしゃべりをしている仮装集団、ミニスカサンタ服の金髪少女、かぼちゃ頭にピエロ服の男、うさみみのはえたシルクハットを被った茶髪の男、大きなハートを背中につけたセーラー服の黒髪少女だ。


彼らはとある何でも屋の用な組織のメンバーであり、決して仮装パーティーをしている訳ではない。

「ボス、遅いね~僕達のこと呼び出しておいて何してるんだろ?ねぇ、ハロウィン?」ペチペチ

サンタ服の少女はかぼちゃ頭……ハロウィンの頭をペチペチと叩きながら聞いた。


「知らねーよ、あの人は何してるかわからん人だからな、とりあえず俺の頭を叩くんじゃねーよ。バレンタインにチョコでも貰って大人しくしとけよクリスマス。」


頭を叩く手を遮りながら、人の頭を叩くクリスマスに少し離れた場所でチョコレートをつまむセーラー服の少女……バレンタインの所に行くように促す。


「ん~、バレンタインちゃんが食べてるのってウイスキーボンボンかブラックチョコレートでしょ?僕、どっちも嫌いなんだよね。それよりハロウィンも暇でしょ?さっきから座ってるだけだし。」


「なに言ってんだ、俺はボケーっとするので忙しいんだよ。」

「人はそれを暇or退屈って言うんだよ?」


会話をしながらもハロウィンにじゃれつくのを止めないクリスマス、そんな二人を眺めていたうさみみシルクハットの男が口を開く。


「仲が良いですねぇお二人とも、クリスマスさんどうしてもお暇ならイースターエッグを作りませんか?退屈凌ぎくらいにはなるでしょう。」


うさみみシルクハットの男、イースターはそう言うとどこから取り出したのか卵の殻と筆やマーカー、糊にビーズを机の上に並べ始める。


「ウーン、作っても良いけどイースターの言ってるイースターエッグって、イースターが仕事で使う毒薬の入れ物でしょ?僕うまく作る自身ないよ?最悪ココでぶちまけちゃうかも。」


クリスマスの返事にイースターはにっこり笑って。


「大丈夫ですよ内部は後で私が自分でやりますので卵の殻に絵を描いたり、色を塗るだけで構いませんよ、何せ消耗品ですから数がすぐ足りなくなるんですよ。」


イースターの返事を聞きクリスマスが卵の殻とを手にしたところで、バレンタインが二人に声をかける。


「イースター、クリスマス、暇潰しの必要はなくなったみたいよ。」


バレンタインの声と同時に扉が開き、アロハシャツに短パンの初老男性が入ってきた。


「いやー、私が呼び出したのに遅れて申し訳ない。今回の依頼人達との連絡が上手くとれなくてね。」


男性の言葉にハロウィンがぶっきらぼうな返事を返す。

「それは別に構わねーけどよ、どうせ俺達4人にやらせる仕事なんてとんでもねーしめんどくせー依頼なんだろ?」


ハロウィンのぼやき混じりの返事にクリスマスが続く。


「そうだよねー前に皆で集まったときは、この腐った国を救うんだー!っていう連中を潰さされたもんねーその前だって……。」


「まあまあ、お二人ともあれはあれで楽しかったのでいいじゃないですか、それよりもお仕事の話をしようじゃありませんか。さあボス説明をお願いします。」


イースターが長くなりそうな二人の文句を止め、ボスに依頼内容の説明を求める。


「ああ、有難うイースター、今回君たちには異世界に行ってもらう、何を言ってるんだと思うだろうがまず聞いてほしい、私は実は神で神のなかではそれなりの力を持っているほうなのだが、今回の依頼人である私よりも下位の神達がいろいろやらかしてしまってねー、私に泣きついてきたんだ面倒くさいから放置しようかと思ったんだが、1部の神の世界の問題はこっちにも飛び火しそうな状態だし、そこだけ助けるのもあれだし?で仕方なく君たちを送ることにしたんだ。」


「はい、ボス以外で全員シューゴー!」


クリスマスの声に4人は集まり円陣を組んでボスの状態について相談を始める。


「ボスどうしちゃったんでしょうか?」

「昔から悪ふざけをする人ではあったけど、何かの映画かアニメにでも感化されたんじゃね?それでゴッコ遊び的なのに俺達を巻き込もうとしてるとか。」


「かも知れないねー、でもそれにしては、僕たちに向けてる眼差しにくもりとかないよー?純正なおっさんの目だよ?」

「フフッ……純正な…おっさん……プフッ……普通に考えたら…痴呆が始まっちゃった…んじゃないの…?」


一通り意見を述べていきバレンタインの「ボスの痴呆が始まった」に落ち着き、4人は可哀想な視線をボスにむける、この人は幾つか分からないがそうゆう年齢になってしまったんだな、引退させて老人ホームに放り込もうと考えそれぞれが行動を起こそうとしたとき。


不穏な空気を感じ取って先にボスが動いた。

「うん!そういう顔をされるのはわかってたよ!何処に連絡しようとしてるのかはわからないけど、君達を依頼人のいる場所に飛ばすから、詳しい話は各々が聞いてくれ。」


パチン

ボスがそう言いって指を鳴らすと、ハロウィン達の姿は消えた。

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