第13話 苦手なんだよなぁ
ラウンジ(決まった…………いい感じで言えたぞ……)
ラウンジ「どうじゃ?いい話じゃろう?」
ラウンジは両手を3人の目の前で大きく広げビシッと決めてみせた
その目にはなんの後悔もなかった
少しだけの間があった後、3人は口を開いた
パルム・慈郎「嫌です…………」
あずき「なんか嫌………」
嫌なんだってさ
ラウンジ「……?…???…?………………うそおおおぉぉぉ!!?凄いワシカッコよく決めて言ったのにうそおおおぉぉぉ!!??!」
慈郎「いや、ラウンジさんはかっこいいんで大丈夫すよ」
ラウンジ「じゃなんで!!!?」
慈郎「当たり前でしょうが!!!!そんなクソやべー連中らと闘いましょうね〜〜、なんて言われて誰がそんな話にのるんすか!!!!命がいつくあっても足らへんて!!!」
パルム「戦闘狂やったらのるやろうけども僕らただの一般人ですからね!!!!??!?あん時は闘わなしゃーなかったからあぁしただけっすよ!!!!」
ラウンジ「その戦闘力を聞いてワシは君らを誘ったんじゃよ!!!!!闘おうや!!!!」
慈郎・パルム「嫌ですわ!!!!」
2人の意見は当然であった
こんな話、一体全体誰がのるというのであろうか
ラウンジは汗をかきながらどうしたものかと悩んだ
この流れ的に断られるとは思っていなかったらしい
どうにかして3人を誘おうか……
まずはあずきだけを誘ってみることにした
ラウンジ「う〜ん…………ほならあずきちゃんだけでもどうじゃ?」
あずき「なんか嫌です…あんまり戦った経験とかないし、あの時のガチムチを倒した事なんて覚えてないし…」
慈郎「申し訳ないっすけど、この子はどんだけ強くても女の子なんで!それになんや…fieldcoreって組織あるんでしょ!大丈夫じゃないっすか!」
ラウンジ「いやいや、さっきワシの話聞いたじゃろう!!?その子はワシらにとって、世界にとっての切り札なんじゃ!!まぁ………知らんけど…それに部隊に関しては人数が多いほど良いじゃろう」
ダメだったか………それもそうであろう
いくら切り札とはいえ女の子である
ラウンジ自身も正直そんな酷い目には合わせたくない
ほかの手でいこうとした時にパルムが口を開いた
パルム「それに他にも理由ありますしねぇ…」
そう言うと慈郎にアイコンタクトをとった
慈郎は他の理由の内容が分かっているのか眉を乗せていた
ラウンジ「なんじゃ?他の理由とは」
パルム「僕ら…あんまり連むっていうか、人間関係が苦手なんですよね。はっきり言ってしまえばひとりが好きなタイプなんです
あずきはどうか分かんないですけど、僕と慈郎はそうなんすよ」
ラウンジ「でも3人仲良さそうじゃぞ?」
慈郎「もう家族みたいなもんすからね…」
取り敢えず3人の話を聴き、機嫌をとる手段に出た
ラウンジ「なるほどの………というか、パルム君、キミはそもそも何者なんじゃ?さっきの話聞いとったら地球人とは思えんが…」
パルム「さっきかるーく言いましたけども、僕自身わかんないです。なんかカプセルみたいなんから出てきたらしいですけども」
ラウンジ「そのカプセルを調べたら何か分かるかもしれんぞ!今どこにあるんじゃ!?」
慈郎「庭に置いてたんですけども、巨大ガラスに持ってかれてどこにあるかわかんないです」
ラウンジ「そう………もったいね」
またもや悩んだ
どうしたものかと
ラウンジはどうしてもこの3人を誘いたかった
今の部隊が人数不足なのもあるが、この3人から醸し出される魅力とセンスに心が惹かれてしまったからだ
後それと部隊の紹介金欲しさである(これが1番の理由)
それにこの3人、本人たちはそんなに強くないですよ感を纏っているが、確実に強い
ラウンジの今までの人生を培ってきた先見の明は、この場をどうしても離したくはなかった
ラウンジは強く前に出ることにした
ラウンジ「………お金…」
慈郎・パルム「へ?」
ラウンジ「お金あげる………」
パルム「いくらです……?」
慈郎「契約金ってやつっすか…?」
ラウンジ「……………1億」
あずき「もうちょっと大きく…」
ラウンジ「……………」
どうしたものか、組織を追い出された身なのではっきりいってお金なんてない
今のラボの研究費も貯金を崩してやっているのでギリギリなのである
とてもでは無いが、出せるお金なんて無いに等しい
そこで紹介金を考えた
しかし、ラウンジは部隊に訳の分からない連中をよく紹介するせいで、全然信用はされてない
たまに有能な人材を紹介をする事はあるが、前者のせいで紹介金は精々50~100程度である
だが、今回はあずきがいる、切り札と呼ばれる少女がいる
紹介金はそんなもんではないだろう
ラウンジ(嘘ついてまえ………!)
