子どものいる風景 ~ファミリー~
自宅の近くにある大型会員制倉庫店には、遠くから人が集まってくる。全国的にも数少ない店舗らしく、県外からわざわざやって来る人も多い。
扱っている内容もボリュームたっぷりの物ばかりだ。業務用として仕入れに来たり、いくつかの家族が一緒にまとめ買いに来たりしている。ひとつの家族であっても、何ヶ月分もまとめ買いしている。
かなり大きめのカートに溢れんばかり品物を詰め込んでいる。ダイナミックな買い物客ばかりだ。
自宅近くなので、私たち夫婦は、スーパーの買い物に行くような感覚で出かける。だから買い物かごひとつでも大概は足りる。私たちのような感覚で買い物する者は少ないようだ。大きなカートに品物が二、三個収まっているような客は滅多に見ない。
外資系ということもあって、外国人の家族も目立つ。売り場にはいかにもゆったりした、鷹揚な雰囲気が漂っている。日本のスーパーのせわしさは見られない。外国に行ったような気分に浸れるのか、多くの日本人買い物客にも、西洋風な余裕のある動きが見られるのである。
駐車場は今日も満杯だった。
留めてある車のナンバーを見ても、関東地方の色々な地域からやってきているのが分かる。空きスペースがなかなか見つからない。
空きを探しながらゆっくり車を走らせていると、カートからワゴン車に品物を移している家族が見えた。買い物が終わったばかりらしかった。やっと見つかったと、私は車を止めた。
中南米系と思われる顔立ちの母親が、カートから品物を取り出し、三人の子供たちに渡している。男の子二人と、女の子一人に、それぞれの年齢に見合ったような重さの物をうまく振り分けて渡している。
母親から品物を受け取った子供たちは、二、三歩進んで、車のトランクを開けて待っている父親に品物を渡す。日本人としては大柄な父親は、ニコニコした顔で子供たちから品物を丁寧に受け取って、車に要領よく積み込んでいく。
子供たちは両親の間をせっせと往復している。カートいっぱいの品物はなかなか減らない。子供たちは根気よく何度も往復する。
両親は、ゆったりと、にこやかに、子供たちの動きに合わせている。決して急がない。
三人の子供たちの顔には、重要な任務を果たしている満足感が満ちていた。
その作業はしばらく続きそうだった。その場所が空くのを待つのは何だか悪い気がして、私は車を先に進めた。進めながら何ともいい気分になって、心の中で思わず叫んだ。
『ファミリー!』