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新たなる遭遇者と満貴について

趣味で書き始めました。読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・力技ハーレム。主人公の外道要素の一つとして入れただけなので、途中からほとんど描写が無くなる。


・デスゲームもの。主人公がテキトーに運営。


・スキルとかレベルとか。


・俺tueee、チート能力。


・悪役主人公。前に出る黒幕。


・読みづらい。


・残酷な描写や暴力表現あり。


・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。



「ちょっと寄ってみる?」

「え、けど…お金」

「受け取る人もいないし、使う人もいないと思いますけど」

「あ、そうですね。ごめんなさい、変なこと言って」

「いや、大丈夫。真面目なんですね」


 首を振る楓を見て、満貴はちょっと落ち着いたようだと感じた。

薬箱や化粧品、栄養ドリンクなどが手つかずで残されており、照明に照らされた店内は清潔に保たれている。

店員の姿は無い。満貴はバックヤードに入ってみる事にした。


「危なくない?」

「え?うーん、店員がいたなら、勝手に持っていく訳にもいかないし」

「そ、そうですね」


 従業員用の出入口をそっと押し開け、様子を窺う。

廊下に出た2人の前に、大きなネズミが現れた。短い悲鳴を上げた楓の前に出て、ステッキで頭を一撃。

蹴られたゴミ箱のように吹き飛んだきり、ネズミは仰向けに横たわり、身動きを止めた。


「え、えと、死んだの?」

「多分……確かめるのはちょっと」

「そうだよね…は、はは。けど、店員の人は?」

「……ここから呼んでみる?」


 楓はやめて欲しい、と言った。

満貴としても、この空間内の住人の存在を考えると、あまり気が進まない。

この時、佳大はある語句を思い出した。ローグライク、あるいは不思議のダンジョン。


「商品を一個、外に投げてみます」

「大丈夫ですか?」

「万引きにはならないし、どうしてもって時は謝りましょう」

「……そ、そうですね。じゃあ、お願いします」


 満貴は錠剤の入った箱を掴み、店の前を走る通路に放り投げた。

10秒ほど待ったが、周囲に変化は起きない。歯ブラシを1本持って、店の外に出るが、警報が鳴ったり、店員が飛び出してくる気配は無い。


「持ってて…いい、んですよね?」

「多分。なんなんだろう」


 2人は鞄に必要なものをしまい、店を出た。

解熱剤や包帯、歯ブラシにシャンプー、それから日持ちのするシリアルバーを、鞄一杯に詰め込む。

楓は入り口前に置かれている買い物カゴに入れて持っていこうとしたが、胸騒ぎがしたので、満貴は止めた。


「荷物は俺の鞄に入れていきましょう。どこかで鞄があれば、渡します」

「うん、わかった」


 薬局を出て、探索を続行。

薬局前の道は、ゾンビと出くわした場所に繋がっている。

2人は今回の探索で、周囲の地理を完全に把握した。後は扉の向こう、何かしらの施設に入っていくのみだ。

扉の奥に入っていく勇気は出なかったが、そろそろ踏み込むべきだろう。


 帰宅後、簡単なファッションショーが始まった。

装備の確認である。中型拳銃に使えそうな弾丸のパックを発見できたが、拳銃など触った事がない。

むしろ期待できるのは金属バット、シャベル。


「佐々石さん、これ使って」

「え、でも私」

「恐いとは思うけど、俺もいつどうにかなるかわからないし。いざっていう時に慣れておいた方がいいよ」

「けど、私……」

「ごめん。ゆっくりでいいから」


 あまり突っつきすぎると逆効果だろう。

自分の身くらい自分で守って欲しいのだが、凶器を生き物に振り下ろすのは世間的には難しい事なのか?

