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虚空  作者: Aki.
14/17

XIII

―――『発作』が起こってしまった……


 全然『発作』起きないから、もう大丈夫だと思ったのに、これかよ…


 やっぱり、俺には…









未来なんてないのかな?―――











―――


 俺は車の助手席に乗っているみたいだ。父さんの墓参りが終わって帰っている途中だな…また、夢だ。本当に最近よく見る…


「…陸」


 車を運転している母さんは前を見ながら、泣きそうな声で話しかけてきた。


「何? 母さん」


「ごめんね…」


「急にどうしたの?」


「父さんがいないことで今まで苦労かけたでしょ? だから…」


「やめてくれよ。別に苦労とか思ってないし、母さんにも感謝してる。だから、母さんが俺に謝る必要なんかないよ」


「…ありがとう」


 母さんは眼に涙を溜めながらも笑った顔を見せてくれた。


 このやり取りは今でも、昨日のように思い出すことができる。だって…






「帰ったら、久々に陸のために腕に寄りを掛けて夕飯を作るわ。何がいい?」


「ありがとう。でも、別に何でもいいよ……母さん!! 前!!」


「…えっ」








…俺はこの後の記憶はない。そして、気が付くと病院にいた。




「…っ」


「先生、目を覚ましました!!」


 女の人の声が響き、奥から医者が出てきた。


「これが何かわかるかい?」


 そういって胸にあったボールペンを出した。


「…ボールペン」


「じゃあ、6×4は?」


「…24」


「じゃあ、このボールペンを使って、ここに何か動物の絵を…」


「なんなんだ? あんたは俺に何をさせたいんだ?」


「脳に障害がないか調べていたんだよ」


「なにが…あったんだ? いや…」


 この時、俺は正面から来る大型トラックを思い出した。


「墓参りの帰りに正面からでかいトラックが来て…」

 一瞬にして、頭の中で抜けている物に気が付いたのを覚えている。


「母さんはどこだ!?」


 その一言で、部屋にいた医者や看護師が言いにくそうな顔をしていた。


「どうなったんだよ!? なぁ!!」


「言いにくいことなんだが…」








「君のお母さんは亡くなった。完全に即死だったそうだ…」




―――俺は悪い夢でも見ているんだと思いたかった…




…そこから医者は刻々と事故のことなど、話してくれた。トラックの運転手が飲酒運転していたこと、1ヶ月以上俺が昏睡状態だったこと、その間に母さんが火葬されたこと、そして、その事故で俺の脳に何らかの損傷が出来ているかもしれないこと…


「君はほとんど身体の外傷はなかった。しかし、脳に何らかの障害が出来ている可能性がある」


「障害?」









―――この障害が俺の未来を奪うことになったんだ…


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