IX
――俺は間違っているんだろうか?自分だけの幸せを考えていることが…
………
……
…
病院――
神月にプロポーズ?的な事をした次の日の朝。
俺は今日は病院で、カウンセリング受けている
「前よりもずっといい顔してるね。やっぱり良い事あったんだろう?」
担当の先生は屈託のない笑顔で問い掛けてきた。
「そうですね。無いこともないですね」
「そうか。それはよかった。
病は気からとも言うだろ?結構、内面的なことも君の病気に密接に関わってるんだ」
「………」
「だから心に余裕を持って」
「はい…」
――俺の病気は不定期に起こる『謎の症状』。一週間に一回あったりもするし、1日に何回もあったりもする。ないときは1ヶ月以上ないときもある。
そして、この『謎の症状』は2ヶ月以上起こっていない。
だからこそ俺はわからなくなるんだ。
――俺は本当に長くないのかって……
そう思えたから神月にあんなこと言えたんだろうな…
………
……
…
屋上――
「どうして遅刻したんだ?」
神月が俺の顔を覗き込みながら言った。
「どうでもいいだろ」
「君、昨日言ったセリフを忘れたのか?」
「?」
「『傍にいてくれ』って言ったからには、どこに行ってたのか教えてくれてもいいんじゃないか?」
「ブッ!!」
真面目な顔で言われて、思わず吹き出してしまった。
「……はぁ。今朝は病院に行ってたんだよ」
一応、嘘付くこともないので本当のこと言う。
「病院?」
「あぁ」
「どこか悪いのか?」
「さぁな……」
俺は今、本当に体が悪いのかどうか全くわからない状態だ。
「君……」
「何だ?」
「……何でもない」
「?」
………
……
…
「………」
俺は今日ももらった薬を見つめていた。症状を和らげるができるらしい。しかし、先生にも和らげているかどうか本当のところは、わからない代物でもある。今日はいつもと違って飲む気がしない。なぜだろう?
2ヶ月の空白は『発作』の感覚を忘れさせてしまったみたいだ。
いや、俺自身に『発作』が起きたという感覚はない。目が覚めるとすべてが終わっているんだ。要するに俺は『発作』自体に何の苦痛もない。そして、もう2ヶ月も起こってないんだ……大丈夫だろう……
そうして俺は薬を飲むのを止めた……