満貴は…どうという事は無い。いつも社会的立場を考えて堪えるだけなので、制約さえなくなってしまえばこんなものだ。

勿論、手の中に残った感触は生々しかったが暴力そのもの、自分が殴る方に限って言うなら、嫌いではない。


 翌朝、満貴と楓は2度目の探索に出発。

昨日とは違い、楓は歯磨きが出来たので、スッキリした表情をしている。

シャンプーやボディーソープも満貴が使っている品ではない、自分でセレクトしたもの。

もっとも、男性と同じ浴室―当然だが、一緒に入ることは無い―には、今だ慣れていない。


 また、満貴に対して、警戒ではなく恐怖を覚えるようになった。

保護されている身の上の為、表立って距離を取ることは無いが、生物に何の気の無しに凶器を叩きつける姿が恐ろしく感じる。

もし、あれが自分に振り下ろされたらと思うと……。


 満貴の懸念通り、店舗内での戦闘は厳しかった。

身体能力の向上に慣れ、主導権を握れなかった場合、袋叩きにされていただろう。

とはいえ、楓を守りながら戦う事になるので、スムーズに倒す事はできない。

下に向かう階段は和食店らしい店舗スペースに、後から付け足されたようにカウンター前に四角い口を開けていた。



「…先に行くから、ついてきてくれます?」

「ついてきますから、置いてかないでください!」


 階段を降りきると、アパレルショップのバックヤードに出た。

商品と思しき服が収まった棚やハンガーラックの間に、階段は続いている。

狭く、視界も悪いが、服の替えは魅力的だ。満貴と楓は目ぼしい服を手に取り、鞄に収める。


「下着も欲しいですね」

「し、した!?はぁ…」

「あー、ごめんなさい。セクハラですね」

「いえ……」


 服を鞄に詰め、アパレルショップの販売スペースに出る。

すぐ前を獣とも人ともつかぬ異形が2体、通り過ぎていく。天井の照明以外、光源の無い地下をうろついていると、時間の感覚が曖昧になる。

恐々と店を出た2人は、レディースのバッグ、サイフを売る店の前を通りかかる。


「ここ…」

「あー、見てみますか」


 2人は店に入る。

満貴は興味なかったのだが、楓が選んでいる間は留まっているほかない。

仏頂面で、鞄を選んでいる彼女を視界に入れつつ、周囲に視線を走らせる。

やがて、楓は革製のショルダーバッグのオレンジを持って来た。


 探索を進める2人は、大きな百足に襲われる。

頭を持ち上げると、満貴の胸のあたりに頭が来るほど大きい。蠢く足が、嫌悪感を誘う。

楓は悲鳴を上げて逃げ出す。気づいた満貴は、体当たりしてきた大百足をステッキで打ち、走り去った楓を追いかける。

しかし、見当たらない。耳を澄ませてみるが、声も聞こえない。


「…佐々石さーん!」


 壁を背にして、楓の名前を叫んでみる。

返答はない。化け物が近寄ってくる可能性を警戒して、足早に場所を移動。

その間にロッカーを発見。開いているロッカーから、アメジストの首飾り、コンパス、畳まれたサンタズボン、小箱に入った精神安定剤を入手。

首飾りを首に下げ、他の品物をバッグに押し込む。コンパスは出しておくべきかと思ったが、手が塞がるのは避けたい。


 楓を捜索する途中、腹の突き出た餓鬼と鉢合わせする。

骨と皮ばかりの脚を使い、餓鬼は飛ぶように走ってくると、満貴目がけて爪を振るった。

見かけの印象より敏捷だが、満貴も超能力か、脚力と反射神経が向上している為、回避に成功。

腕を振り切った所を狙い、ステッキで顔面を打つ。餓鬼は背中から倒れ込んだが、一撃では死ななかったらしい。

バネが仕掛けられていたかのように、飛び上がった。


「どいて!!」


 満貴の背中に、初めて聞く声が浴びせられた。

若い女の声だ。右に跳んだ彼のすぐ横を、学生服の少女が通り過ぎた。

少女は餓鬼目がけてドロップキックを浴びせると、軽やかに着地。餓鬼は指で弾かれたゴムのように飛んだ。


「わー!人…でしょ?」


 満貴が答えると、少女は花咲くような笑みを浮かべた。

麻生海加あそうみかと名乗った少女は、長く伸ばした髪を後ろで一つに括っている。

細身で背が高く、鼻は小さく、ぱっちりと開いた目元とすっきりした上がり眉が、猫科の印象を与える。

返り血と埃で薄汚れているが、可愛らしい少女である事は十分わかる。


 神戸在住の彼女がこの空間にやってきた経緯は、自分と概ね同じだった。

登校するべく家を出た途端、この地下通路のような場所に入り込んでしまったそうだ。

唯一違うのは、自宅への扉が無いということだけ。


「いいなー…っていいのか分かんないけど、独りじゃなくてよかったー」

「それはいいけど、それどころじゃない!佐々石楓って人と、はぐれたんだ!」

「まだいるんだ!?どんな人!?」


 情報を共有し、手分けして楓を探しに向かう。

彼女は日本刀の他、救急セットを携行しており、ライダーブーツを履いている。

満貴は再び別れる不安を口にしたが、海加は楽勝と言わんばかりに笑いかけてから走り去った。

この場に入り込む前より運動神経が上がっており、この階層の敵には苦戦したことがないそうだ。


 楓は海加に保護され、3人は桐野家に集まる。

ただし、徒歩で自宅に戻ることは無かった。満貴の得た能力の一つ、テレポートで拠点に帰還する効果が発動したのだ。

海加は満貴の部屋に泊まる事にした、女2人のほうが、不用意な事態にはならないだろうとの事だ。

満貴は苦笑しつつ、海加の案に応じる。この日も変わらず、台所に布団を敷いて眠った。


 翌朝、3人は探索を再開。

海加はやはりと言うべきか、楓と主に話している。

楓の方は満貴に慣れてきたらしく、時に意見を求めてくることもあった。


(滑り出しは順調かな~)


 満貴は神妙な顔のまま思った。

この迷宮は、そもそも彼が作成したものである。

楓や海加とは違い、戦闘行為には慣れているし、超能力への理解も早い。

主人としての安全措置を設けていない代わり、対処不可能なほど強いモンスターは出てこない。


 事の始まりは彼が12歳のころ。

伊勢湾上に紫色の光る柱が出現した。暴風雨のなか、巨人が現れたという噂もあったが真偽不明。

その翌朝、伊勢湾上を漂っている奇怪な生物の死体が多数、発見された。

そして20歳のころ、休日のサイクリングの途中にふらりと入った公園で、満貴は紫色の結晶体に触れた。

この時に迷宮を創造する力、魔物を生み出す力、アイテムを作り出す力に覚醒。以降、自身の能力実験を人知れず繰り返して、およその部分は把握できたと思っている。


ありがとうございました。

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