ラウンジ「ワシは部隊から信用されておるからな
君らに最低でも1億は用意できるじゃろう
それに、あずきちゃんの件もある
特別優遇対応をさせる
これでどうじゃ?(これでいけるやろ!!!)」
慈郎「事前金とか用意出来ます?」
ラウンジ「えっ!!?!??あぁ〜………できる……んじゃ…ないかなぁ…した事ないからワカンネェヤ〜はっはっはっ」
パルム「なんかうさんくさいなぁ……」
あずき「私行く……」
慈郎・パルム・ラウンジ「えっ!?!!??!!」
あずき「私、パルムと慈郎に助けられた恩もあるし…それに家が貧乏だから助けてあげなきゃ………」
ラウンジ「よ………よく言ったぞ!!さすがあずきちゃんじゃ!!!!!!偉い!立派じゃ!!!可愛い!キュート!セクシー!!」
パルム「おいおぃ…分かってんのかよあずき!遊びとちゃうねんで!絶対前線に駆り出される!!!」
慈郎「せやぞ!それに家が貧乏なんはホンマに……申し訳ないけども、そこまで思ってくれんでも大丈夫や!な?」
あずき「でも………うん………大丈夫。ありがとう2人とも」
あずきは部隊に入ることを覚悟した
そのまつ毛が長く、とても綺麗な瞳の奥には確かな覚悟が存在した
カプセルから目覚め、敵に襲われ、チビとおっさんに拾われ飯を食べあって、胡散臭い爺さんに部隊に誘われ…………
通常ならば訳が分からなくなって混乱する状況である
しかし、あずきはそれに迷うことなく、混乱すること無く、覚悟を決めた
この覚悟と行動あずきが切り札ということに何かしら関係があるのだろう
パルム「ほなら…………僕も入ったらァ!!!あずき1人だけ入らせたるなんてことあるかぁ!!!」
慈郎「俺もじゃ!!!!昨日会ったばっかの子に振り回されとるけどもめしを食いあった仲!!!!もう家族みたいなもんなんや!!!」
3人が覚悟を決めた瞬間であった
何故かラウンジは感動で涙が出そうであった
出るタイミングなんざどこにも無いのに
ラウンジは喜んで3人に握手した
これで紹介金が貰えると………
ラウンジ「よく言ってくれた!!!!部隊に話はワシがしておく!!!あとは任せてくれ!!!!日にちはまだあるんじゃ!今日のところは家に帰ってゆっくりしてくれ!!!!
ありがとう、本当にありがとう!!」
光岡「なんだってぇぇぇーー!!!」
松田「この3人が部隊に入るなんて!一体、どうなっちゃうんだ〜〜〜!!!!!」
ハゲと長髪も喜んでいた
あずきは綺麗な顔ではあるが、1人の老人の興奮に戸惑いを感じ困った表情に
パルムと慈郎はやっぱり言わなければよかった、あずきを連れて帰ればよかったという顔をしていた
ラウンジ「ところで君ら、ワシが頼んでたアクセヲリング持っとる?」