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虚空  作者: Aki.
7/17

VI

「雨か…」


今日は俺がここに移り住んできて初めて雨が降った。


今日は屋上にはいけないだろう――







………

……


珀愛学園――


……教室はいつもの感じではなかった。


ある一人の少女が俺をそう思わせるんだろう…


「…神月」


そう、今日はいつも冴えない教室に屋上の不良少女神月鏡がいた…


「なんで、そんなとこに突っ立てる? 授業が始まるぞ」


「ああ。そうだったな」


この教室にこいつが居るのは俺からしたらとても新鮮だった。まぁ、居ることが普通なんだろうけどな…


「今日は珍しく授業に参加するんだな」


「今日はさすがに屋上に行けないからな。仕方なくだ」


「仕方なくね…」


神月の席は俺の右斜め前だ。(ちなみに俺の席は窓際の一番後ろの席だ)


「はーい♪ 朝のHRを始めま〜す♪」


結城先生がまったりとした口調で教室に入ってきた。


「今日の欠席は……あれ?」


結城先生の目線は神月に向けられた。


「神月さん♪ やっと来ましたね♪」


「はい」


「どれくらい来てなかったかな?二週間だったけ?」


「さぁ? わかりません」


「まぁ、そんなことはどうでもいいけど、いくら成績がいいからってサボり過ぎはダメだよ」


「は〜い」


「じゃあ出席取りま〜す」


俺は神月が居るだけでこの教室は明るくなった気がした。
















………

……


昼休み――


「神月」


「なんだ?」


「いっしょに昼飯食べないか?」


「それはいいがどこでだ?」


「食堂」


俺はこの学校に来てから教室と屋上以外、ほとんど足を踏み入れてないことに最近気付いた。

それに名門私立高校の食堂がどんなものか気になっていた。










………

……


食堂――


「へぇ、結構広いな」


席がそこらのファミレス並みに多い。いくらなんでもすごいな。


「そこで食券を買って渡すんだ」


神月が指を差した方には立派な食券の販売機があった。


「ほうほう。カレーにラーメンに親子丼…石焼きビビンバまであるのか!?」


「書いてあるならあるんだろう。私はあまり食堂に来たことがないからわからない」


「そうか」


俺はなんとなく直感でカレーライスを選んだ。


そして、食堂の人に食券を渡して席に着いた。


「…にしても人いないな」


「ここの生徒は別室授業やトイレ以外では、ほとんど席を立たないからな」


「へぇ。なんか悲しいな」


「……そうだな」


そうこうしてる間にカレーができたみたいで、俺は受け取り場所まで行った。


「で、神月は何食べるんだ?」


「私か? 見ればわかるだろう。弁当だ」


確かに机には弁当があった。小さくて女の子らしい弁当箱だ。


「そんなんで足りんのかよ?」


「大丈夫だ。私はいつもこれだからな」


「へぇ」


そういや屋上には何度も行ってるけどこいつの飯食ってるところ見たことないな。


「そういうことだ。早く食べないとカレーが冷めるぞ」


「そうだな」


そして俺はカレーにがっついた。


「食べないのか?」


「今から食べる」


そして神月は弁当を開けた。


神月の弁当は彩り鮮やかで見栄えがよかった。


とてもうまそうだ。


「私の弁当がどうかしたか?」


「いやなんでも…」


「そんなに見られたら食べづらい」


「悪い。うまそうだなって思ったんだ」


「……食べてみるか?」


俺はその一言に頷いて弁当に入ってる玉子焼きを食べてみる。


「……うまい」


玉子焼きはしっかりと下味がしてあり、ほんのり醤油の風味がしてうまかった。







――昔、母さんが作ってくれた弁当にはこんな玉子焼きがあったけ――



「そうか。それはうれしいな。作った甲斐がある」


「あんたが作ったのか?」


「そうだ」


へぇ…


「あんた……料理できたんだな…」


「失敬な。一人暮らしをしているから料理ぐらいできるぞ」


「あんたも一人暮らしなのか?」


「『あんたも』って君もか?」


「あぁ。料理は苦手だけどな」


「そうか…」


「毎日買い飯だよ」


少し笑いながら言ってみたが、どことなく言ってて寂しい。







「雨、やんだな」


外を見ると雨はやんでいた。


「そうだな」


「今から屋上へ行くか?」


「ほんと、あんた屋上好きだな…」


「君も……だろ?」


「あぁ」


昼食を食べた後、屋上へ向かった。













………

……


「君が先に登ってくれ」


屋上の給水塔へ行くためのハシゴで神月が行った。


「いいけど、なんでだ?」


「登っている時にパンツが見えてしまうだろ?」


前にどうでもいいって言ってた気がするが……


「…あんたも女なんだな」


「どういう意味だ?」


その言葉は無視してハシゴを登る。




………これは



「君、無視するな。さっきのはどういう意味だ?」


神月が登って来た。


「いや、あんた前に見えそうな時に適当に流さなかったか?」


「そんなこと……あったな。でも、あれは見えてなかっただろ?」


「いやバッチリ見えてた。赤色だったかな?」


「なっ!!」


「それより見てみろよ」


「?」


俺はある方向に指を差した。


「綺麗…」


「雨降ったからな」




俺が指を差した方向には……







綺麗な七色の虹があった。


「やっぱ、ここから見る風景は綺麗だな」


「……そうだな」


その日はもう雨が降らなくて、俺たちは後の授業をサボってずっと虹を見ていた。












「君、あの時パンツ見たのか?」


あの話は流れたと思ったんだが、神月から黒いオーラが出ていた……

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